情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
双子 ウェンディ に 1人が投票した
異国人 マンジロー に 4人が投票した
学生 メイ に 1人が投票した
双子 リック に 1人が投票した
異国人 マンジロー は村人の手により処刑された……
次の日の朝、学生 メイ が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、双子 ウェンディ、農夫 グレン、学生 ラッセル、双子 リック、書生 ハーヴェイの5名。
[少女が見つめていたのは穴だった。
その視線は、いつの間にか見つめる対象を変えていた]
[視線の先で木刀が閃く]
[こちらを振り返った姿が、何事かを言う]
[それは。反射的に。本能的に。
恐怖を取り除かんと]
[少女の周囲の空気が変わる。
湧き上がるエナジーは風となり、視線の先の男――マンジローへと奔る]
私めが村建て人ですので、地下との連絡が取れるという意味でも一番乗りは丁度良かったかもしれないんですよね。
何かありましたら、下からの意見意向を上に伝えます。
もちろん当然ながら基本的に、上の世界は上の人たちの上の人たちによる上の人たちのための世界です。
何か進行に関わることにのみ使おうと思ってますので。
…とは言え卑怯くさくて申し訳ないんですけど、結局RPは間に合いませんでした。
一発言だけマンジローとして発言させて下さい。
後は全てお任せ、一切の文句なしです。
[あんな事でと笑おうとして、笑もうと持ち上げられた口の端は引き攣ったような形で止まる。
いつも愛らしい微笑で自分を迎えてくれたウェンディ。
人狼騒動が起こり、一番震えていたのは誰だったか。
いつものように笑んで見せながら、その小さな胸は今にも不安に押し潰されそうだったのかもしれない。
あの発言はうかつだった。皆落ちちまえなどと。
これは報いだろう。
今彼女にこんな顔をさせているのは自分なのかもしれない。だとしたら。
――自分が刀を、彼女に向けられるはずがない。
木刀にのびた手がぱたりと落ちて、悲しさを瞳の奥に押し込めて、ウェンディの本当は優しい手を待った。
彼女が自分を突き落として、それが少女の更なる心の傷にならないことだけをただひたすらに*祈りながら*]
[思わず足を止めた]
え?
[穴のそばにはウェンディがいた。そこへマンジローが近付いていった。そこまではいい。何か…恐らく魔法の類だろうがグレンにはよくわからなかったが、目に見えない何かがマンジローを穴へと押しやったようだ]
ウェンディ…?
[恐る恐る声をかける]
[窓の内側から眺めていた光景に、しばし言葉を失う。...はいつのまにか、訓練場を見渡せるところに移動していたのだ]
まあ確かに、あの方法だな。ということで収まって、そして誰かが誰かを落とさねばならない。とは思っていたが……ウェンディが…な。以外といえば、以外だな…
ウェンディ……?
マンジローさん……?
ぅわっ!!
[妹が居た場所に、勢いよく風のエナジーが吹き荒れる。]
ローラーストリング!
我が身をこの地に固定…せよ……っ!
[吹き荒れる暴風に巻き込まれないよう、糸を伸ばして訓練所の柱に自分の身体を結び付けた。]
……………ッ!
ウェンディ………?
[風が消えた後に残っていたのは……彼の妹ただ1人だけであった。]
[呆然と見遣る空間に、直前の姿が蘇る]
[僅かに引き攣ったような表情。
木刀を構えようとして、力無く落ちた手]
[彼は。違うのに。]
[呆然とした表情から動かない少女の頬を、雫が伝う]
[風が止んだ。
ローラーストリングを解除し、そっと歩みを進める。呆然とした表情―肩越しでも分かる―をしたウェンディに、そろそろと近付いた。]
ウェンディ………
[妹の横に立ち、それだけ言うと、リックは無言で佇んで居る。]
(……何を声掛ければいいんだろう……)
[ウェンディの頬を涙が濡らすのを見て呆然と立ち尽くす。
そうか、と思い出す。昨日自分はマンジローとの立会いを通じて彼を信じる気になった。しかしウェンディは持ち上げられた恐怖心をそのまま持ち越していたであろうことを。
ならば仕方あるまい。彼女は最も疑っていた人物を穴に落としただけなのだ]
思ったより…後味が悪そうだな。
[それは一瞬のことだった。マンジローとウェンディが交錯したとラッセルには見えた瞬間、ウェンディから立ち上ったエナジーは、マンジローを穴へと突き落としていた。
そして、その情景が脳で理解する前に、ラッセルはサックスを吹き鳴らしていた。
音速を超える超音速は、指向性で、穴に落ちるマンジローとウェンディを包み込む。
音が人体内部を軽く反響した波が、サックスを吹き鳴らしたラッセルの耳に届いた]
(これは……!)
[彼が反射的に吹いたのは「人だけを認識する」曲。これで反響波が戻るのは、人間だけだ。
つまり……]
(マンジローは人狼じゃないのか!)
[少女を呼ぶ声がする。
グレンとリック、二人の声]
[ぼんやりとした瞳のまま、少女はゆっくりと視線を向けて]
……ふ、ぇ…っ……
[零れる雫は量を増し、しゃくり上げる声と共に。
すぐ傍で佇むリックに縋りつくように、思い切り抱きついて。
上げそうになる声を必死に抑えながら泣き出した]
[すがりついて泣きじゃくるウェンディを抱き締め、頭を撫でた。]
ウェンディ………。
泣かないで。
[何も言えない変わりに、ウェンディの身体を抱き締める。]
なぁ、ラッセル。
聞いてもいいか?
なんでこんなときに楽器なんか鳴らしてるんだ?
[サックスがラッセルの奥の手という話を聞いていないグレンは胡乱気に彼を見つめる]
メイさんより
『クレアが、訓練場の脇に落ちててほしいんですが……後頭部殴られながらも一応、抵抗は試みたというかんじで。』
クレアは『輝きを失っていない』(ので、メイ生存をラッセルは気づくと思いますとのこと)
(RP的にも、拉致されたらしい証拠としてもいいかなとのご意向でした)
[リックに抱き締められ頭を撫でられ。
いつも傍にいるエナジーに安堵したのか、逆に涙は止まらずに]
……ごめ、なさ…っ……ごめん、なさ、ぃ…!
[謝罪の言葉はマンジローに届きはしないのだろうけど。
それでも、少女は謝らずにはいられなかった]
[胡散気にサックスと自分を見るグレンに、今の結果を話すべきか?
一瞬の迷いが生じる。だが、確定情報がない今、彼だけに情報を与えるわけにはいかないと結論付けた]
いや……これは俺の武器だ。
人狼の疑いがあるマンジローを穴に落とそうと持ってきて、ウェンディに先を越されたからな。
反射的に吹いてしまっただけだよ。
[苦しいか?
そう思いつつも、それなりの理由を述べた。
だが、それ以上言葉を紡ぐ事はできなかった。
唐突にメイの強張った気配を感じ、そちらに視線を向けた時、ただ風が吹き抜けていた]
……メイ?
[風がメイの残り香を運び、ラッセルの鼻腔を擽る。だが、そこにあるのは、ぼんやりと薄く輝く彼女の相棒だけだった]
[微かにサックスの音色が聞こえ、そちらの方向へと首を向ける。]
……ラッセル兄ちゃん?
なんで今それを……。切り札、だから……?
[ラッセルが何かを発見したのを見て、眉をしかめる。]
[そして次に鼻腔を擽ったのは、永遠に忘れぬ魂に刻まれた宿敵の気配]
……!
[人狼にさらわれた!
その結論に達するのに、時間など必要なかった。背筋の産毛がゾワリと逆立ち、絶望感と絶大な怒りが足元から一気に頭頂部に駆け抜けていく。
理性というものがあっというまに彼方へと押し込まれる中で、ラッセルは無意識にクレアを手にとり、そして目を覚ました。
クレアから伝わる温もりと、クレアから伝わる『大丈夫』と聞こえるような小さな金属音は、全て今のラッセルの心を救済するために存在していた]
(そうだ。メイはさらわれただけだ。まだ生きている。今ここで人狼たちがメイをさらい、監禁するとしたら、開かずの間の中だろう。それなら、これからも同じように穴に落とせば、メイは助けられる)
[自分の呟きに、グレンが再び問いかけてきたのを、端的に回答した]
メイが、人狼にさらわれた
>ラッセルさんメモ00:55:15
システム的にわかる情報のマンジロー霊能結果以外の情報、今回はウェンディさんの情報がわかってもいいかということですか?
システム的にわからないってことはその場合、相手の情報を明かしてもらう必要がありますよね。
各々の計画・考えがあるでしょうから、一方通行で断定的に「わかってしまった」という能力を付けるのだったら仰る通り、まずいのかもしれませんが…
これまでラッセルさんがやられてきた通り、RPのキャッチボールで流れや空気を読む形でなら、そういったことは当人同士の話し合い次第でということになると思われます。
ですので判定としては、私ではなくウェンディさんとの話し合いの結果でどうぞといった感じになりますかね?
たぶん。
さらわれた…さらわれただって!?
[人狼からの脅迫文を思い出す。1人づつ監禁する、そこにはそう書いていたはずだ]
…そうなると、メイもあの穴の下か。
……さて、念のため確かめておくか。
あの穴は下の開かずの間に繋がっているんだろうが…変な結界によって弾かれていないともいえない。…そしてまた、落ちたとして無事なのか。どうか。
[なにかぶつぶつと呟くと左目が虚ろで。ただ今回は何もしなかった。ついこの間試したばかりなため前回よりも容易に調べられるからだ。…感じる生命反応は三つ……]
……三つ…だと?
[一つづつ辿ってみる。一つは昨日からあった学園長の気配。もう一つはマンジロー、どうやら穴から落ちても命に別状はないらしい…そしてもう一つは…先程自分の腹を踏みつけ、本当に申し訳なさそうに謝っていた…]
メイ……穴から落ちたのは一名。ってことは、人狼の仕業か。
つまり、メイは人狼じゃなかったってことだよな…
…実は俺、メイとラッセルを疑ってたんだ。
だってラッセルとメイは人狼と戦って逃げてきたんだろ?
で、途中で逸れた。
逸れはしたけど君たちは別々に帰ってきた。
…どちらかが人狼が化けた仮の姿、
もしくはライカンスロープ、人狼って伝染することもあるんだろ?
だとすれば潜り込んだ人狼が
この里の人間を殺したくないってのも頷ける。
そしてメイは人狼じゃない。
だったら…
[明らかにラッセルへ疑いの眼差しを向けながら数歩下がる]
[メイを抱き締める腕を緩め、ハーヴェイの方を見つめる。]
生命反応が……3つ?
ハーヴェイさんと、オレとウェンディはここに居る。ラッセル兄ちゃんとグレンさんは、外に……
[頭の中で、人数の足算をする。そして……]
メイ姉ちゃん…いない…?
