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―女子トイレ前―
[冷たく鋭い一瞥を向けられて
レジオンもまた不機嫌そうに眉を寄せる。]
……女子トイレだろ、そこ…
[声を聞くに女性でもなさそうだった。
警戒も顕に横目で睨むように見つつ
その場を立ち去る不審な生徒(という認識)を記憶に止める。]
[青い影が人成らざる速度で駆け抜ける。
廊下の角を曲がったところで、先に立ち去った女子トイレ使用者の触手に盛大にぶつかってみたり。]
やあ、あんッ
ご、めんなさいッ!**
……。
……そうか…。
[シャイってレベルを超えている気がする。
と眼が語っていた。]
転校早々、賑やかになりそうだな。
…校内の雰囲気が何処か浮き足立ってるのは
そのせいなのかな…。
[こそこそ呟きは、聞こえない。]
ぁ?
ああ。わかった。
またな。
[ものすごく脱兎の勢いで
青い影が走っていった。速い。ものすごく速い。]
…あいつは陸上部かなにかか?
[勘違い。]
女子トイレは何か不味いのだろうか。
ヒトガタ維持の緊張から解放される憩い空間は、
女子用の方が多く都合が良いのだが。
[角を適当に曲がったところで神妙に独りごちる。]
――!?
[背後から衝撃。うっかりつられて、こちらの姿もどろどろ蝋の如く溶け出した。]
御免で済むなら警察は要らない、というのが
人間どもの格言らしいぞ。
全く、浮かれすぎだふぃーあ。
[不穏に左右に揺れるゲル状の塊。蠢く無数の微細な触手。振り子のようなブレはやがて治まり、長身痩躯が涼しげな表情で立っている。]
早急に、あの不恰好な羽と尾を何とかして
オレのような完璧な擬態を習得するのだな。
いつまでも文化祭を言訳にはできんぞ。
[殊更偉そうに青い彗星、もとい触手を睥睨してから歩き出す。通った道には足跡代わりに、蛞蝓が這った後のようなぬめぬめが*残されていった。*]
―校内廊下(トイレ近く)―
……へんなやつ。
[ぽつ、とつぶやくが
それはミウにはどう聞こえたやら。]
…それじゃ、おれは職員室に行くから。
[ずれた鞄をもう一度肩にかけ直し
青い髪の転校生は職員室へと向かった。]
[一方その頃。
万寿次郎は地下迷宮に挑戦していた。]
なになに。
ここは生存率0%……鉄の試練……?
[『賢者にのみ道は開かれる』と書かれた看板。
迷宮の名の通り、謎を解かなければ先へは進めない。甚大な路と、試練を踏破する知恵。二つが揃って初めてSKS地下迷宮は乗り越えられる。]
ええい! まどろっこしい!
[万寿次郎は壁を破壊して先へ進んだ。]
―職員室方面―
[前の学校では制服だったのだが、
此処はどうやら自由な校風であるらしい。
などと思いつつ。
ノック2回、軽く叩く。]
…失礼します。
本日転校してきたレジオン・ガーランドです。
…担当の先生は、いますか。
[やや緊張気味であった]
−3-A教室−
というわけで、今日からこのクラスで世話になる事になった。よろしく頼む。
名前は……
[黒板に名前をすらすらと書き始める]
玄武王 猟馬(げんぶおう かるま)というハンドルネームだと覚えておいてくれ。
[そうクラスメートに本名であるタイムトラベラー零という名前を告げずに挨拶をすませ、席につく。
当然両足は机の上に投げ出しつつ足を組み、椅子は若干斜めになるように後ろに重心をとりながら、両腕は頭の後ろに組み、そして常に校庭の外を見つめる。
ただの格好つけだ。形から入る男。それがタイムトラベラー零。
また誤解がないように言っておくが、彼はアメリカ出身なのでファミリーネームが零である。
念の為に言っておくがタイムウォーカーでは無い。ここは大人の約束だ]
[戸口万寿次郎
らんだむもんすたー
こうげきりょく:30000000
ぼうぎょりょく:300000000
まりょく:∞
とくせい:かならずバックアタック
じょうたいいじょうをひきおこす
『ぼくのバンダナはフローラル』にちゅうい。
こうこつ・そうろう・きんがん・ばんこん
いずれかのじょうたいいじょうをふせぐ
ぼうぐがひつよう。]
[戸口万寿次郎は、光の向こうへ飛び出した!
1.再び野地下迷宮
2.プール
3.ジャングル
4.体育館
5.職員室
6.3-A
{1}]
−1−A教室−
うわあ、ほんとなにこれ。
[授業中。クラスメイトのほとんどの瞳に感情らしい色を伺えず、ひとり気味悪がっていた。
そしてチャイムが鳴る。]
ボ、ボクちょっとお手洗い、に。
[何時限目かの授業を終え、乾いた笑いを浮かべながら教室から逃げ出した。]
―職員室方面―
……、2-B、ですか。
[諸々の説明を受けて、書類を提出した。
親元を離れているので細々とした手続きも
自分で行うこととなる。
学校は細かいことには突っ込んでこない。
レジオンにとっては好都合であるが。]
わかりました。
ありがとうございます。
[場所を教えられ、職員室を後にした。]
-売店-
この粗暴な気は……万寿次郎ですか。
やんちゃに育ったものです。
[万寿子は授業の合間に購買でおにぎりを買っていた。具の入っていない塩にぎりだ。]
何か飲み物が欲しいのですが。
[万寿子が売店の人に尋ねると、ペットボトルの麦茶が出てきた。追加で払って今日の食事を手にいれた。]
−売店−
ああ、よかった普通な感じっぽい人!
[教室を出たところで見かけた万寿子の姿に思わず声をあげる。
とりあえず目には精気がある。普通 っぽい 気が、す る。]
あの、すみません。ちょっとお話いいですか?
え。
[万寿子は声のした方へ振り向いた。]
なんでしょう。
もしや、最後の一つになってしまった
この塩むすびが食したかったとか……?
[売店の人が『塩むすびは売り切れました』のプレートを出していた。人気商品のようだ。]
いや、ボクそんなハラペコキャラじゃないから。
[きっぱり。]
あの、ボク転校してきたばかりなんだけれど・・・
なんかクラスの子たちがみんな精気がないっていうか雰囲気が怖いっていうか、この学園ってこういうものなのかなって。
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