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[笛を出そうと懐に手をやるも、口に指をねじ込まれてしまう。
思わず噛んだ口の中には、血の味がするはずが]
墨?
[墨の香にむせて、声すら出せない。]
やれ…何ぞ疲れた…
今宵は離れさせてもらうぞ…
[置いた茶浴衣小脇に抱え、一夜限りの黒浴衣。
響く足音微かなれば、*闇に消えるも早かろう*]
さぁ、何がいいかねえ。
飴はもう売ってねぇし。
[山吹袖からすらりと伸びた
細い指に舌はわせ軽く歯を立てる。
ぎりと睨まれ愉悦の顔で]
甘露な魂ってな土産になるのかねえ。
それとも肝?
笛は壊れちまうかねぇ。
ええ……開耶様。心得ました。
[袖を口許から離し、道具箱へと下ろす。]
貴方様は酔ってはおりませぬ……左様でございますねぇ。
[口許は袖の奥に隠したまま、白水に紅の視線を向けた。]
[鏡を手に取り、唇の紅を塗り直す。其の鏡には、酒精の「呪い」から開放された、開耶の姿が映って居る。]
………ふふっ。
酒場の看板娘 ローズマリー は、なんとなく 学生 メイ を能力(食事)の対象に選んでみた。
/*
面白くなってきたので一応食事対象を変更。
一寸残念だとまだ名残惜しい気持ちが。
生きてたら明日喰おうか。
[噛んだはずの鬼の指は、痛みなど感じないかのように口の中で蠢く。
頬の裏側をなぞり、舌をいじくり
──力が入らないのは、出血だけが理由なのだろうか]
[くすり笑って][遥月の言葉に首傾げ]
何故に汝れが心躍るのかは妾にはわからぬが――
他のやり方は知らぬゆえ、良いなら良かった。
[続く言葉に今度は反対側に首を傾げようか]
妾が酔うは無理なようじゃ。
ほんの一瞬、体験出来たが気分の良いものではなかったのぅ。
[捕らえた意味は少し違うか]
[笑う常盤に視線を投げて]
何やら汝れも楽しそうじゃ。
[つられるように笑み返し]
[去る開耶の背に視線投げ]
はて、怒らせてしもうたか。
青司といい開耶といい、妾はどうも失敗が多いらしい。
さてはてあれは何を喰らうか。
しかしお前さんも豆な男よ。
児を前にして喰らわぬは名が泣かぬか?
[からからから、ひとしきり笑い。
腕の中、墨伝う首筋をつぅと舐める]
程よい色が浮かぶと良いがなぁ。
土産で悩むなら、その間に己が丸ごと喰ろうてしまうぞ。
[唇の紅を塗り直し、鏡をしまう。妙に疲れた様子の開耶を見てにこりと笑い、ヒラヒラと手を振った。]
はい、開耶様、また明日。
ごきげんよう。
[ぐるりと周囲を見回して]
あらあら。
そういえば、青司様と喰児様は何処へ……?蘇芳様もいらっしゃりませんが……。
あンまり無理おしで無いヨゥ。
[去る琥珀] [ひらり白の手振り]
[白の少女] [判らぬ様] [ニィと笑み]
嗚呼、開那の兄さんのあンな顔が見れるなンざァ楽しいヨゥ。
[遥月の言] [ぐるり見回し]
さァて、酔い醒ましに鬼ごっこにでも往ったかネェ。
[遥月の声に自分も周囲を見回して]
あの二人ならば――
どこぞで悪さでもしておるのかの?
[口調は冗談めいたもの]
[何をしてるか知りもせず]
蘇芳が見えぬは聊か妙か。
[笑みは消えて思案顔]
ははあ、先に見つけたのは相棒だからなぁ。
ちったあ分別わきまえてるんだぜえ?
だが、そんなら遠慮なくいただこうかぁ。
[薄く開いた口の中、白い牙が獲物を狙う。
娘が爪たて抵抗するも
鬼の前ではそれは児戯。
仮初の身体裂ける音。]
児の肉は矢張りいいなぁ。
そんでもやっぱぁこいつぁアヤカシの味かあ。
[笑い混じりに食みながら]
汝れはいつでも楽しそうゆえ
汝れを見てると妾も少し楽しゅうなる。
[ニィと笑まれりゃ][くすりと返し]
[遥月の言葉に視線を戻し]
酔うことを識る、か。
皆が言うような気持ちいい気分ではなかったゆえ
酔う楽しさがいつかわかればいいのぅ。
[常盤の言葉を聞き、紅の視線は不思議と語る。]
鬼ごっこ……ですか。左様で。
赤鬼様も青鬼様も、お忙しゅう御座いますねぇ。手の鳴る音が聞こえたのでしょうか。
もしくは、わたくしは血肉を食らう鬼ではございませんから、今宵は何も聞こえなかったのでしょうかねぇ……?
[くるりと振り返り、月を見上げる。]
……嗚呼、綺麗な月。
今宵は微かに、山吹色の光も見えますねぇ……。綺麗なこと……。
[柔らかく降る月の光に、遥月は*目を細めた*]
[隻眼の碧] [すぃと眇め] [紅い双眸覗き]
白水の姐さんは何時も物憂げだからネェ。
偶に迷子の童みたいに見えるヨゥ。
さァて、手を鳴らしたンは誰かネェ。
嗚呼、今宵も佳い宵さァ。
[遥月倣い] [番傘の向こう] [山吹色の月仰ぎ] [呟く]
お前さんは味で見分けがつくのか?
[首筋、顔を離さずちらりと赤鬼見遣る]
かっかっか、良かったなぁ小娘。
己に唯喰われるよりは、身の潔白示して喰われたほうがまだ良かろうて。
――どのみち散りて終わるに変わりはないが。
[赤鬼喰ろうて此方に散る赤、毀れる墨色。
己の体に飛び散る前に赤を取り込み煤と変わる。
娘の体を伝う墨は蔦の如く娘の体を這いずりまさぐる]
あぁ、子供のその顔、久しぶりに食欲をそそるわ。
己は甘露な魂ひとつで充分よ。血肉は赤鬼が食らうと良いさ。
さぁて、――攫いて戻れよ。
[からり笑えば、娘の身体に巡る墨。
魂さらい青鬼の口へと滑り込む]
[宵闇色の鬼の舌が首筋を伝い、赤鬼の舌が指先を這う。
怖いのに、恐ろしいはずなのに、身体の力が抜けたまま]
…っ!
[身体が、恐ろしい力で引きちぎられた。]
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