[確認を済ますと、もう一度、窓から下を見る。多分自分がやったことを悔いているのだろう、ウェンディがないており、リックはそれを慰めている]
……ま、しゃあないから。業務連絡でもしにいくか
[...は訓練場へと足を向けた]
[ようやく泣き止んだ少女は緩慢な動作で顔を上げる。
リックの腕が緩むのに、そっと離れて。
けれど、リックの服をきつく握り締めたままで]
…メイお姉ちゃん…?
[リックの言葉に今ようやく気付いたという様子で]
[グレンの意見は尤もだ。自分でさえ、他人事であれば同じく疑っているだろう。
この状況下では信用できるのは自分ひとりだが、それ以上に人間との連携も不可欠だ]
グレン、君の意見は尤もだ。
だけど、そういう見方をするのであれば、ハーヴェイは出自不明だから、村に来た当初は殺戮を企てていたが、今は村の空気にが好きになって、解散を思い立ったのかもしれないし、リックとウェンディだって、子供であれば大人はほぼ無条件で信じてしまう。それは子供の無邪気さという特権だ。それで村を解散させようなど思わないだろう?
それに……
[ラッセルの眼光が鋭く光る]
君もそうだ。
動機はあるかもしれないが、突然の守護者希望は、少々性急な判断にもとれる。
……つまりは全員が疑われるべき要素は一つは持っているんだよ。
だから……、今は信じて欲しい。俺を、じゃなくて、メイを。そうしたら
[……マンジローの話を語れるかもしれない。そうつなげるべき言葉を、ラッセルは今は飲み込んだ]
[ラッセルの言葉に何も言い返せずうなだれる]
…わかった。
信じる信じないは別として、とりあえず落ち着く事にする。
[昨日、先走ってマンジローと喧嘩になったことを思い出したようだ
バツが悪くなり視線を逸らした先にあった穴を見つめる]
マンジロー…
[ハーヴェイが見た少女の目は、真っ赤に染まっていただろう。
合わせられた目線に少女は少し驚いて。
ハーヴェイが告げる言葉の内容を飲み込めば小さく頷いた]
……よかった…
[呟きよりも小さな声で、一言だけ落とした]
[グレンの言葉に、小さくありがとうと呟いて、ラッセルは落ち着きを取り戻したウェンディへ視線を投げかけた]
(さっきの反響、人に反応するのだから人には違いないんだろう。だけど、その中に感じた違和感はなんだ? 何が生み出した?)
[ラッセルはゆっくりと歩を進めると、ウェンディの前までやってきた。
右手にはサックス、左手にはクレアを持ちながら、リック越しにじっと見据える]
ウェンディ、後で話がある。悪いけどもうちょっと時間が経って落ち着いたら、一人で校舎裏で俺が良く使う修練場まで来てくれないか?
[その目に宿るのは殺気か? それとも憎悪か? 少なくとも、黒い感情が押さない彼女を突き刺していた。
そして一方的に告げると、踵を返して*寮へと消え去った*]
…
[ラッセルの言葉と昨日の出来事を思い出したことで
一旦冷静になろうと思ったものの
ウェンディを見るラッセルの瞳に
何か尋常ではないものを感じ取り再び疑心が頭をもたげる。
一度芽生えた疑念は脳裏にこびりつき、
そう簡単には拭い去れないものらしい。
グレンは何も言わず、ただラッセルの後姿を見送った]
[マンジローとメイが生きている……その言葉を聞き、ウェンディから手を離す。]
……………?
[気配がしたので振り向くと、そこにはラッセルの姿。リックはラッセルの目を見て、]
……どういう、こと……?
[ラッセルにただその言葉だけを問うた。]
[ラッセルのウェンディと喋ったその動向を見て…]
冷静でいるやつだと思っていたが、そうでもなかったみたいだな。
仕方ないのかもしれないが
[だが、それが本当に仕方ないことなのかわからない...にはただ想像でものを言うだけだ]
[ラッセルに睨まれ告げられた言葉に、また震えだしたウェンディを見て、これじゃさっき俺がマンジローのこと告げて落ち着かせた意味がないだろうが、と、内心毒づく。]
ま、気が立っているってことなんだろうけどよ
[と、いいつつもそれが演技なのかもな。とも口には出さずに思っている。そしてそこで震えているこの少女も]
ダメだ、俺なんかがただ考え込んでても何にもなんないよな。
[震えるウェンディをただ見つめていたが、
一つかぶりを振って一度だけ穴の方に目をやる]
またな。
[くるりときびすを返し、振り返らないままそう言うと、
訓練に没頭しようと鉄球の方へ向かって歩き出した]
ウェンディ……。
[自分の服を掴んだウェンディの肩を抱き締める。去り行くラッセルの姿を見つめて、ウェンディに話しかけた。]
大丈夫だよ、ウェンディ。ラッセル兄ちゃんだってきっと、ウェンディのことを疑ってるわけじゃないと思うからさ。だから落ち着けって。……ね?
大丈夫。きっと話をすれば分かってもらえるさ。
[ウェンディの肩をぽんぽんと叩きながら、頭では別のことを考える。]
(校舎裏の、修練所……)
[震えるのは抑えられず、周囲の視線にも居心地が悪くて。
そっとリックから手を離す。
リックが励ましてくれていることはわかるのだけど]
え、と…私、帰るね…
[ぽつぽつと小さく告げ、逃げるように*駆け出した*]
[疑心が首をもたげるも、今はいいか。後で考えることにする。と頭を切り替えウェンディに言う]
とりあえず、後悔するのは仕方がない。だが、本当に申し訳ないと謝りたいという。そんな思いは叶えられる。
[マンジローが生きている限り、そして出してやればな。と言葉を続ける]
それにしてもラッセルは…ラッセルは…わかんねえな。ありゃ。
[それについては何も浮かばなかった]
あっ……ウェンディ!
[ぱたぱたと駆け去るウェンディに手を伸ばすが、届かず……妹の背中をただ黙って見送っていた。]
ラッセル兄ちゃん……
ウェンディ……
嫌な予感がする……
[ふぅ…と溜息をつき下を向いた。]
ハーヴェイさん。これからさらに、疑い合いが加速する…ってヤツだね?
疑い合いが、加速……そうだな。現に先程からいくつも
[ここにいないグレン、ラッセル、ウェンディの三人の顔を浮かべる。]
は〜…死なないらしいんだからもっと気楽にやりゃいいのによ。
[そして誰にも聞こえないような声でぶつぶつと呟く]
ウェンディとリック。そしてラッセル
もしも、昨日のグレンとマンジローのようなことがあれば……確か、ラッセルはエリートコースとかいうのやっていたな……しかも、本気で険悪な雰囲気だしな。
……頭に血が上りすぎなければいいのだがな
[それでも彼の思考にどちらかに組するという考えはなかった。そんな恩義も義理もない]
「死なないらしいんだからもっと気楽に」…って。だいたい、人狼騒ぎで大変なコトになってるんだから、気楽も何も無いよッ!
不謹慎なこと言わないでよね、ハーヴェイさん。
[ハーヴェイの言葉に、むくれ顔で答える。]
不謹慎……な〜……ま、リックのいう通りそうかもしれないけど……
人に危害を加える訳でもなく、要求が守護者の里の解散であり、どちらにしろ人命を取るつもりのないらしい、人狼が起こした騒動。
……なんか。目的が見えないぶん、遊ばされている気がしてならねえんだよな。
確かに守護者の里ってのは人狼にとってめんどい存在なんだろうが……人がいればまた作れちまうんだよな。
だからやっぱわかんねえ。
遊ばれてる……?
……確かに、人狼はこの守護者の里を壊滅させたいんなら、生きたまま閉じ込めるんじゃなくて……守護者を皆殺しにしたっておかしくない……。なのになんで、人狼はここの学生や学園長を生かしておくんだろう……?
うーん……。
いったい、人狼は何を考えてるんだ……?
ま、要約すれば、そりゃ人狼が現れただけで一大事といわれればそこまでだが、人を殺す気もなく、守護者も本気で根絶やしにする気もない。
なのに起きているこの騒動。
正直人狼が遊んでいるだけじゃね?って感じなのさ。
遊んでるだけ……?
うん……。なんか目的が見えない分、それは言えてるかも……。
[怒りの感情を露にしたラッセルの目を思い出し、]
なんで今日人狼にさらわれたのがメイ姉ちゃんなんだ…?まるで、人狼を心から憎むラッセル兄ちゃんをバカにして、弄ぶような…。
人狼の目的…な。現状は見えないな。
正直何か新しい情報でもない限り仮説しかたてれんな。
仮説ならば浮かばなくもないが、それは仮説。言ったところで仕方あるまい。
新しい情報といえば、メイ姉ちゃんが人狼にさらわれたことと、「ラッセル兄ちゃんが『マンジローさんは人狼じゃない』と言った」こと。
ラッセル兄ちゃんは、サックスの音波で人狼を見つけ出すっていう特技を持ってるんだって……ホントかどうかは分からないけど。
ラッセル兄ちゃんの言うことを、オレは信じたい。ラッセル兄ちゃんはずっと、オレ達兄妹に優しくしてくれたから。
[しかし、燃え上がるようなラッセルの猜疑の目が、リックの脳裏に再びよみがえる。]
………………。
メイがなんで攫われたか…か。わからんな。誰が攫われてもおかしくなかったような気もするし、誰が攫ってもおかしくないような…まあそれよりも、ラッセルが実は人狼で、メイを攫ったなんて落ちがありえそうかなさそうか。だけとりあえず気にしてみている
…過ぎたことは仕方ないからな。
ま、心配事というか、馬鹿みたいなことというか。
人狼が遊びっぽいかどうかやらそういうのはともかく、せっかく人を殺すとかそういう行動を起こさないでいてくれるのに、リックのいう、疑いの加速。とかいうので変な事が起きなきゃいいんだけどな。
[それは暗に、ウェンディを呼び出している時の、ラッセルのことを言っている。]
……うん。そうだね……。
[ふー……と長い溜息をついて、リックは遠くを見た。]
ウェンディが心配だから、オレ一度帰るね。
またね、ハーヴェイさん。
[ハーヴェイに手を振ると、ウェンディが走り去った方向へと*駆けて行った*]
ふ〜。さって、とりあえず寝る……
考えたらローズマリーんとこ行かなきゃだったな。寝るのはその後だ
さって、今日も一働きしてきますか。
んー……
[低い唸り声を上げ、薄っすらと目を開ける。ここは寮の自分の部屋だ]
よく寝た。
[らしい。どうやら人狼騒動中でも普通に眠れるようだ]
にしても、バイトに学生に人狼騒動の関係者って。体が一つじゃ足りないぞ。どう考えても
[内、学生の部位に関しては何かやっているのか怪しいものがある]
まあ、授業がないらしいからいいんだけど
[あります]
[胸の内のわだかまりを払拭しようと
黙々と残念マシーンに跳ね飛ばされ続けるグレン。
体中に傷は負うものの、どれも軽傷ですぐに血も止まる。
衝撃に関しては既に軽く壁に体当たりした程度にすら
感じられるようになっていた。
ここに至ってようやく自分の一族の体質の凄まじさに気付き、
あとは戦闘技術を磨けば人狼とまともにやりあえるのではないか
という自信すら湧いてきたようだ]
…これ以上鉄球に打たれても仕方が無い気がする。
[そう呟くと振動する鉄球を押さえ込み止め、訓練場へと向かった]
[訓練場に立掛けてあった練習用の木槍
(棒の先に衝撃を和らげるための布が巻いてあるもの)
を手に取り、以前畑の脇で鋤を使ってしていたような
槍の訓練を始めた]
どんなに威力があっても当たらなければ意味が無いんだ。
どうすれば当てられる?
