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[事前にわかればとの白水の言葉にこくり、頷き]
うん、妖の中には勘に優れた者もいるのではないかな。
勘など頼りにならぬかもしれんし、そもそも見分けがつくと言い出す者がいるとして、それが本当のことかもわからんが…
皆に尋ねるくらいしてみても、悪くなかろ?
[遥月の嘆きが耳に届く。
仲間の血肉を口にする事を想像してしまって、指先で触れた唇の向こうで小さく喉が鳴った。
泉に帰る白水の姿を見送りながら、真理に首肯]
そうじゃな…おぬしに今しか無いとそのようにわらわは思わんが、咲き乱れるより早く散ってしまうことを望まぬは、わらわも同じ。
きっと、狩る者などには負けぬぞ。
[だが決意に見開くはずの眼は、とろんと眠そうで]
ん…負けぬしがんばる気ではおるが、戦士にも休息は必要よの。
[薔薇色の唇] [ニィと笑み] [黙し] [命の言葉を聴くも]
おや、命の姐さんはそろそろお休みかえ?
無理はするもンじゃないヨゥ。
[焦点の合わぬ目のまま、司棋へと微笑み返し]
ああ。眠るまでここに居ろうて。
[胸元に落ちる温み。
やがて寝息が聞こえれば、
藍は元の色を宿して、幹に頭をもたせ長く息を吐く]
己は何をしているのだ……。
約束事などもうするまいと――。
[苦く呟き、暫く目を閉じる]
左様ですねぇ、メイ様。
誰にも休憩は必要かと。
嗚呼、なんならわたくしと共に参りますか?猫又の蜘蛛様に、蝶の毒の味をご賞味戴くもまた一興……
[紬の袖、奥でくつくつ。]
……冗談ですよ、今宵はね。
では皆様、おやすみなさいませ。
[ヒラヒラと手を振り、何処へと消えた。*]
[ひらり] [ひら] [ひら] [舞う花弁]
[ざわり] [ざわ] [ざわ] [蠢く衝動]
嗚呼、そろそろさァ。
もう好いヨゥ。
[蕩けた碧] [潤み] [湿って] [眇めるか]
[寝こける司棋からそっと離れ
頬に残る薄墨に吐息をかける。
ふわとはがれ離れるそれはやがて何にも成らずに消えるだろう
司棋の袂に残した墨には気づかぬまま、
そろりぺたり、一度振り返り、境内に戻る]
ん…?
[くぁあと大きな欠伸で目の端に涙を溜めた目で、妖し笑いの口許を袖に隠して笑う遥月を見やり]
そうじゃなぁ…わらわはどうせ味わうならば毒より、甘いのが好みじゃ。
同じ蝶ならば、舌にとろける花の蜜を分けておくれな…ふぁ…
[涙で霞む遥月の姿が見えなくなる迄見送って]
うん。
別段無理などしておらぬが…もうわらわは休む。
常磐のひめよ、おぬしも明日からの戦いのためにもよく休むのじゃぞ。
[それから前後不覚の態で、社の軒下に良さそうな隙間を見つけると、するする身体を捻じ込ませて、気持ち良さそうに*はまり込む*]
[遥月の置き土産] [微か薫る血] [桜の色] [白粉と混じり]
[戻る気配一つ] [濡れた碧] [すぃと青鬼捉え] [ニィと笑む]
司棋の兄さんは大丈夫かえ?
[碧の瞳に][さらり顎を撫で指先は口元を隠す]
あぁ…大丈夫だ。あの様子なら大丈夫であろう。
ところで先ほどなにやら騒がしかったが?
[人影引けた宴の後を眺める]
学生 メイは時間を進めたいらしい。
[隠す口許] [眇める碧] [遊螺り] [立ち上がり]
[しゃなりしゃなしゃな] [下駄の音響かせ] [歩み寄り]
お姫様にお休みの接吻でもしてきたかえ?
さて、騒ぎの正体は聴いたが未だ観て無くってネェ。
是から観に往くけど茄子の兄さんも来るかえ?
馬鹿を申すな。
[眉根寄せ、視線逸らす]
見に行く? 何かあったのは此処では無いのか。
――ふむ、行こう。
[ぺたぺたり、常葉の女について歩き
浴衣の胸元、手は握り。つきり水痕 傷むか]
[寄せられる眉] [逸らされる藍] [其れ以上謂わず]
[隻腕に] [すぃと腕絡め] [握る手] [見下ろし] [瞬いて]
其ン手は如何かしたンかえ?
―――鬼ごっこが始ったのさァ。
[未だ人だかり] [人混み掻き分け] [辿り着き先] [林檎飴屋か]
おや、此処だったンかィ。
[喧騒の中] [立ち込める] [血の香]
[ざわり] [ざわ] [ざわ] [蠢く衝動]
嗚呼、良い、好いネェ。
なに、少々戯れが過ぎた。
[絡まる腕] [握る手の平、黒く煤痕 覗く赤肉]
鬼ごっこなど既に始まっておろうて。
[人だかり分け進み、此方を向く数多の視線]
成る程…これは礫のひとつふたつは飛んできそうだな。
――狒狒の店主か。
何故この者か。さてはて、手当たり次第はあちらも同じか。
[見下ろし、さらり顎なでる]
今宵は過ごしてばかりだネェ。
[周囲の喧騒] [密やかなる声] [変わるか]
[煤痕の合間] [覗く赤肉] [濡れる碧眇め]
嗚呼、恐い、怖い、強いネェ。
襲われたら護ってお呉れヨゥ。
林檎飴が喰えなくなっちまったネェ。
[呟くも] [濡れた碧] [頬撫でる手] [見詰めた侭]
[ついと視線を巡らせて。
密かなる声は一度止むも、
視線を外すとまた何処からかはじまる。
常葉の女を隻腕側へと押しやって]
こちら側に寄っておけ、腕があかねば如何しようもない。
ふむ、運試しの余興もここまでか。
[呟くと、林檎飴が食えないと女が云うのに半目を返す]
お前さんはそれでも林檎飴か。
[綺麗な血] [新鮮な紅]
[ざわり] [ざわ] [ざわ] [蠢く衝動]
王子様を喰っちまったらお姫様が哀しむかネェ。
[押されるのに] [腕解き] [青鬼に] [身を寄せ]
[濡れた碧] [藍を覗いて] [周囲へ移し] [ニィと笑む]
嗚呼、林檎飴だヨゥ。
別に狒狒の兄さんにゃ興味も無いが飴は美味しかったからネェ。
[ざわめく周囲] [飛ぶは] [飛礫か] [屋台の刃物か]
[眇めた碧] [蠱惑的に揺れ] [コロコロコロリ] [笑い声]
やれ、本当に来るとはネェ。
確り護ってお呉れヨゥ。
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