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[寄れば拭わぬままの頬の緋色は見えようか。
懐入れた右手の先に扇を触れつ]
不得手か。
知られるば難儀なこととなろうな。
[覗く藍に琥珀は閉ざし]
さて、青司の手並みなぞ知りはせぬが。
杯の酒を零す程に手元危く酔うておれば
人も容易く獲り逃がすだろうと思うたまで。
[真理の顔をついと覗き込み]
ははは、そう睨むなぃ。
[杯相手の唇に当て、
万次郎の言葉に答え]
ああそうだな、面白ぇ。
剣のナリしたアヤカシか。
そうだな、皆同じだ、腹は減るんだろうさあ。
[金の眼細めて舌なめずりを]
アヤカシ桃太郎に
ヒトの鬼たぁ
お天道様もびっくりさあ。
やってみるかい、喰らってみるかい?
俺もそれなりに腹ぁへってるからなあ。
[言葉遊びを楽しむように、刀と男に語りかけ]
知られれば難儀は己よ。構いはせぬがな。
手並みを知る時は食らう時だろうて。
知らぬままがよかろうよかろう。
かっかっか、云われても仕方の無い様だのう。
なあに手元が狂えど如何様にでもなるわ。
[ぺたり、裸足は一歩踏み出して
頬の赤をまじりと見詰める]
その額は如何したか。
お前さんのなりからすれば、血の気の早い事はなかろうて。
つまらぬ喧嘩の流れ弾か?
さァて、茄子の兄さんの事ァ詳しく知らぬけれど、墨絵諸共に茄子の兄さんも水に解けたりしてネェ。
[濡らしてみるかネェ] [冗談交じりに] [コロコロリ]
[未だ齧らぬ林檎飴] [手にした其れ見] [ニィと笑み]
おや、そいつァ御免ヨゥ。
頼もしい家来のお陰で桃太郎は鬼にすら勝てたのさァ。
貶すどころか褒めた心算だったんだけどネェ。
貰った林檎飴は大事に食べさせて貰うヨゥ。
[寄せられる盃] [尖る薔薇色の唇] [僅か開く]
[ちろり] [覗く紅い舌] [酒舐め] [すぃと身を引き]
昨日に続き今日まで是じゃ睨みたくもなるヨゥ。
[木目の入った盃] [白い手の中で踊り] [ひらり差し出す]
亡骸抱いて咲き乱れ、かあ。
咲き乱れんなら俺ぁこの眼で見たいねえ。
[誰が渡すか苺飴、
常盤の花が咲くのかと]
誰が遊ぶか、相棒はどうかねえ。
折角なら碧と遊ぶのは俺がいいねえ。
ああ、舞か。
そいつぁいい。
香りはするがまだこねぇな。
楽しみに待つとするかい。
異国人 マンジロー は、なんとなく お尋ね者 クインジー を能力(透視)の対象に選んでみた。
異国人 マンジロー は、なんとなく 書生 ハーヴェイ を能力(透視)の対象に選んでみた。
[睫毛がひくりと動くのは目覚めの前兆か]
ん〜…?あ…れ…?
あぁ、随分と時間が…
疲れてたのでしょうか?
見苦しい所を…。
やれ、なれば知らぬままが良いか。
青司の不得手を知れれば我は愉快だが。
[くつり嗤いて双眸開けば藍は更に程近く。
裸の足が立てる音に瞳は其方へ向かいつも]
…これか?
その辺りの妖が石を投げてきただけよ。
白金の狐、どうやら我らのみならず、他の妖にも伝えたらしく。
石飛礫しか投げられぬとは妖は狩られるが余程怖いらしい。
[くつくつくつ。
零るる声は狂気色]
[金と緋のあやかしに向け
ひらひら
掌を振って見せ]
遊ぼうとも、そう面白可笑しくもないぞ。
こやつらは我に使役されるほどのあやかしよ。
程度は知れておるだろうに?
それに気が向かぬと手を抜くでな。
其のツケは我に廻る廻る。
其方と、戯れるのは其方がヒトであった時にしようぞ。
遊びならこちらだ。やるか。
[三つの賽がのった黒の盃とりだして]
おや、やっとお目覚めかえ?
危うく色んな奴に唇奪われかけてたヨゥ。
[コロコロコロリ] [笑って] [伸ばす白の手] [赤の髪梳き]
[かすかに瞼を震わせて薄く薄く目を開ける。
昨夜は確かに夜に眠り、今また夜かと疑うか]
…ん…?
[長く眠った瞳には景色すらも捉えられず]
見たけりゃ別の魂お呉れヨゥ。
アタシァ泣いて咲いて乱れて遊ぶのさァ。
[変わりに青鬼] [遊ぶと謂う]
其ンなら代わりに茄子の兄さんの魂でも喰おうかネェ。
茄子色の亡骸抱いて喰児と鬼ごっこかえ?
[冗談か] [本気か] [コロコロコロリ] [笑う声軽やか]
[ひら] [ひら] [はらり] [舞う花弁] [見詰め] [濡れる碧]
開那の兄さんや薄紅の花弁と舞ったら益々酔っちまいそうだネェ。
やれやれ、お前さんも己で遊ぶ口か。
[半目で肩を竦め、続く言葉に目を顰めるか]
成る程、成る程、かっかっか。
寝首を掻くより先に礫を投げるとは、
少々知恵の回らぬものよのう。
[さらり、顎なで傷跡眺め]
さてはて、手ぬぐいは汚してしもうたな。
仕方ない動かずじっとしていろ。
ふぅむ。先の様だと、真に溶けてしまいそうな…。
[墨色に染まりかけた下駄の跡を思い出し]
そうだったか…。
ヒトに加担する獣などと考えていた我が悪かったかね。
済まなんだ、火影に垂氷。常葉の君もだ。
[肩すくめ。俯いてあくびを]
[絹の白い手差し出す器、
無骨な掌受け取って]
まぁた機嫌損ねちまったなあ。
いけねぇいけねえ。
[つと身じろぎをする姿。]
よう、おはようだな、司棋?
随分長い眠りだったぜぇ。
まるで眠り姫だな。
[笑い含んだ声色で]
さて、『も』というなれば、幾度目か。
青司は遊ばれる性質のようだ。
[半目に笑えば琥珀は細く]
やれ、仕方あるまいかとは思うたが、
少々虫の居所が悪く、つい脅してしもうた。
関わるまいと離れるか、危きと見て狩りに来るか。
さてどちらに転ぼうか。
[狂気の色もそのままに。
嗤えば藍は緋色に向くまま]
…何ぞ?
[問うと手が伸ばさるるは同時か。
僅か走るは緊張の]
[司棋の目覚めにゆるりと視線をやり]
――汝れのお守りは妾のせいでおでかけじゃ。
悪いことをしたのぅ。
[突然にそんなことを言われても理解したかはわからない。]
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