相手は穂先を避けたり捌いたりしてくるはずだ。
それよりも疾く繰り出せばいいのか?
避けられてもすぐさま次の攻撃を繰り出せばいいのか?
意表を突くという手もあるか…
[あれこれ考えながら修練を続けているようだ]
ふ〜…とりあえず、現状を一つづつ整理していくか。
狼は…狼は…なに考えてんだろうな。……やっぱ遊び?
[正直わかんねえよな。と思いつつ一つの仮説が頭の中に浮かんでいないこともなかった]
あの…開かずの間に何かあるっていうんだったら。話は別なんだろうけど。
ん〜、調査できたらな〜。人狼のほうは…誰かが何とかするだろ…に任せてよいものか。どうなのか。
[ウェンディと会う前に、気分転換をしようとラッセルはグレンのいる訓練場に程近い場所で一人たたずんでいた。
近くにはサックスとクレアがそれぞれ彼を励ますように輝いている。
おそらく、今日はウェンディだけじゃなくて、あの場にいた全員が息を潜めているはずだ。場合によっては4対1という構図。
正直、新人三人については、それほど気にしてはいない。伊達に学園を卒業前に、一歩上へ上れたわけではないからだ。だが問題はハーヴェイだ。彼の時々感じる力は普通ではない。恐らく、彼が向こうについた時点で、穴どころか死を考えざる得ないだろう]
……今はどれだけ考えても進まないか。
[そういってふっきるように、拳舞を開始する。その動きは、近くにいるグレンに見せるかのように、回避というものをはっきりと体言していた]
(今は、この程度だ。だが、彼が人だった場合、必ず役に立つはずだ……)
[だがグレンが気付かなければ意味はないと、心の中で一人ゴチた]
さて、とりあえずもなにも、まずやばそうなのはラッセルだ。
人狼か人間か。そんなんじゃねえ。単純にラッセルがやべぇ、なんつーか。気が立ちすぎ。関係なく突き落とした方がいいんじゃねえかって思われても仕方ない気がするぞ。
ま、今は落ち着いているのかも知れんけどよ。
だが、普通に考えても……全員が疑わしい理由はあると考えていたみたいだが…あいつ、マンジロー狙っていたらしいよな…たしか……全員が疑わしい理由がある中あえてマンジローを選んだ理由ってのが…腑に落ちんな。ラッセルは適当で選びそうな奴じゃねえしよ…
グレンはどだろな。ラッセルとメイが帰ってきたからって怪しんでいたみたいだが…安易過ぎのような、でもグレンらしいような。ま、それいったら、なんか一番怪しいのはラッセルとメイとマンジローといっていたメイも同じっちゃ同じなんだが…
ん〜、後個人的に浮かぶのはマンジローとのやり取りぐらいか??ん〜。でも別になんともって感じもあるし。
ただ、あの強靭な肉体やらは人じゃねえだろ!とかいいたくなる。いや、前例があるみたいだから関係ないが、ってかローズマリーがグレンのことどうこういっていたから単純に逃げるために穴に入ったほうがいいんじゃないかとか…いや、関係ないけど。というかそれいったらリックもなんだがな。
[視界に入る位置でラッセルが修練を開始したことに気付いたが
特に声を掛けるでもなく、繰り出す槍の動きを止めるでもなく
その動きをそれとなく見つめる]
.。oO(あれがラッセルの動き…
実際の戦闘ならもっと速く動くのかな。
…あの動きに攻撃を合わせないといけないのか。
難しいな…)
[その動きは天才ではない。
ただ、凡人ゆえに、地道に鍛え続けた体は、まるで円を描くように軽やかで、それでいて一切のぶれもない。グレンより年下でここまでくるのには、どれだけの血が必要なのか? それを見るものに印象付ける凄みがある]
.。oO(変幻自在に動く相手を確実に捉える為には…)
[あれこれ考えていたが、ふと何かを思いついたらしい]
.。oO(思いついたけど…その程度じゃ無理かな…
まぁいいや。悩むより実際にできるかどうかやってみないとな
…ここじゃラッセルに見られちまう。
見られたら多分簡単に避けられる)
[軽く汗を拭うと、
ラッセルに対し無言で片手を挙げて挨拶をして訓練場を後にした]
[既に見慣れた残念マシーンのそばにやってきたグレンだが、
その見慣れた鉄球の姿を目にしてある閃きが浮かんだ]
あ、無い頭で一生懸命考えてたけど…
何のための学校なんだよ、俺ってつくづく馬鹿だなぁ。
先生方にアドバイスを貰おう。
[木槍を鉄球の支柱に立掛け、校舎内へ向かう]
[グレンの気配が離れていくのを感じ、ラッセルはようやく拳舞を止めた。
おそらく、今の彼に教えられるこれが精一杯だろう。例え狼だろうとも、だ]
彼もまた疑うべき対象だが、約束だしな……。
[そう呟いて、ラッセルは待ち合わせの場所へとクレアとサックスを大事に持って消えていった]
リックは最初考えるのとかがめんどうなタイプかとか思っていたが、なんか色々と、俺みたいな事なかれ主義と違って、どうにかしようと頭を巡らせているってのが以外に見えたのは俺が失礼なだけなんだろか……
まあとりあえずリックはローズマリーから避難するためにも穴に……と、それはおいといても。んー……なーんかあったっけかね。ぐらいしか浮かばんし、ってか、あの中では一番冷静そうに見える気がしてる
ウェンディは〜、マンジロー落とした張本人だったが、ん。怖がりというか不安定というか。それが演技なのかどうなのかなんかね〜って。まあリックが普通にしていたからあれが通常っぽいが…いや、これはリックとウェンディが二人とも狼ならなりたたないか。
……そういや、なんでラッセル、ウェンディに絡んだんだ?……ん、忘れていた。
マンジローは…実はマンジローが人狼でウェンディお手柄〜。とかだったらいんだがそれを知る術は俺にはない。ま、ウェンディに何かされたとき無抵抗だったから、人間な気もしなくもないが、殺意がない人狼だしな〜…全く違うとも言い切れん。
メイは攫われたから人狼じゃない。ラッセル信頼していたみたいだが、メイが人だったからってそれがそのまま受け入れれるはずも俺にはない。…ないけど…ラッセルが狼ならメイを攫うかね……昨日のあれやら臨場感ありすぎだ。
……ん。ってかあれだ。元から身近だった居存在ってわけでもないからわかるはずもない気がしてきたな。
[そこで思う。考えれば一人で居ること、そして色々考えることはよくあったが、他人を対象に考えることは珍しいことだったな、と。]
ん〜。疑いあうのは、この際いいんだが……
私怨とか、対立している相手=人狼ではないってことを気づいているのかどうか。
どっちだろな。ってかラッセルがウェンディを…な〜。ローズマリーがリック呼び出すのはわかるけど…ラッセルが……はっ!
[もしかしてラッセルはローズマリーとは逆の趣味を持っていたのではないか?と変な方向に思考がいく]
……ラッセル。恐るべし。
[多大な誤解である]
[通いなれた修練場をぐるりと見回す。彼が何度も踏みしめた土も、拳を打ちつけた木も、そのへこみも。全てが思い出だ。
だから、ウェンディを含めて全員が敵であろうとも、ここでなら全てがうまくいくと信じている]
まず、最初はリックか。多分、彼はウェンディを守るために俺に向かってくるはずだ。
そうなると、あの糸はやっかいだ。エナジーでコーティングもされているだろうから、引き千切るのは難しい……いや、できないか?
かといってクレアは重過ぎるし、俺もここしばらく剣は使ってないから、複数相手は難しいな。
だとすると、常に全開放状態で短時間で決めるしかないか。
後はサックスで、人だけが頭痛を訴える特殊な可聴域の音波を発して、あのときの違和感を払拭できれば勝ちか。少なくとも、味方か敵か、どちらかかはわかる。
[心配そうにしていたリックには申し訳ないけれど。
一方的とはいえ、約束は約束。
リックを撒いて、一人で学園に向かう]
[恐怖に足は竦んで、動くことを拒もうとするが。
それでも真っ直ぐに校舎裏へと歩みを進め]
……ラッセルお兄ちゃん。
[サックスとクレアを両の手に持つラッセルに、おそるおそる声をかけた]
[草木がざわめく音が普段と違う踏みしめられた苦痛を叫ぶ。
その音で、彼女が来たことを把握した]
やぁ、ウェンディ、すまないな。こんなところまで呼び出して。ただ、さすがに全員居る場所で話せる内容じゃなかった。
そこだけは理解してほしい
[瞳には、昨日とは違うが、それでも負の感情が渦巻いている]
[そっとそっと、ラッセルの方へ歩み寄る。
少しだけ距離を開けて立ち止まり]
……うん、大丈夫…
[『全員居る場所で話せる内容じゃない』
それはどう考えたって良い話では無いということ。
ラッセルの瞳に宿る負の感情を見ることはできず。
俯きがちながらも頷いた]
[距離をとりつつも、冷静に理解はしてくれたのだろう。うなづいてくれたことに少しだけほっとする。
やはり長い間過ごした村の仲間はできれば疑いたくないからだ]
さて、それじゃ、少し答えて欲しいんだが……。
[話しながら、近くの木にクレアを立てかける]
君は何者だい?
それにしても……これだけ考えてもあんまり材料にはならないものなのだな〜〜。
ま、いっか。気分転換にちょっと穴でも……訓練場はやっぱいやだな……地下の扉の方いくか……
人狼が人命も取らない甘い理由。やっぱ浮かびやすいのは、守護者の里を潰す。というのは名目で、単純にこの守護者の里を無傷で手に入れたい。ここから追い出したいって感じだしな。
普通に戦えば、守護者、狼、そしてこの里自体にも被害が出る。そのどれか、もしくは複数を嫌ったか。
…ま、仮説だけど、めんどうながらも俺が動いてみても面白そうだ、というぐらいには感じるしな。
[木に立てかけられたクレアを見る。
クレアの本来の所持者を思い出し、ふるりと首を振った]
[投げられた問いに、困惑の視線がラッセルに向かう]
…私はウェンディだよ?
[そういう話ではない。
それは薄々、少女もわかってはいたのだけど]
[予想通りの回答に、ふぅと小さく息をつく。
それも彼女自身もおそらく、違うことを理解したうえで答えたのだろう。
だが、今はそんな言葉遊びに付き合っている時間はない。瞳の色を変えずに続ける]
……君はリックから何も聞いてないのか?
