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『久しぶりね、ナサニエル。
私達の子が、すっかりあなたにお世話になっちゃって。ごめんなさいね。』
[扉の前で、金髪の女性が微笑む。ナサニエルが次元すらも超えて扉の奥へと向かう姿を見て、夫婦は遠い過去へと思いを馳せる。]
『ん……まあ、頼んだぞナサニエル。だいたい、お前はいっつも自分ばっかり面倒事背負いやがって……。たまには、お前が一番幸せになる方法を考えて、実践してみろっての。ったく……』
『そうね…。彼のおかげで、私達は平穏な日々を得られたようなものだもの…。この里に逃げ込んで、家庭を持って、子どもにも恵まれて……。その間…1日たりとも忘れていたわけじゃなかったけれど、ずっと彼を独りにしてしまったわ……』
『そうだな………』
[両親の遠い過去の思い出話を耳にし、リックは摘み上げられたまま、両親の顔を黙って見上げていた。]
水だ!
馬鹿野郎ッそんなんで足りるか!
[テーブルの上、グラスに並々と注がれた水をぶん投げ]
タライだ!タライ一杯の水……タライとは何かだと?
ええいバケツだ!
バケツ一杯の水〜っ
[そして両腕に、零れそうなほど水を注がれたバケツを抱えて、怒涛の勢いで広間へと戻って来た]
水だぞ!これでもう大丈夫だーッ
[ハーヴェイの回答に一度桃色結界の方を見遣り]
「……あー」
[『彼』は色々と察したらしい]
「学園長は大丈夫だろう。
結界を解除すれば出入りは可能だ」
[無造作に『彼』は指をぱちんと鳴らす。
それだけの動作で、あれほど強固に張り巡らされていた結界が一瞬にして無に還った]
[それからグレンを抱え上げようとして]
「……水?」
[嫌な予感に、『彼』は一歩後退]
うわぁ!何だ貴様ッ
[突如として現れていた、グレンに寄る謎のナサニエルの存在に驚きながらも]
…構うか。うらぁ!
[それどころではない、謎の男ごとぶっかかっても構わんという顔で、グレンに向かってバケツを掲げた]
[少女も両親の話を聞いていた。
何処か懐かしげで、切なげな表情。
少女は『扉』の方を見る。その奥に居る、『彼』を思って]
[その、『彼』はと言えば]
……冷たい。
[後退距離が足りなかったのか、見事にずぶ濡れになっていた]
んー、にしてもあの二人が両親で。そして…
[...は色々言いながらも鏡はちらちらと見ていたらしい]
…ここ本当に守護者の里か?
[と、かなり防衛機能に疑問を思った]
[ギルバートは、リックをポイっと床に落として、キャロルの頭を抱いた。]
………いってーーッ!!
何すんだよ父さ……
[リックが頭上を見ると、両親が寄り添い合っていた。プイと振り向き、かつて結界だった場所を見つめる。]
『……ああ。そうだな。
だけど、これから失われた時間を取り戻せばいいさ。
ここの住民には受け入れられないかもしれない。けれど、別の場所でもいいから……俺たち家族だけでなく、ナサニエルとも幸せに暮らせる方法を、これから探していけばいい……』
『………………。
うふふふ……。ギルバート、あなたって、いつも無駄に前向きよね?』
『ま、それが俺の取り柄みたいなモンだしな?気にすんなって。
リックとウェンディが、そのチャンスを与えてくれたんだ。俺達はそれに感謝しなくちゃな。』
[叩かれた左腕に激痛が走る]
〜〜〜〜〜〜〜! 〜〜〜〜〜〜!
[どうやら声にならない痛みのようだ。周囲にかまう事無く痛みで屈伸したせいか、メイの上半身を抱きしめるように上体が起き上がる]
にしても……本気でどうすんだかな。
[リック、ウェンディ、ナサニエル、ギルバート、キャロルのことを考え言う]
隠れていたみたいだが、どうせ露呈するだろうし…ま、それは俺もだけど。
[それは他人事のように思えぬ自分が居る。
今まで、自分の行動からくる悪評を利用して、変に勘繰られないように。いたつもりだが。
これを機に過去を調べられたら…]
どうすっかね〜…
[とりあえず売れば先立つものに変わるものを回収している]
[拷問を受ける夢から覚め、水をかけられ、
視界に入るのは"自分たちだけの世界"のラッセルとメイ、 そして見慣れぬ男と教師2人にハーヴェイとマンジロー、
そしてウェンディにリック。
和気藹々とした雰囲気に思考が追いつかない]
えーと、リックを捕まえないといけなかった気が…
[ギルバートは、ラッセルに向かってアドバイス。]
『ああ、ラッセル…言い忘れてた。傷はほとんど治ったけど、1週間は重いモン持つなよ。
彼女を「抱き締める」のは構わないが、「抱く」時は慎重にな。』
[ギルバートはキャロルに尻をつねられ、「…痛っ!」と小さく呟いた。]
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