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[……今頃...が作った。彼の擬態は学園で授業を珍しくも受けていることだろう。
そしてとある実験に失敗して、...が作った擬態は死ぬこととなる。学園に居たハーヴェイはここで消える。元々悪評がある自分が実験に失敗したとて誰も疑問には抱かないだろう、そしてその実験の失敗の余波は、周囲の人間を巻き込む…
死にはしないように計算はしているが、それでも結構な怪我を負うことになるだろう。それを治せるのは、多分この学園には、あのキャロルという教師ぐらいで……
騒ぎに乗じて逃げるもよし。
治療をするという条件で無事逃がしてもらうもよし。
受け入れられるのならば…彼らの感情をよくするために上手く利用するもよし。
どう転んでも悪くはあるまい…
余波といえばその授業の担当者…ゲルトが何かあうかもしれないが、この騒動で役に立たなかったのだ、少しは大目に見てもらう。]
[もちろん、慌てた。
それはもう挙動不審のようだ。
だが、足手まといという言葉に、目をぱちくりと瞬いて、小さく声を出して笑ってしまった]
は、はは……。
[どうやら、彼女は激しく勘違いしているらしい。
こういう部分はそれなりに男の意地のようなものなのだから、気楽に待てばいいのにと思うが、それ以上口にださなかった]
えっ、どうして笑うの!?
メイ、なにかヘンなこと言った!?
[適当な謝罪の言葉でごまかされると思い、どう反撃しようか考えていたら、予想外にも笑われてびっくりする]
でもっ、ラッセルが来るなって言っても行くんだからねっ!
メイ、これでも学園守護隊の一員だもん。これからのメイに必要なのは実戦経験だと思うし!
学園長の許可もとってきたもんね!!
[誇らしげに胸を張り、うんうんと、一人で納得するかのように頷く。学園長がラッセルが人狼騒動の鎮圧をあっさりと許可したのも、このせいだった]
それにね、
[...はそっとラッセルのまだ満足に動かない左手に自分の左手を重ね]
メイは、ラッセルの左手になりたいんだよ。
[ラッセルが抜けた研修生の席を...が手にしたのは、不思議な天の悪戯のような気さえした。
未だ言動に幼さが残る...が一人前と呼ばれるようになるには、もっと訓練と経験が必要だろうが]
……いい、よね??
[様子を伺うように尋ねた許可を求める言葉は、鎮圧について行くことについてなのか、……それとも?
自信満々に言ったくせに、最後には結局ラッセルの判断を伺うのだった]
[自分の左腕になりたいと、まだ不自由な己の手を握り締めるメイは、とても可愛らしく見えた。
こんな様子を見せてしまっては、またマンジローが暴走するかもしれないと思うと、背筋に冷や汗が流れる
とりあえず、そんな妄想を頭を振って追い出すと、すっと自分の右手をメイの小さな手に添えた]
メイ、俺は君に里で待っていてほしいんだ。
[別に足手まといという訳ではなく、ポケットに慌ててしまったため、半分飛び出している指輪の箱が、理由だった]
[案の定ついて来るなと言われ、不満そうに頬を膨らませた。文句を言おうと口を開いたが、ラッセルの目が優しげではあるが有無を言わさない真剣なものだったので諦める]
無理しないで、怪我なんかしないでね。
あと、絶対帰ってきてね。
[ラッセルの両手で包まれた自分の左手に、さらに自分も右手ね、包む。それに視線を落とし、ふとあるものが視界に入った]
ラッセル、ポケットから何か落ちそうだよ?
怪我は……正直、こういう仕事だし約束できないな……。
でも……必ず帰るよ……。
メイの隣に……ずっと立っていたいから。
[どっちにしても、今のままでは、ラッセルがメイの足手まといになるからこそ、今回ばかりは譲れない。
だが、それともう一つの理由がポケットから顔を出していたのに気付かず、メイに指摘されてサァっと顔色が青くなった]
あ、い、いや、これは……その……。
[何とかポケットの奥に入れなおそうとして、指が引っかかった。
箱は、あっさりとラッセルから、本来の持ち主となる少女の足元に転がり、口を開けた]
あ……。
……うん。
メイもだよ。
だから、なるだけ早く帰ってきてね?