特に俺の力のことを。
[そう言ってサックスを持ち上げた]
[幾つか話は聞いていた。
けれど、サックスと彼の力とが結び付かない。
少女が知っているのは、唯一]
…音の周波で、攻撃?
[知っているのはそれだけ。
ラッセルが人狼と人間を見分けることができるということは…少なくとも少女の記憶にはなかった]
―図書館―
うー…………………
[難しそうな本の上に、ぼすっと頭を乗せた。]
肝心の「どうやって人狼を見つけるか」が分からない……。占い師だの霊能者だの何だのっていろいろな人がいるっていう話だけど、ここの里にいるのは守護者と人狼だけで、なーんにもいない……
[リックの思考はぐるぐるぐるぐる…。しばらくして、ガバッと頭を上げた。]
だーーっ。もう!!
つまり皆の行動から推測しろってことかっ!
ん……ついたか
[地下を下りて、不思議な紋様をした頑丈そうな扉は、前きた時と変わらぬ姿でそこにあった。]
この奥にいんだな〜。マンジローやメイも……
[和国から来て、いつまでたっても自分の事をハーベイと呼んでいた、図体のわりには臆病で、調子がよいが決して不快だとは思わなかった男
人狼に故郷を滅ぼされたといっていたが、その影もあまり見せず、図書館で寝ていたことを咎めもせず、自分がしたことを精一杯謝ったりしていた女。]
…んーー…ま、できるんだったら助けたい気もする…かな…
さて、ここで問題だ。
昨日、俺がマンジローと君に向かってサックスを吹いた。吹いた曲は人にのみ反応するものだ。
マンジローは『人』だった。
でも、君は……。
ここまでいったらわかるだろう?
[そう言いながら、胸の内ポケットから一個のペンダントを取り出した]
学園長直属裏部隊「鳳凰」
その中で、人狼と人を区別することができる「選定者」。それが俺の正体だ。
[そういうと、ラッセルはサックスを口に咥えた]
……これから、人にだけ効果のある曲を吹く。結果、廃人になるかもしれない。
だが、「選定者」として、疑いのある者を放置することは許されない
[メイを助けるために。
ある意味、彼は今は修羅なのかもしれない。だが、そこまで大切な人と心から思える人に出会えた彼は幸せなのか。
ただ、少なくとも、幼き彼女へ猶予を与える余裕など微塵も存在していなかった]
[問題は、至極簡単だった。
『でも、君は……』その続きは少女自身のことだから]
[回答は口にせず、胸ポケットから取り出されるペンダントを見。
続いた言葉に目を見開いた]
…学園長直属裏部隊…
[知らなかった。気付きもしなかった。
――気付ける筈もない。『裏』ならば]
[サックスを構えるラッセルを見て、少女は静かに頭を垂れる。
『人間にだけ効果のある曲』ならば。
――【少女には意味を成さない】と知っているから]
[閲覧していた(?)本を元に戻し、リックは図書館を出た。]
だって、人狼はまだいるってことだよな……?少なくとも、メイ姉ちゃんが人狼にさらわれたっていうことは、まだ人狼が1人以上いるわけだ……。
マンジローさんはホントに人間なのかな?人狼なのかな?ウェンディが突き落としたから、真偽が分からない……。オレは全然「強さ」を見せないマンジローさんが怪しそうな気持ちもあったけど…。人狼だから、エナジーを隠すためにわざと能力を見せなかったのかなって……。
グレンさんは、力バカ……いやいや!突撃命の肉体派だから、なんか「開かずの間」を操っている「人狼」のイメージから遠い感じがしてる…。もしそれがカモフラージュだとしたら、そんなこと無いんだろうけど…。
ハーヴェイさんは、周りの人と距離を取ってる感じがなぁ……わかんないや。魔法能力が強いから、もし人狼だったとしても、あの開かずの間を操るのはワケない気がする。……けれど、そうならあまりにも分かりやす過ぎる気が。
この中ははたしてどうなっているのか……、ま、生きているみたいだから、別に問題ないのだろうけど
……そういえば俺は試していなかったものな…力業過ぎるが、誰も居ないし試してみるか……何にするかな。槍でいいか…
[と、念ずると、右手にはめた指輪が薄く光、次の瞬間には青白い穂先に黒い柄の槍が現れる。いつのまにか虚ろいだ左目はどこを見ているのかわからない、が光を称える右目は扉の中央を見ていた、そして体勢を整え、振りかぶり、扉につくと同時に念じた言葉を吐く]
『爆ぜろ』
[槍の穂先が扉の中央を突くと同時に鮮烈な光を放ち、爆発する。それに右目を細める。何も映しださない左目は開いたままだが……そして……煙が晴れ]
駄目か…
[くたびれ損じゃん。と呟く]
[さらに考える。]
ラッセル兄ちゃんは、メイ姉ちゃんが人狼にさらわれてから、なんか恐ろしいオーラを出しまくりだ…。でもラッセル兄ちゃんが人狼だったら、あの言葉は全部演技なのかな?メイ姉ちゃんをさらったのは、自分から容疑を避けるため?まさかそんなことは…。
ウェンディは……
生まれた時からずっと一緒だ。人狼だって思うような仕草は全く見えない……。
いや……でも、人狼はすっかり人間に変身できるって……。まさか、そんな……。
[思いっきり頭を左右に振る。]
いやいやいや!そんなことないッ!
[それまで怯えていたように、ラッセルには感じていた彼女の気配が、変わった……気がした。
本当に山勘だった。
ただ、その場に居てはいけないと、ただひたすら叫んだ本能に引かれて、地面を右に転がった]
[少女が待っていても音は少女を包まなかった。
閉じていた目蓋を開き、逃げるように転がるラッセルを見る]
……ごめんなさい。
[呟くのはそれだけで、また目蓋を下ろす。
少女はそこから動こうとする気配を見せない]
………はっ!
そういえば、ラッセル兄ちゃんがウェンディを呼び出してたんだっけ!!なんでオレこんな所でのんびり考え事してんだよッ!
[※ウェンディにすっかり巻かれたからです。]
早く行かなくちゃ!
ウェンディが危ないかもしれないじゃん!!
[廊下を猛スピードで駆け抜け、ラッセルが使う修練所へと向かった。]
(なんだ!? この雰囲気! 今ウェンディを戦闘不能に追い込むのは簡単だ。俺が一吹きするだけで、人狼なら、毒を盛られたように痙攣する。だが――!)
[地面に伏せるような体制で、舌から睨みあげる少女の顔は見えない]
(今吹けば……殺されるのはこちらか!)
[経験から来る悪寒は、間違いなく彼の死を予兆していた]
………
[...は次は荒業ではなく普通に調べることにした。しかし、開かずの間のある程度の空間の広さや高さ、誰がいるか。ぐらいはわかっても、その内部の詳細なものはわからなかった。次はくまなく、扉からこちら側の壁を床を調べる。だがそれも……]
無駄骨だったか。やんなるな。本当。
[そしてもうこの場には用はないと、地上へとのぼっていこうとして一度立ち止まって振り返り]
……メイ、マンジロー…は人間か知らんけど、ラッセルか、リックか、ウェンディか、グレンの内の人狼じゃない奴ら…もしかしたらの大穴で俺が出すかもしれんから、ちょ〜っと待っときな
[聞こえていないかもしれんけど、といいながら今度は振り返らずに階段を上っていった]
[教師陣から色々聞き歩き校舎の中をうろついていたが
ふと三階の窓から外を見て驚いた]
ウェンディとラッセル!?
[地に伏しているのがラッセルであることに、
ただただ驚愕している]
[ラッセルのエナジーが強張っているのを感じる。
向けられる感情に、少女は耐え切れなかった]
…何も、しないよ。……できないよ…
……ごめんなさい…ごめんなさい…っ
[少女は顔を上げぬまま、踵を返して。
走り出す。明らかに人間ではないスピードで。
ラッセルから離れ、森の中へと消えていく]
[少女の居た場所に残るのは、ただ、雫が落ちた痕跡のみ]
ん……今日も必要以上に真面目成分を放出しちまった。
こりゃ色々終わったら一週間ぐらいはぐだぐだして補給しないとな。
とりあえず中途休憩ってことで。あそこにでも行くか。
[と...は学園裏の森の奥地にある湖畔を目指す]
.。oO(落ち着け、落ち着いて考えろグレン。
"あれ"はどういう状況だ?
ウェンディに因縁をつけたラッセルが返り討ちにあったのか?
ウェンディはそこまで強かったのか?
もし仮にラッセルが人狼だとするならなおさらだ。
…一番可能性が高いのは)
[そこまで考えて彼は思考をやめ、窓を突き破って飛び降りた。
落下感を味わいながらグレンが見たのは泣きながら走り去るウェンディだった]
[何がなんだか分からないまま、ただウェンディの身を案じてリックは走る。]
(ヤバイ……あの時のラッセル兄ちゃんの目……!フツーの時なら冷静な判断ができるかもしんないけれど、メイ姉ちゃんが人狼にさらわれてからは何かが違う……!)
(このままじゃ、ウェンディが危ないかもしれない……早く……早く……!)
[焦るリックは、窓枠に足を掛けて、一本の糸を射出する。]
ウェンディぃぃぃぃっ!!
[ターザンロープのように糸を木に絡ませ、ラッセルが指定した修練所へと飛んだ。]
なにもしない? できない……?
[ウェンディの呟きに、ラッセルは後を追うこともせずに、立ち尽くしていた]
何故しない? 何故できない?
……それが今回村を解散させるという穏便な方法をとった原因か?
[確証はなかったが、昨日の反響波と今の言動で、ラッセルはウェンディを人狼と認定した]
殺す殺さないは後回しだ。
どちらにしても、話は聞く。そのために、捕まえる
[負の感情は拭い去れない。だが、僅かながらに、理性が暴走を止めていた]。
そして、グレンの問いかけに一度だけ視線を送ると……]
すまない。後で話す!
[ウェンディが消えて数秒後、彼女を追いかけて森へと追撃を開始した]
……
[裏の森の奥地へといきつつ(ラッセルのいる修練場とは別方面から)]
そういえば、ウェンディとラッセル…話はどうついたんだろうか。
ま、なんかあってもリックやグレンあたりがどうにかするだろ。多分
[...はどんな状況かは知らない]
[闇雲に森を駆け抜ける。
唐突に開けた木々、広がる水]
[その畔で少女はがくんと座り込んだ]
…っい、…ああああああっ!!!
[地下の扉、張り巡らされた結界。
その境に存在する扉に向けられた攻撃は『痛み』と成って]
[『痛み』が伝わるのが遅れたのは、ラッセルと対峙していたときの緊張の所為だったのだろうか]
[リックは地面に軽やかに着地した。その寸前にラッセルは何処かへと走り抜けてゆき、グレンはその場で立ち尽くしていた。]
グレンさん……何があったの……?
ねえ。ウェンディは?ラッセル兄ちゃんは?どこ行ったの!?
