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ああ、将来のことを考えると早いに越した事はないんだろうな。
農家の嫁が大変だっていうのはお袋を見て知ってるから
どんな女性でも大事にするつもりだよ。
くっ…
(…大人だ!)
[淡々と語るグレンに大人の影と後光が射して見える。
彼を見る目が変わりそうである]
どんな女性でもって、でも、じゃあ…
…例えば資産家の娘で気位は高く。
その癖、髪はけばけばしい紫、瞳の上の化粧も濃く、茶色い黒子は鼻くそのよう。
唇がなめくじほどに分厚く、鼻の穴おっぴろげながら、あは〜んだありーんとかすり寄って来るそういう女性だとしても、そういう人外だとしても、君は大切にするか?
本当に大切にできるか?
[懐の広さが何だか悔しかった。
狭量な所が見たい様子]
[マンジローの提示した女性像に少し戸惑う]
…な、なんか凄そうだけどそんな人本当にいるのかな。
でも、その、あは〜んだありーんとか言ってすり寄ってくるってことは
向こうとしては愛情を持って接してくれるわけだよね。
…じゃあ、それに…応えるべき…かな?
くっ…
[この国に来て初めて見た種の、世にも恐ろしかった女性を思い浮かべながら口にしてみたのだった。
その者が人間であると気付くのにも、時間がかかったものだ。
だがそれをもあっさり受け入れるグレン(うまく想像できていないだけだが)
――敗北。
その二文字がマンジローの頭によぎった]
俺は、あなたを見くびっていた…
ただの力持ち農夫と思っていたが、なるほど守護者一族の出であるだけのことはある。
男として人間として……ちょっと尊敬した。
でも、負けないからな!
[同じ学園一年生として!
結わえた木刀の柄を握りしめながら、肩をいからせて宣言]
そういえば、マンジローってその…いわゆるサムライなのかい?
最近ここからは近くないけどある町で
強盗団に襲われた女性を助けに入った自警団が
多勢に無勢でやられそうになったところを救った
サムライの守護者がいるらしいよ。
いかにも、俺はそのいわゆる侍であるッ!!!
……と言えれば格好良いんだが。
まあ、しがない道場の倅です。
はあ、強盗団に襲われた女性を助けに入った自警団…を救ったサムライの守護者。
それは実は、俺の仕業ですッ!!!
……と言えれば最高なんだが。
他にも居るんだろうかな…諸国漫遊中の和国出身者。
…ム。
[微妙に最近生き別れた金魚の糞を思い出したが、奴は里出身者だしとぶるぶる頭を振って怖い追跡者の予感の棄却を図る]
おおおお!そうだったのk…ってなんだ、違うのか。
[サムライと和国の剣士の違いがわからず首を傾げる]
そういえば、その守護者はこの国の人間らしいよ。
サムライソード(注、刀の事)を持ってたからサムライなんだろうな。
(ちなみに実話です)
そうあからさまに、がっかりせんで下さい〜
[地面にのの字とか書き出しそうな目で]
和国だってねぇもう国も開いてるし、将軍様やら御家人様やらのわんさと居た時代から、ちょっとは進みもするんです。
……え。
[だがしゃがんで、地面にのの字を書こうとする手がぴたりと止まり、ぎぎぎとグレンを見上げる]
この国の人間で刀を持ってる強い守護者…はははは。
まぁさかあ〜。
…居たとして、奴だとして、近くない町にいたんでしょ?
……近くまで来たとして、怪しい奴は門番が入れない。
うん。
大丈夫大丈夫。
[里の片隅でちるるとジュースを飲む少女が一人。
ちるちるとストローで吸い上げながらも目線は別。
朱金の光を放ちながら滞空する石を見つめている]
ぅー…安定しない…
[少女の言葉の通り、石は時折ふらりと揺れる。
はふん、と息を吐き出して、石を頭上に移動させ相変わらずふよふよと浮かべたまま、とことこと道を歩き出した]
グレンさんと…えーと…そうだ、マンジローさんだ!
[二人に向けて挨拶の言葉とともに右腕をぶんぶん振って。
集中の切れた石は光を失い、こつんと少女の頭に落下した]
ぁいたっ
…あーん、また落ちちゃったー。
[気の抜けた声で、大丈夫大丈夫と笑っている]
はははははは……ハ?
何だありゃ。
[その目が捉えたのは、朱金の光を放ちながら滞空する謎の石。
子供の身長のウェンディはまだ見えないが、彼女の頭上で輝くその石は、遠目にも道の中にあって目立っている。それを指差して]
ちょっと、あれ見えるかグレンさん。
…人魂?
ああ…ウェンディ。
ほんと、ウェンディだったなグレンさん。
[だんだんと近付いてくるそれに思わず身構えたところで、聞き覚えある少女の声が届く。
と同時に、その頭へと落ちる石]
こりゃどうも、我が同級生さん。
魔法の訓練にも耐久力が必要とはね。
[大丈夫かと痛がるウェンディに軽く笑いながら、挨拶をして迎える]
[ウェンディにリンゴを差し出すグレンを見ると、つい口元を手で覆う。くすくす笑って]
グレンさんは、出会う度に人に野菜や果物をやっているな。
それではあなたの畑は、あっという間に空になりはしないか?
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