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[飛ぶ燕もろともせずに、残る一つが旋回する合間。
伸びる鋭い爪。ひらり尚も飛び退き、カラコロリ。
かわしきった心算でも
藍の浴衣裂き、胸元上がる墨飛沫]
かっかっか。
これは一筋縄ではいかぬ鬼よ。
[ゆらり、紙千切り、絵柄も見ずに咥えて吹く。
鬼めがけ走る狛犬2匹、背後より旋回終えて燕が1匹]
[空を翔る。駆ける]
空!そら!!
[帰らぬ藍色 その時が
間に合わなかった その時が]
[駆ける茶浴衣]
[薄紅単]
[重なる]
[蘇る]
[繰り返される]
[黒の浴衣] [ばさり舞い]
[三羽の燕] [風を切り紅へ飛ぶ]
[薔薇色の唇] [艶やかな笑みを湛え]
[一羽] [大きな手に握られ]
[一羽] [赤鬼に緋を滲ませ]
[一羽] [爪立てられ煤と成る]
[体制崩した刹那、万次郎に斬り込まれ、右の手から血が噴出し。
瞬間、夜斗が万次郎へ喰らいつき、その場に押し倒すも直に主人の前へかばうように]
あ…ぁ…
[がくがくと震え、立ち上がれず。
遥月を見つめる目は怯えを含み、腕はだらりと血を流して垂れ下がり]
[緋の色が飛ぶ。
手応え有りと感じたものの、黒の狼がすかさず動いて。
柄を持つ左手首を放さず
どう
と狼とともにそのまま倒れ込み。
手首からは血が ぱた ぱた と己の頬に落つる。
ぎら、と睨みつけ蹴りあげるように狼を退けようと試み。
この時点で既に息は上がり、緋色の柄を握る手も緩み始め
チャリン...
主の弱り方に比例し、双刀の輝きは失われた]
[赤鬼の鋭き爪] [藍へと伸び]
[下駄の音響かせ] [飛び退く青鬼]
[胸元より舞う] [墨の飛沫が迸るか]
[潤む碧] [甘い闇孕む漆黒]
[眇める双眸] [黒き蝶が面で舞う]
/中/
今気が付いた。
外見的には万次郎のが確実に近い。
…どっち行こう。どっちでもいけそうだよネ。
あ、さすがに[ ぴーーーー ]を過去に見てるのはアレか。
青司の方に行こうそうしよう。
ほおう、もうちぃとは深く行くと思ったがねえ!
[狛犬唸ればそちらをちらり
もうひとつは燕の羽音]
ははっ!
[漏れる笑いは歓喜の色で
足で踏みつけ尻尾を千切り、
もうひとつに叩きつけ
燕の滑空逸らして避けて]
ああ、やっぱり墨の味なんだぁなあ。
[地に落ちた緋色の柄を横目に
黒き狼と一進一退の攻防を――――]
あにじゃ…っ…あにじゃ。
我、はヒト……を、も喰えぬ 雑鬼で あった、の…か?
仇を 討、てぬ程…度の あやかし、であったの……、か。
[刀から出でた身。そこそこの堅さは持ち合わせているが
持久戦となるとどうなるのか。不安が過り、小さく弱音が零れた]
/中/
そんなメモで使い切るなーーーー!!!(爆笑)
なんだろうこの村。
すっげシリアスなのに何でこんなにメモ笑えるんだろ…w
[墨染め、身動ぎもせず見入る。]
[はらはらと降り頻る花の間に間に、緋と藍の色。]
[つばくらめ、緋の鬼の膚に燃ゆる髪と同じ色引くも、]
[烏羽玉の眸瞬かず。]
[遥月への怯えを隠し、右腕を押さえながらゆるりと万次郎の前へ立ち]
…刀の、妖精…?
お前、そろそろ殺してやろうか…?どう殺してほしい?
[己の目の色に生気は無く]
[呼気荒く、狼の重みを退けようとするだけで手一杯の己に
ゆらり近づく影。変わらず強い瞳で睨みつけ]
死ぬものか…、我が死ぬものかッ!
死ぬのは、わっぱ、お前だ―――!
わっぱ、お前を此の手に掛けて、そして我は…生き、る…のだッ!
[叫びにも似て。見おろす瞳に生気が無いと分かると、狼を撥ね除けようと渾身の力を込めた]
[燕はついと己の隣滑り抜け]
墨喰ろうては腹ぁ壊すぞ。かっかっか。
[笑えば、裂かれた傷より墨は脈打ち毀れる。
墨色染まって毀れれば、腰元の帳面濡らして絵潰す。
三度目、破る紙。
咥えて拭けど黒き蝶は飛ばずに落ちて。
――舌打ちひとつ。
胸より毀れる墨に手あて伝い絡めて
燕旋回すれば、己も地を蹴り赤へと向かう]
ああ、愉しいなあ相棒よ。
刹那も何も、あれとの約束すら忘れてしまう程愉しいなぁ!
[赤の身体に直接墨を刻もうと隻腕伸ばす]
[不安と嫌悪が入り乱れる司棋の視線を背中に感じ、遥月はゆるりと振り向いた。]
司棋様………
[空気を切り裂く様に、言葉を放つ。]
これから司棋様がご覧になる光景は、まさしくわたくしの「因果」其のもの……。わたくしの「愛」にかけられた、残酷な「定め」をお見せしましょう……
嗚呼、貴方様を欲してなお何ひとつ「真実」を語れぬわたくしを、貴方様は軽蔑するでしょう。そして、それこそがわたくしの身に降り注ぐ「呪い」の正体……!
[唇を震わせ、声を振り絞る。]
……今から起こることは、貴方様との「其れ」とは……
[言い掛けて、踵を返す。
白いうなじが月夜に照らされ、襟足で揃えられた後ろ髪は微かな風にそよぐ。]
[――そして遥月は、万次郎に対峙した。]
[駆ける二匹の狛犬] [戻る燕]
[赤鬼] [歓喜の笑みを洩らすか]
[一匹] [踏み潰し] [一匹] [叩き付け]
[燕はまた] [空を切る]
[青鬼は墨の味と赤鬼が謂う]
[長い睫毛震わせ] [傘の柄握り直す]
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