[ウェンディとラッセルの去った方向へ行こうかと一歩踏み出す。
パキパキと先ほど彼が破壊した窓ガラスの破片が音をたてる。
見ると、周囲は散らばったガラス片が
陽の光を反射してきらきらと輝いていた]
…片付けよう。
[結局思考と探求を放棄して瑣末なことに逃避するのだった]
[湖畔がもうすぐだ。というところまで来て気づく]
……声??
[珍しい、先客か、と思ったのもつかの間]
なんだよ。あの悲痛めいた声
[幾分駆け足で、向かうと、そこには見慣れた湖畔と、この場では見慣れていないが、つい最近見慣れるようになった少女が一名]
ウェンディ……??どしたんだ
え?
[鈍化した彼の思考は唐突に目の前に現れた少年を
一瞬、先ほど泣きながら走り去った少女と見間違える]
あ…リックか。
ウェンディとラッセルは…
俺もよくわからない。
ただ俺が見たことだけを話すぞ。
…まず、俺が見たのは地面を転がってるラッセルと
その、丁度今リックがいる所に立ってたウェンディだ。
…もしかしたらと思ってあそこから飛び降りたんだけど
着地するまでの間にウェンディが泣きながら
ものすごいスピードであっちの方に走って行ったんだ。
[森のほうを指で指し示す]
ラッセルはウェンディを追いかけて行ったよ。
[先程の悲痛な声、ここにいるのはウェンディ一人、誰があの声を上げたかは明白だ。なんでこんな場所に?ラッセルに呼ばれたのでは?とは一瞬思ったが、それは置いておいて、近寄った。軽く見たところこれといった外傷は見当たらない…が、そういえばラッセルの武器は音波で攻撃するものだった…と。もう一度聞いた。]
どうした。何かあったのか。こんなところにいるなんて珍しいが。
[いくら学園裏の森といえど、その中は濃い。一応軽い足音を頼りに進んでいくが、それが正しいか判断がつかない]
くそ!
[だが、その歩みは、間違いなくウェンディを追撃していた]
[『痛み』は強く、一度で済んだとはいえ後を引いた。
涙は収まることはなく、一層溢れるようになり]
[近付く足音にびくりと肩が震える。
向けた瞳にはハーヴェイの姿が映った]
[ハーヴェイの問いに、ふる、と首を横に振る]
…だいじょぶ…何でもない…
[なんでもない。というウェンディ。思わず『どこがだ』といいたくなったが、それを言っても教えてもらえるとは思えなかったからその言葉は飲み込んだ]
……ま、話したくないなら別にいいけどな。相談されるほど親しい訳でもねえし。
ん、俺はちょっくら横になる。疲れたからな
[と、ウェンディの傍に、腰を下ろし大地に背を預ける]
そっか………。
[まだ微かにラッセルの姿が見える。彼が行く方向を追えば、ウェンディを見つけることができるだろうか……そんな思いからか、キッと鋭い目をしてラッセルの姿を見据えた。]
グレンさん、そんなの後だ!
……行くよ、糸に掴まって。ラッセルさんと…ウェンディを追う。
ローラーストリング!
我が手の内にありて、その能力を解放せよ!
強度強化モード!
2人の身体を支えて、かの者に追いつけ!
[グレンの手を掴み、無理やりターザンロープを持たせる。2人の身体を結び付け、ジェットコースターのごとく猛スピードと高低差を持ったロープを手繰ってラッセルを追う。]
[ようやく治まった涙を腕で乱雑に拭う。
傍に寝転がられたことに少し驚いて。
ハーヴェイが疲れた理由は知っている。
結界に衝突したエナジーは彼のものだったから]
………。
[しばらく考え込んで、そろ、と掌をハーヴェイに翳す。
何の詠唱もなく、掌は金色に輝いて。
疲労を取ろうとするように、少しずつ自分のエナジーを注ぐ]
[そして転がりながらも、前、ローズマリに言われたの言葉が思い出される『女の子には優し
くしなさい』という言葉。なんとも都合のいい。とローズマリーを見ながら思っていたが、
仕方ないな。と思う。今回の場合も、だがウェンディは頑なな様子で、なにをすればいいの
かわからない。リックでもいれば話は別だが、と考えているところに、己の中に力が注がれ
ていくのを感じる……]
ウェンディ……
[と、一言呼びかけ、ウェンディの手首にそっと触れ、自分から反らす]
気を遣っているところ悪いが、疲れているというのは詭弁だ。気にするな。
うわぁぁ!?
[唐突に腕を引っ張られ、
浮遊感を伴い猛スピードに移行するややっと事態を把握した。
いや、把握というほどではないが
とにかく抜き差しならぬ状況であることを理解した]
[もう一度見たときのウェンディの目は赤かった。きっと、こちらに隠すために無理矢理涙を拭ったのだろう。…さて、ないている子供はどうやって…と考えて思いつく。いつも酒場でやっていることだ。ぶつぶつと呟くと左目は虚ろいでいき…ウェンディの周囲には、空色、夕焼け色、ミルク色、様々な明かりの玉が複数プカプカと浮遊し、その玉から安らかなる音色が優しく流れる。それは、心身を癒していくようで……]
ラッセル兄ちゃん!
[グレンを連れ(半分無理やりに)木を伝ってラッセルの元にたどり着く。]
グレンさんから少しだけ事情を聞いた…
ウェンディは!?いったい、何があったの?
[何かを―おそらくウェンディを―追うように走るラッセルに話しかけた。]
[少しずつ、少しずつ。
制御できないと嘆いていたのが嘘のように。
本来とは異なる力に、制御できずに居たのは事実なのだが]
[そうやって力を注いでいた手がハーヴェイによって逸らされる]
……きべん?
[その言葉の意味を一瞬思い出せずに考え込んで。
思い当たれば、ぷぅ、と頬を膨らませた]
[唐突にハーヴェイが何事かを紡いで。
少女の周りに現れる、優しい色を宿した玉]
わぁ…
[零れるのは感嘆の声。
そぉっとそのひとつに手を伸ばした]
[リックが追いついてくるのは、気配でわかった。と、いうより、グレンの叫び声のが目立ったが。
それでも、ラッセルは追ってきたのがリックということに軽く舌打ちした。
これから起こるのは、間違いなく彼には衝撃的な事実だ。そして結果は悲劇か。もちろん、理由があるのであれば、メイは死んでいないのだから、仇であるという感情を押さえ込むこともできなくはない。
だから、何と声をかけるべきか迷い――森を抜けた]
ウェンディ!
[どうやら、ローズマリーの店に訪れるお客同様、この明かり玉はウェンディにも好評だったらしい。無邪気に、それはただ包むように暖かではあるが、触れることはできない。明かり玉へと手を伸ばしているのと見つつ]
そ、詭弁さ。何せ俺はいっつもサボる口実を作っている奴だからな
[といった]
ラッセル兄ちゃん……?
[軽く舌打ちするラッセルの表情に、尋常ならざる事態であることを確信した。ラッセルの後をついて、グレンを引っ張りながら走る。]
ウェンディ!!
[ラッセルに続いて、森の奥へとたどり着いた。]
[ほのかな光を放つ玉。
その中の空色に指先が触れようとした、瞬間]
[びくん、と肩が跳ねる]
[どうして少女は思い当たらなかったのだろう。
ラッセルが追いかけて来ない筈が無いということに]
……ラッセル、お兄ちゃん…
[ラッセルに続いてリック…と何か酷い扱いを受けている気がするグレンを見て、まず思ったことは]
……騒々しいな
[だった、元よりここは森の奥地で、そうそう誰もやってこない場所だ。だから一人で静かにいたいときはもってこいの場所でもある。ウェンディは…まあ、泣いていなければ基本的に静かなようなので気にならないためまだ寛容だが、他の面々は…とか思っている]
[幻想的な光に包まれた少女の姿に息を呑んだ。
この愛くるしい少女が本当に人狼だというのだろうか?
そういう疑問が湧いてくる。
しかし先ほどの状況を思い出すにつけ、
その可能性が高いだろうと考える
そして更なる疑念が胸に生じる]
…なんでハーヴェイがいるんだ?
[やはり……とラッセルは思う。
ウェンディは普通の人狼とは違う。さっき感じた危険もそうだが、こうして対峙したときの感覚は間違いなく「人」のものだ。
それが、今回の解散に繋がっていることにラッセルは無意識に結びつけた]
ウェンディ、答えてもらおう。
何ができないのか? 何をしないのか? それとも今は語れないのか……。
もしどれにも当てはまらないのであれば、悪いが一日は麻痺が抜けない特有の曲で、眠ってもらう。
[その先は、言わなくてもわかるだろうと口を噤んだ]
ラッセル兄ちゃん…
それ、どういうこと……?ウェンディが「何もしない、何もできない」って?ウェンディを麻痺させるって…!?
[ラッセルがウェンディに向けて語る言葉に、眉をしかめる。]
まさか、ウェンディに何か………!
[張り詰めた糸が今にも切れんばかりの形相でラッセルを見つめる。]
私は……
[言いかけて、口を閉じる。
他の人たちに知られてしまうのは怖かった]
[けれど]
…私は…皆、好きだから。
だから…傷付けるなんてできない…したくない。
……ごめんなさい。
[その謝罪は、誰に向けられているのだろう]
[ラッセルの言を聞き、ラッセルの呼び出しにウェンディが応じた後、何かあって、そしてラッセルが何かに気づき、そして今、ウェンディがここにいるのか。と詳細まではわからないものの事態をおおまかながら正確に把握して、ウェンディを見る。ただそれは、『そうなんだ〜』というぐらいでこれといった敵愾心もなく、いつも通りであった]
「ごめんなさい」……?
それ、どういうこと……?
[リックは驚きを隠そうともせず、ただただウェンディを見つめている。]
な、何を謝ってるんだよ、ウェンディ?傷つけたくないって…何を?誰を?どうやって?
そんな……
[そして次はラッセルを見る。ことの真贋はどっちなのか。と考えようとして、ウェンディの誰にともなく告げるような謝罪の言葉が聞こえる……それだともう、考えるまでも……明白にこそいっていないが、罪の告白としか……
...は立ち上がった…が、動く気はなかった。それでもウェンディに対して敵愾心はなく、だからといってラッセルに敵意を見せる訳でもなく…それこそ無関心なようた。]
[きっと少女を助ける為に来てくれたのだろうリックを見る。
収まったはずの涙が、また零れ落ちそうになった]
…ごめんね……ごめんなさい……
[少女には謝ることしか思いつかなかった]
[ごめんなさい。
小さな謝罪の言葉に、ただ嘆息した。それは彼女自身覚悟を決めたということなのだろう。
ただそれでも今そろっているメンバーの顔をみたということは、好意という感情があるのだろう。少なくとも七斉とは正反対だ。
だから、彼女が人狼だということは……あえて口にしなかった]
そうか……。
なら、覚悟はいいんだな?