[ラッセルの言葉に、頬を染め嬉しそうにはにかむ。
そして、ラッセルのポケットからなにか小さな箱が転げ落ちたので、拾ってあげようとかがんで手を伸ばし]
これ、指輪……。
[意味を問おうとするが、言葉がでず、一度口をあけたものの、閉じ、ラッセルを見つめ]
[指輪の真意を求められて、どうしたものかとうつむく。顔は真っ赤で汗で前髪が目をふさぐ。
恥ずかしさで思考がまとまらず、どうしたものかと空を仰ぐ。
真っ青な空だった。
あの日。
故郷が襲われた日も、こんなに晴れ渡っていた。あの日は傷を心に刻んだが、晴れた日がつらい思い出だけというのは、メイに味合わせたくないものだった。
だから――]
メイ。
[色々な葛藤を全て飲み込んで、ラッセルはメイをやさしく見つめた]
[優しげに微笑むラッセルの真摯なまなざしに、赤く染めていた頬をさらに赤くし]
はい。
[そう、やっと一言だけ返事して、見つめ返した]
[正直、ここでそこまで話を進めるつもりなどなかったが、何と言うか、後に引けない状況と思いが、勝手に口を動かしていく]
……俺が、これから行くのは欧州の南のほうなんだ。あっちの方はさ、海が綺麗で暖かいし……
[そこで一度言葉を区切る]
それでいて、美しい教会も多いんだ。
[再び言葉を切ると、メイの手の中から指輪を取ると、シャーロットに頼んでサイズを調べてもらったメイの左手薬指に、指輪をはめ込んだ]
一緒に、教会に行こうか。
メイの髪みたいにさ、虹色に輝くステンドグラスの、教会に、さ
[やはり恥ずかしさからか、人狼に対するときとは違い、おもいっきり遠回りな台詞を、メイを見つめながら言い切った]
[左手薬指にはめられた指輪とラッセルの顔を交互に見、みるみるうちに泣きそうな顔になって]
……メイでいいの?
ラッセルと家族になれる??
メイでいいのなら、一緒にいきたい……。
[流れ出しそうな目尻を親指で拭い、その後に軽くキスをする]
メイ、以外は考えていない。
もし、断れたら……、マンジローの故郷にでも傷心旅行、かな?
[そう冗談交じりに笑った]
…………ふぅ〜
[自分が作りし、己の擬態の遠隔操作は終わると。一息つき、閉じていた目を開け、湖畔をぼうと見る。
後は、どうなるかは、人狼親子と周囲に委ねよう。自分が出来ることはここまで。
願わくば、争いを好まぬほど甘くも、勇気ある人狼親子に幸あらんことを……]
[泣き顔にキスをされて、照れたように微笑んだ。
断られたらという言葉に勢いよく首を横に振って、そしてラッセルの背中に両腕を回し抱きしめた。離れないと言うかのように]
ありがとう……
[照れた仕種さ、笑顔や、その温もりが何処か心の中でナニカを溶かしていく。
恐らく、それは復讐という名の氷山なのだろう。
思いは消えずとも、守護者としてここに立っていれば、間違いなくいつか仇に到達するだろう。
だが、その時、ラッセルは復讐以外の思いを胸に戦えると信じた]
メイ、すぐに出られるかい?
いけるなら、そうだな……。人狼に対処したら、そのままバカンスだな?
[まだあまり動かない左手で、それでも力いっぱいメイの手を繋ぐと、村が襲撃されてから、初めて心から笑顔を見せた]
[後は……逃げるだけ。…なのだが、慎重をきして夜を待つ。
自身の最低限のものだけは持ってきている。自分の寮のものは整理はしていない。ほんの少しでも不自然に思える要素を潰しておいたからだ。
世話になった、ローズマリーにはここを去ると告げておいた。学園の生徒であることは言っていないので問題あるまい。文句を言われるかと思ったが、意外になにもなく送り出してもらった。
ほかの人間には…人狼騒動をともにした人間にはなにも告げていない。多少は関わっていたのだから何も言わないのは不義理な気もしなくもなかったが仕方ない。説明しづらいし、してもいいことなどない。でも…]
悪くなかった…かもな。
[と...は不慣れでぎこちない笑みを浮かべる。]
[そして...は闇が周囲を包み、夜陰にまぎれれるようになるまで。そっと目を閉じた]
[すぐに出られるかと問われ、頷いた。もともと、ラッセルの人狼討伐について行くつもりで出てきたのだから]
出られるよ。
……そういえば、ラッセルとメイだけでどこかに遠出するのって、初めてじゃない??
[楽しみだね、と嬉しそうにそういって笑い、繋がれた手を握り返した]
[この間の七斉の時は、二人きりじゃないのかなぁと、ぼんやりと思いつつ、とりあえず頷いておく
ただ、歩みだした足取りはひたすら軽かった]
―学園入口、大樹の元にて―
[リックは大樹の太い枝に糸を引っ掛け、蓑虫のごとく逆さにぶらさがっている。今頃は自分達家族とナサニエルが里に残れるか否かの議論がなされているのだろう――いろんな意味で心配そうに彼を見つめるウェンディに、リックは話しかけた。]
……なぁ、ウェンディ。
これから、どうなるんだろうなぁ……?
[振り子の要領で揺れながら、「なにが?」と答えるウェンディに、リックは曖昧に答える。]
んー………。
[糸の付け値には、真っ白な芋虫――リックが蝶を作ろうとして失敗した魔法生物――が、のんびりと歩みを進めていた。]
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