[リックをあえて意識の外に追いやり、ラッセルはサックスを口に咥えた]
[ラッセルが楽器を奏でようとしているのを見て、
昨日彼がそれを武器だと言っていたのを思い出した。
ウェンディは誰も傷つけたくないと言っている。
グレンはその言葉を信じたいと思った]
待てラッセル、何をするつもりなんだ?
[困惑しつつ身構える]
[グレンの質問には答えない。
リックが動いていない今がチャンスなのだから!
ラッセルが胸に吸い込んだ酸素を吐き出すと同時に、ウェンディ用に調整した催眠音波が一瞬にして彼女を包み込んだ]
[ぎゅ、と目蓋を瞑り、零れ落ちようとする涙を堪える。
ラッセルの問いには頷いて]
[――もう一人の人狼に、その音色が伝わらないよう祈り。
その肩に居る『彼』に、それを願い]
[目を閉じる。
後悔は沢山しているけれど。
これが、その結果なのだから]
ウェンディ……
なんで……?
[涙を零すウェンディを見て、ますます困惑する。ラッセルがサックスを吹くのを見て、何か彼女によからぬことが起きたことをリックは察知した。]
[無音で糸が動く。リックが何も言葉を発してはいないにも関わらず、糸は空気を鋭く切り裂き、ラッセルの身体を捕らえようとする。]
[ラッセルの奏でる音色と共にパタリとウェンディが倒れこむのを見て反射的に駆け寄った]
ウェンディ!?
[体を抱き起こし、どうやら死んでしまったわけではないことを確認すると少し安堵の表情を浮かべた]
…
[しかし、すぐに眉根をひそめる。その表情は複雑だ]
[リックの動きは予測済みだった。
ウェンディを倒せば、彼は間違いなく自分を狙う。
そう、昨日のラッセルのように――。
糸という細い凶器は、大気を切り裂きラッセルに襲い掛かる。だが、ラッセルは肌に伝わる空気の振動を読み取り、全て回避した]
リック……。
[いや、今は言葉など不要か……。そう思い直す]
[目の前には、リックにとって残酷な光景が広がっていた。ラッセルの奏でた音に倒れ、密やかな息を立てて眠る彼の妹と、仕事を終えたラッセルの姿。]
[ラッセルに糸を避けられたことさえもどうでもいいと言わんばかりの目で、ラッセルを睨み付けている。]
………………………。
[その目に、涙は無かった――]
[急激に満ちるリックの殺気にウェンディを抱えたまま慌てて立ち上げる]
お、おいリック、落ち着けって!
[なんとかならないかなという視線をハーヴェイに向ける]
なんとか…って……
[そしてリックをみる。それは……]
ん。グレン。リックはどう見ても言葉が届く様子じゃねえ。参戦でもして止める以外はないな。
[そして、ウェンディはどうなっているのだ?と伺うと、死んではいない。眠りについているだけだと確認し、ふむ。と何かを考えているようにこっそりと頷く]
[リックの目がすっと冷たく冷えていくのがわかる。少なくとも経験した心情は、理解できるつもりだった。
ただ……]
(俺にはクレアがあったが、リックにはそれがない)
[サックスでリックを止めることは可能だ。だが、それをすると周りにいるみんなまで巻き込む恐れがある]
そうすると、残る手段は一つか。
[ラッセルは、リックから十数メートル離れた場所まで交代すると、サックスを木に立てかけて、すっと腰を降ろした。
それはグレンが目撃した、ラッセルの拳舞――]
力づくでか…?
[ハーヴェイの言葉にラッセルとリックを見て首をすくめる]
と、とりあえずウェンディを頼む。
[抱えたウェンディをハーヴェイに差し出す]
[ラッセルが無言で離れてゆくのを、リックは膨大な彼のエナジーから感じ取った。]
[無言で指を動かし、手の形を変える。――張り巡らせた糸が、あちこちにヒットしてゆく微細な音を、リックは耳にした……]
[つかのま、ハーヴェイの腕の中で
静かに寝息をたてるウェンディを見つめて考える]
問題は、どうやって止めるかだ。
[振り返って2人の様子を窺う]
[ラッセルとリックが対峙し、グレンがその中に飛び込もうと何か思案しているを横で見ていた。皆の意識が完全にこちらから消えている。ノーマークだ。
...は眠りについてしばし起きようともしないであろう腕の中のウェンディを見つめ…少しして、慌てた様子もない、だからこそ誰にも気づかれない自然な足取りで森の闇へと消える
...が本気で逃げると決めれば、ここにいる誰にも捕まえることも、見つけることも出来ないだろう。二人のエナジーは既に完全に絶たれていた]
[リックの糸は強力だ。
おそらく捕まればそのばでENDマークがつけられるだろう。
そうれを回避するなら、全神経を回避に傾けてもいいが、いつまでも避けられる筈もない。
ならば一撃で決着をつけるのみ。
七撃のうち五発分の全力を回避に向ける。強引に力のベクトルの変化をうけた骨が悲鳴をあげた。だが、今は捕まったり、ペンダントを見せるわけにはいかない。今、ラッセルの正体を見せることは、謝り続けたウェンディに申し訳がたたないのだから]
リック、一撃だ。
それでお前も眠れ。そして起きたときには……
[それ以上は、口にしなかった]
[ラッセルの方へ、ゆっくりと振り向く。]
一撃………。
[ラッセルの周りに張り巡らせた糸を、右の指で手繰り寄せる。]
ラッセル兄ちゃんだからって、手加減はしないよ……!
[どうすべきか悩んでいたグレンだったが、2人が思ったよりも冷静らしい、少なくとも一昨日の自分とマンジローほど自分を見失ってはいないようだと見て取り、純粋に2人の戦いに好奇心を抱いた]
なぁ、ハーヴェイ。
やっぱりラッセルが余裕で勝っちまうのかな?
…?
[元からハーヴェイのことはあまり愛想の良い人物とは思ってなかったが返答が無いどころか気配がしない事に気付いて振り返る]
あれ?
ハーヴェイ?
トイレならウェンディを置いていけよ…
って、そんなわけないよな。
[キョロキョロと辺りを探るが近くにいる様子も無い
リックとラッセルの戦いが気になりはしたが
もしも人狼ウェンディの相棒がハーヴェイだったならば
と考えが至り、慌てて森の中へ駆け込んだ
しかし森の中に入り数歩進んだところで立ち止まる]
…森に入って行ったとは限らないよな。
それに、リックとラッセルに知らせたほうがいいかな…?
いや、もしハーヴェイがそうなら2匹の人狼の正体が知れたことになる。
ならとりあえず学園か。
[そして森を抜けるべく*走り出した*]
到着と。
[ここは、守護者の里の中であるというだけのどこかの建物内。彼がしばしの間、潜伏する場所として定めたところだ。別に、いつまでも居る気はなく、危害を加えるつもりもない。人狼と聞くウェンディに話をしたいと思っただけだ。それが済んだら返すつもりでもいる。…尤も、返したところで、その先は、あまりよい未来ではないだろうが、そればかりはどうしようもない。自分は、彼女の味方ではない、通常ならば相容れない種族関係なのだから]
それにしてもよく眠っているな
[腕に抱いていたウェンディをクッションの上に下ろす、その寝顔は安らかで人狼と聞いてもにわかに信じ難いと思いつつ、寝顔で人狼かどうか決まる訳ではないなと。思い直す。、きっと眠りの中でだけは緊張から解き放たれているのだろう。それを見て、無理矢理起こすのをやめ、自然に起きるのを待つことにした]
眠り姫。どうか王子様のキスなしでおきておくれよ。
[見えない糸に裂かれた鋭い風が、リックの頬に触れ、駆け抜けてゆく。それを感じながら、リックはそっと目を閉じた。]
(相手は、何年も上の先輩。この学園のエリートだ……。全力でいっても、勝てないかもしれない…!)
[身体中のエナジーを、指先に集中させる。憧れ、目標にしてきた相手を倒さんと――リックは再びその目を開けた――*]
さて、ちっちゃな眠り姫さんが起きるまで、何をしていますかね。
[ウェンディが人狼だと聞いてもやはり敵愾心はない。人間と人狼。確かに立場上敵同士ではあるし、...も別に人狼に恩義とかがある人間ではない。ただ危害を加える気がないのなら、いっか。と思っただけ。それならば敵意やら欲に駆られた人間や……]
……妖魔……
[……のほうがずっと恐ろしい。...は瞑目した。ウェンディが目を覚ますまでここで座して待つようだ。でも、あの湖畔で見せた明かりの玉は彼らを明るく*照らし続けている*]
[左手を胸に当てる。
次の瞬間、膨大なエナジーが風となり、リックの服の中で、下から上へと吹き抜けて行った。]
[髪の毛がブワッと風に煽られ、被っていた帽子が青空を舞う。]
(どんな攻撃が来るんだ……いったい!)
[リックは、未熟な戦闘態勢を*構えた*]
[途中森の中で軽く迷いつつ、学校にたどり着いた]
とりあえずゲルト先生に・・・
あ、イザベラ先生、ゲルト先生は・・・
[そう、言いかけたグレンだがイザベラに怒鳴りつけられる。窓ガラスを割って逃走したことを責められているようだ。今すぐレベッカの店で新しいガラスを買ってきて弁償するようにと厳命される]
あ、いや、ウェンディが、その・・・行ってきます。
[こうして、グレンは雑貨屋へ*向かうのだった*]
[やや前傾姿勢をとり、大きく呼気をつく。
左腕を下げ、右腕を腰に据えた。狙うは一撃。
だが――。
『ごめんなさい』
小さなウェンディの心からの謝罪の言葉が、頭から離れない。
リックの技は未熟ながら、手を抜けばこちらが倒される威力を持っているだろう。五撃分の力を使っても、視力で捕らえられない糸を完全に避けるのは無理に等しい]
(それなら、肉を切らせよう。その程度で済むのなら、腕一本くれてやるさ)
[目が、全てを喰らう『狼』のように煌いた]
[帽子が地面にパサリと落ちた。]
(………来る………)
[鋭い眼光を見て、じりじりと間合いを取る。ピクリと右の薬指を動かし、ラッセルの身体の近くにある糸の張り具合を変える。]
人を殺さない人狼な…聞いたことねえけど。ま、ありじゃね?
[彼は他の面々が困惑している中、柔軟にそれを受け入れていた。
なぜならば、彼は人同士が戦争をしてるその真っ只中で生まれたからであった。
人狼が人を殺すか。人が人を殺すか。ただ加害者が誰かという差でしか彼の中ではなかった。
人狼は人を殺すというが、定番のようになっているが、人だって人を殺す。が、人を殺さない人だって存在する。ならば人を殺さない人狼がいても彼の中ではそれほど問題にはなかったのだ。そうあっさりと思えるようなものが彼の心には根付いている]
やっぱ俺のほうが変なのかね……
[と独り呟く]
[はじめのほうは覚えていない、確か父親が戦争で死に、母親はどこかにいって、一人になった。
次は孤児院に拾われる。親のいない子供が成長し一人で生きていくまで育てる。という名目の世間から切り離されたような場所にある孤児院。
だが、その名目はただの表看板。その実は身寄りのない子供に者とも思わぬ過酷な訓練を強いて強力な軍事兵器に育て上げる軍事施設。
昨日そこで笑っていた奴が、もう永遠に笑わなくなった。
数時間前そこで泣いていた奴が、もう永遠に泣かなくなった。
先程まで苦痛に顔をゆがめていた奴が、もう苦痛に永遠に悩まされなくなった。
その中で...は素質があったのか。なんなのか。訓練を受け生き抜いてきたのだ。数日に一度死に掛けるような毎日を送りながら。]
…………
[そっと、左目の部分を右手で包む。明かり玉を出している最中だから、左目は何も映さない。
これもそこでの生活での傷跡だ。
次の出来事。そこでの生活から時がいくらも経ち。死にかけるようなこともなくなった後。...はとある実験を受けた。人体実験だ。
...はそれで更なる肉体、魔力の向上を得た。これはその代償。魔法を使う際や、戦いに赴く、興奮や緊張などが作用して、左目の視力が喪失する。…………皮肉にもそれがわかったのは守護者の里に来てからだ、それまではずっと左目は見えなかったのだ……でも、...は当時でさえもそれでも運がよかったと思えている。他に自分と同じように生き残って、それを受けた者は、もっと酷い代償を負ったり、あるいはそのまま死んでしまったりしていたのだ。
そして...とその周りの人間は、育ち、非人道的行為を繰り返して国が作り上げられた至上の殺戮部隊とし、暗躍していった。]
[リックがラッセルの眼光に、気を引き締めて間合いを取るのをじっと観察する。
指の動き一つ。
目の動き一つ。
足裁き。
体裁き。
あまつさえ思考すら、これまでの動きから予想を立て、考察し、数十通りの中から彼の動きを先読みするべく思考を動かす。
そしてラッセルが――動いた]
[ラッセルが動いた――
どこに向かうのか、糸が動く感覚と、ラッセルが発する音のみで読み切ろうとする。]
そこだっ!
[右手をぐいっと動かし、叫ぶ。]
ローラーストリング!
今、その能力を開放せよっ!
[ラッセルの首元に向かって、1本の糸の先端が空気を劈いて走る。]
[彼が使う拳舞は、元々彼の祖父が築いたものである。
祖父は敵対するモノに合わせて、力加減と最大HIT数を変更していた。
それが四撃、七撃、十三撃の「死」を意味する三つの打撃法だ。
各撃数は全力で打ち込む回数を示し、使った後は身体にさまざまな悪影響を及ぼすことも、まま存在する。
今回、ラッセルはそのうち五撃分の破壊力を回避速度に回した。
一撃はリックを倒すため。
では残り一撃は――?
ラッセルは無言のまま、首に向かって進む糸を「視ていた」。
だが避けない。代わりに、左腕を糸の前に突き出すと、腕に糸を巻きつけた。
激痛が走る。
だが彼は顔色を変えずに、そのまま糸の絡まった左腕を突き出すと、自分を囲んでいる糸をぐるんと一回転させて左腕にのみ、巻きつけていく]
[時が過ぎ、唐突に事件が起こる。
あれは、確か。対『軍』訓練をこなせるようになり、対『城』訓練に移行していたため、そこにいたのだったか。
人狼の群れが来襲してきたのだ。目的やらなにやらは知らない。ただ襲ってきたら迎撃するだけだ。施設のほかの人間はいくらか殺された。...やその部隊の人間も、やはり普段よりは苦戦した……でもそれだけだった。
人狼は確かに一般人にとっては化け物だ。
だがそれは普通の話。自分達は既に普通ではなく、だから脅威足りえなかった。
傷を被うが千切れようが問答無用で再生していく奴。
体を刃物にも獣にも好き勝手に変化できる奴。
自身の実体の有無を好きに操る奴。]
……どっちのほうが本物の化け物なんだかな。
……………っ!!
[ラッセルの左腕に糸がぐるぐると巻き付けられるのを見て、リックは絶句する。全身から血の気が引いていくのを、足元からガクガクと感じていた。]
[それでも、両腕をさらに勢いよく自分の斜め上に上げる。]
くっそおおおおッ!!
[見えない糸が網となり、ラッセルの身体を捕らえた。]
頼むッ!!捕らえてくれえええッ!!
[一匹一匹に死を叩き込む。人狼は鎮圧できるだろうと思っていた。そいつを見るまでは…
人狼達の後ろ、黒い外套を深く被っている存在。見れば、人狼達も黒い外套を被った奴に怯えている。
そして自分も……怯えなど感じるのは久しぶりすぎて、それが怯えだったと気づくには時間がかかったが、ただ本能が危険だと猛烈に警告を鳴らしていた。
アレはヤバイ。関わればシヌ。と。
自分の周りの奴らは人体実験により自分より変わった特殊な力を得ていて、変わりに代償も大きく。まともな感覚があったのは自分だけだった。
気づけば逃げていた。それからは真っ白でほとんど覚えていない。ただ生き残ったらしい。
そしてまた逃げる。今度は国外へ。簡単なこと。これを機会に逃げただけだ。
ただ、あの施設は謎の襲撃により自分も含め全滅したということになっているためそう難はなかったが。
そして国外へと逃げ…紆余曲折、ここへと辿り着いた。無茶無鉄砲な逃げ方だったから行き倒れにはなってしまったけども……
あの存在が妖魔というものだというのを知ったのはその後のことだ。]
[リックと対面していて、感じたことがある。
彼はまだ弱い。
いや、恐らく自分では気付いていないが、レベル的には本気であれば、自分を瞬時に粉微塵にする事も可能だろう。
だが、「心」が弱い。
メイと二人、逸れて村に辿り着いた時も、七斉の力に恐れおののき、人狼を詳しくしらないだろうマンジローよりも震えていた。
だから、ラッセルはあえて、この道を選んだ。
人として守護者として、今後訪れるだろう「恐怖」を克服できるように、一番心に傷を負わせる方法を]
[「視ている」視界に、新しく迫る糸の網を「視つけた」。普段の彼であれば正面から襲ってくる時点で、回避を選択するが、すでに痛みの感覚のなく、糸が絡まった左腕を遠心力の力で正面に三度突き出す。
新しい糸が、肉に食い込むのを感じ、まだ神経が生きている事を実感する。
だがそんな感覚に感動している暇はない。恐らく全てであろう糸を食い込ませた左腕は、まるで火傷の跡の如く爛れ、肉がこそぎ落ち、繊維の一本一本が断裂している。
足元に流れ落ちる血液は、紅い水溜りを作っていた]
[それはどれ程の長さだったのだろう。
少女の目蓋がようやく上がる。
ニンゲンよりは耐性が高いとはいえ、ラッセルのサックスが紡いだ人狼用に調整された音は、それなりの時を少女から奪っていた]
……ハーヴェイ、さん…?
[薄呆けた瞳はまだ姿を映せてはいないが。
傍にあるエナジーの色に声をかける]
[彼は思考に沈んでいるようではあるけれど]
[ラッセルの左腕が赤く染まり、あちこちから赤い肉が覗きこんでいるのを目にしたリックは、最後の抵抗と言わんばかりの表情で糸を動かす。]
[糸を木に巻き付け、ラッセルの動きを制しようと必死に抵抗を続ける。
だが―――――…]
(間に合わない!!)
[リックの表情に、絶望の色が滲む。]
[リックは事件だ。といっていたが、自分には事件という感覚は薄かった。
守護者の里に潜入した人狼は……元は人を殺していたが、それをやめた人狼なのか。それとも元々人を殺さない人狼だったのか。どちらかはわからないが、自分と似ているようなものなのではないかもしれないな。と此度の騒動の人狼からは朧気にそう考えていた。だからどうしても敵愾心が生まれなかった。
ここでは守るための力。というのに興味を持った自分。そして学園では、殺すのではなく封じるというのに興味を持った自分と。
だから興味を抱いていた。その辺りを聞いてみたいとも思っていた。
でも、眠っているウェンディを見て、なんとなくわかった。
自分の手のほうがよっぽど汚れているだろう。ということだ。
だが興味以外に聞きたいことは一つ。当初の方の疑問だ。
人狼は、殺す気もなく、また守護者を根絶やしにする気もなく。ここを無傷で手に入れたいのではないか?
何かここには人狼にとって大事なものが眠っているのではないか?あの開かずの間やらに……
それがもしも……アレならば……それだけは自分でも傍観してやるつもりはなかった。見境も全て消して、人狼の容疑がある存在を消す。]
[密かな覚悟と、思考に埋まっていたのだろう。ウェンディが自分を呼ぶ声にやや遅れて反応をする]
よっ。ウェンディ、起きたか
[それはウェンディに接している普段どおりの姿であった]
[最後の抵抗なのだろうか。
糸が自分ではなく木々へ走り、ラッセルの直進を防ごうとしている]
(グレンがいれば、君は勝てていたよ)
[そう心で呟くと、溜め込んでいた五撃分の破壊力を爆発させた。
瞬間移動ではない。
だが常人にはそれと似たような錯覚を覚えさせるには十分な速度に一歩目から達する。糸が木に完全に絡みつく前に、包囲を抜け切るなど、「視れる」ラッセルには造作もないことだった]
リック。
[次の瞬間、ラッセルはリックの目の前にただ立っていた。
左腕は止まる事無く血が流れ、大量失血のために唇から温かみのある赤がみるみる抜け落ちていく。それでも、彼は最後まで「恐怖」を与えなければならなかった。
紅い左腕を帽子のなくなった柔らかい髪の上に乗せ、ゆっくりと撫でる。
その目には、ただ普段のやさしく遠くから見守っている普段の彼が映っていた]
[右腕を上げて目元を擦ろうとして、違和感に気付く。
少女の体は未だラッセルの『音』が支配していた]
[油の切れた機械のように、ゆっくりと腕を上げる。
手をつき、何とか体を起こそうと苦心しながら]
うん…起きた…
[目覚めたばかりの一時は、眠る前の記憶も薄れているのか]
[――ほんの一瞬のできごとだった。
自分の巻き付けた糸をあたかも「視た」かのようにラッセルは避け、自分の方へと向かってくる。――正確には、リックにその姿が見えるわけではない。だが、張り巡らせた「不可視」の糸が、ラッセルの位置を如実に物語っていた。]
[顔面が蒼白になり、生きている人間とは思えぬ色へと変わる。恐怖感と絶望感に苛まれた次の瞬間、リックの身体は衝撃をなすすべもなく受け止める。]
…………………!!
[糸が右手から離れ、リックの身体は宙を舞う。一瞬だけ太陽のニオイを鼻から吸い込んだ後、リックは地面に叩き付けられた。]
…そっか。起きたか
[といいつつも、鈍い動きしか見せないウェンディに顔を顰める。多分まだあの時の後遺症が…これでは話が進みづらい。
...はぶつぶつ。と呟き、いつものように左目の視野が消えて…ウェンディの頭をそっと。撫で、そこから徐々に、違和感を解きほぐしていく……]
ふー……
[もうよいだろう。と判断して、撫でていた手を引っ込め、一つため息をつくと、単刀直入に切り出した]
で、聞きたい事がある。
ま、現状を適当に把握すればわかるだろう…ウェンディがここにいるってのは…ま、俺が連れてきたわけだが…理由は簡単なこと
人狼 らしい。ウェンディに聞きたい事があったからだよ
[本当に世間話をするような気軽さだった。]
ん…
[ゆっくりゆっくり、起き上がって。
ふわりと頭に触れたハーヴェイの掌。
驚いて、びくりと体が一度跳ね上がりはしたけど]
……ありがとう…
[体から消えていく違和感に、それが彼のおかげと気付いて。
まだ少し動きの鈍い笑みを浮かべた]
[続いた言葉があまりにいつも通りだったから。
極普通に頷いて…動きが止まった]
…うん。
[やはり気付かれてしまっていたのか、と目を逸らした]
[真っ赤に染まった腕が視界に入る。温かいラッセルの手が、自分の髪を優しく撫でたのを感じた。]
……ラッセル兄ちゃん……
お願い、が…あるんだ……
ウェンディに…あわせて…
そして……
[ラッセルがウェンディに対峙したあの目を思い出して、呟く。]
もしウェンディをあの穴に放り込むなら、オレも、一緒に……放り込んで……
[弱々しくそれを口にすると、リックはガクリと意識を失った。]
[素直に頷き…そして目を反らすウェンディ。それがあまりにも素直すぎて、内心...にはおかしかった。]
あー…先に言っておくが、少なくともこちらから危害を加えるとかいう気はない。
言ったとおり、聞きたい事がある。それに答えてくれれば、いいだけだ。
[と、やはりいつも通りの気楽な口調で確認を取るように言った]
[「恐怖」が意識を断ち切ったのだろう。
最後まで自分を見ずに、リックは気を失った。
それを見つめてから、大きく息をつく]
ウェンディは穴に降ろす。いいか? 落とすんじゃない。降ろすんだ。
だから、お前までいくことはない。俺は「鳳凰」として、確定じゃない人間を穴に入れることは了承できないさ。
[それも、彼の仕事だ。メイを守るために、全てを投げ出しても、無用な人間を巻き込む気など毛頭ない。
いや、一時期はもっていたが、ウェンディと会話している間に完全に霧散した]
さて……ウェンディを追う……。
[完全に精神力のみで立ち続けるラッセルは、鼓舞するように呟くと、ふらふらの足取りのまま、ハーヴェイ達を追った]
[おそるおそるハーヴェイの方を見る。
嘘を言っているようには見えなかった。
それは所詮山勘だったけれど]
うん…答えて、大丈夫そうなら。
[『もう一人』を明かすようなことはするつもりはないから]
…ハーヴェイ探してみたはいいけどどこにも見当たらないや。
リックとラッセル大丈夫かな、
見に行ってまだいたら一緒に探そう。
[窓ガラスの修繕を終えハーヴェイを探し回っていたが諦めて湖畔へ向かう]
[あまりに素直な反応に、一度意外そうにウェンディを見た。もっと抵抗があるかと思っていたが…まあ手間が省けたなと。考えないことにして言う]
俺はちょっと疑問だったんだよな。殺す気もなにもなくて、ただ閉じ込めるだけってのに。
まあ正直気にならないといえば嘘になるが、なんで殺さないのやらそういうのはどうでもいい。
誰を殺すつもりもないもう一人の人狼についてもこの際、どうでもいい。
[本当にそれについては無関心なように言い、そして仮説を述べる]
俺は、誰も殺さずに追い出すだけというのはこの地を手に入れたいものだと思っていた。
で、聞くのだが、この地には…何かあるのか?……いや、具体的に説明する必要はない。
ただ一つ……今回の事は妖魔に関連があるのか?
[普段どおり…のようで、その実、一瞬の嘘も見逃さないように、...はウェンディを見た]
[修練場までは楽なのに、今ラッセルがあるいている森は、彼にとって歩きにくかった。
それは単純に失血により思考が不安定になっているだけではなく、足裏から感じる地面の感触からもわかる。
それでも少し歩くと、目の前に校舎らしい建物が見えてくる]
恐らく、こっちのどっかだ。
……ハーヴェイが事実に気付いていれば、行く先は……。くぅ!
[まだ神経が残る肩部分を木にぶつけてしまい、苦悶の悲鳴が喉から飛び出した
意識を刈り取られそうな痛みに、思わず蹲る]
[その人影が急に蹲ったのを見て慌てて駆け寄る。
やはりラッセルのようだが左腕が酷い状態だ]
そ、その腕どうしたんだよ!
リックにやられたのか?
まさか負けたのか!?
と、とりあえず医者に見せないと!
[肩を貸そうと手をかけたが、事体は一刻を争うと見て、
「悪い」と一言述べてラッセルの体を抱え上げ走り出した]
[意外そうな表情をしているのには気付かなかった。
少女は俯きがちで、あまり顔を見ていなかったから]
だって…
[怪我させたくなかった、と言う前にハーヴェイが言葉を続け。
その内容に、今度はこちらが驚いた。
どうでもいいなんて言われるとは思わなかったから]
[ハーヴェイの仮説をただ聞いて。
最初のそれには首を横に振って否定した]
…ホントは、私もよく知らないの。
でも、もしかしたらって思うのはある…
……ようま?
[何ソレ?とでも言いそうな雰囲気で]
[抱えられてしまったが、ラッセルは強引に腕から地面にずれ落ちた。
その時にまた左腕を激しく打ち付けて、声もなく悶絶する。
激しくなる息を堪えることもせず、グレンを見上げた]
り、リックが……さっきまでの湖畔で倒れている……。俺はいい……。先に彼をつれてきてくれ
[自分の行き先がハーヴェイ達のところとは一言も告げず、リックのことを頼むと、這いずるように立ち上がって、また歩き出した]
………真面目に考えるもんじゃないな
[本気で妖魔という存在を知らないようなウェンディに思わず苦笑し、自分の今までの思考や行動の馬鹿さ加減に呆れる。妖魔というのは死の具現者みたいな存在だ。と言おうとして、言う必要はないかとやめ]
いや、なんでもない。そっか。ならいっか。
[と、自分で納得する]
にしても知らない。な。ただ一つって言ったからもう聞かないよ。ま、この地にはもしかしたら人狼にとって大事な祭壇でもあるとかあっかもしれないけどな
[とか、言いつつ、それならそれでやばくないか?と思ったがなんとかなるだろう。と思うことにした。最悪また逃げればいいし、なにより目の前のウェンディに毒気を抜かれた]
さて、じゃ、戻るか。
リックとラッセルがやり合っていた…心配だろ?ま、逃げたいなら別だがどうする?
[好きにして構わない。とばかりに聞いた]
[湖畔にたどり着くとそこにはラッセルが言うようにリックが倒れていた。外傷はこれといって見当たらない]
…どっちが勝ったんだかさっぱりわかんないぞ。
[そう呟きながらリックをひょいと抱え上げると学校へ向けて走り出した]
[なんでもない、という言葉の後は、ハーヴェイが自身に向けている言葉に聞こえて。少女はきょとんと首を傾げた]
うと、祭壇とかじゃなくて…
[言って良いだろうか。瞬間悩む。
けれど、本当に山勘だけど。
ハーヴェイならば大丈夫なのだろうと思った]
…祭壇とかより、もっと大事なの。
うん……訓練場、行きたい。
[少女は立ち上がり、ハーヴェイの手を引く。
道がわからないから道案内をして欲しいらしい]
[リックはひとり、湖畔で倒れていた。膨大な恐怖感とダメージのせいだろうか――彼の身体からはかろうじて鼓動を感じる程度で、体温すらもどこか薄れたような質感で居る。]
[グレンが、こちらに近付いている。リックの耳には、それが届くはずもなかった――…]
もっと大事なの…?ま、いいや。また今度暇だったら聞かせてくれ。
それよりも今は、な。さてこっちの我儘に付き合ってももらったし
[手を引くウェンディを抱き上げ、走る…それは人狼の動きよりも俊敏で……にしても無駄骨というか馬鹿というか。ま、俺が心配する事柄はないみたいだし、やっぱのほほんとさせてもらうか。想定外でやばいことが起きたら…ま、それは誰かに任せるか。と。そんな呑気なことを思って駆ける。学園に。]
……ん。ついたぞ
[といって、下ろす。きっとウェンディには学外のどこかにいたということぐらいしか気づかなかっただろう。]
さて、リックたちは…湖畔の方だったと思うが、ま、後は好きにしろや。
う、わぁ…!
[少女自身の足はニンゲンとは比べ物にならない筈だけど。
少女を抱き上げるハーヴェイの足はそれより速くて。
知らず感嘆の声が漏れる]
[然程時間も置かず学園の訓練場に辿り着き。
礼を述べて地に足をつける]
…うん、とっても大事なの。
ハーヴェイさんなら、大丈夫だよね。
[にこ、と笑う少女の後ろ。
少し離れた位置にある穴の奥、蟠る闇が]
[『ゆらり』]
[こんな状態になるのは、幼い頃風邪を引いて以来だ。
確かあの時はメイに連れられて、村の近くの森を散策していて、道に迷ってしまって気付いたら雨も降り出していた。何とか木の虚の中に身を隠していたが、子供一人分のそこに二人は厳しかった。
だから、メイが寝た後で雨除けとしてずっと外に立っていたことがある。
もちろん、帰ってから高熱を発して、約二週間は身動きがとれなかった。
そんな懐かしい思い出を何故か思い出しながら、熱によってかかった靄のような思考を引きずる。
そして訓練場の穴の近くにウェンディとハーヴェイの姿あるを見つけた途端、ラッセルはうつ伏せに倒れ、意識を失った]
[嫌な予感がした。とにかく急がなければならない。
特に理由も無くその衝動に駆られ学校までひたすら森を駆け抜ける。
そして視界が開けた。目指すは訓練場。
そこに見慣れた二つの人影を認めた]
ウェンディ!
リック!起きろ!
なんか…俺なら大丈夫とか無駄に信用されている気がするが…
[半ば呆れたように呟き俺、これでもウェンディ勝手に攫ったんだけどな〜。内心で思いつつ]
大事なこと…か。ならその大事なことのためにもがんばるんだぞ…。
俺は気まぐれだからくれぐれも当てにするな。
[そして彼女の姿をじっと、見て、何か悟り]
何かリックやらにでも、伝えてほしい事があったら、伝えてやってもいいぞ。
[蠢き揺れる闇は穴からゆるりと伸び上がる。
其れは次第に、人の形を作り上げて]
私たちが一番大事なのはね。
[闇は、色を伴う。
青い髪、蒼い瞳。緑を纏う、男]
仲間なんだよ。
[少女は、何処までも無邪気に]
[蒼い『彼』は、その両腕を二人に向けて伸ばした。
その奥へと迎え入れる為に]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新