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[番傘くるくる蜘蛛の糸
獲物捕らえて喰らう性。]
蜘蛛かぁ。よぉく似合ってらあ。
そりゃあ子鬼程度じゃ碧の相手はつとまらないだろうさ。
はん、
着物の色が染め変わっちまったぜ。
鬼ごっこかぁ。
そりゃあ命がけだねえ。
喰うか喰われるかだ。
俺ぁ鬼になり損ねたかあ?
[揶揄半分で杯掲げ その模様は木目色。
笑う青鬼振り仰ぎ]
そうかいそうかい、
夜の夢こそ真という言葉もあるがねえ。
祭りは派手なほどいいのさあ。
[白の少女] [問う声に] [振り向き] [ニィと浮かぶは三日月]
昼間は泉を貸して呉れて有難うネェ。
刹那を楽しむにゃ邪魔なもンもあるのさァ。
[新たな気配] [琥珀の君] [碧と翠向け]
おや、開那の兄さんもおいでかえ?
昨夜は楽しかったヨゥ、次ぎは何して遊んでお呉れかえ?
[青鬼笑い] [酌をすると謂う] [しゃなりしゃな] [歩み寄り]
[膝着き座り] [赤黒の袂より] [木目の浮く盃] [すぃと差出し]
そンじゃ遠慮なく頂こうかィ。
[開いた番傘] [くるうり] [てらてら光る傘] [積もる花弁]
[先生に褒められ][くすりと笑んで]
汝れも大分――指導者らしい形(なり)をしておる。
[吼える犬には首を傾げて]
やれやれ、ほんにわっぱじゃのう。
[けれどくすくす][愉しそう]
[遥月は、メイの髪をそっと撫でた。]
はいはい、メイ様。落ち着いて下さいな。だいたい真に強き者は、子鬼ごときに吠えますまい。それを言ったのは他ならぬメイ様ではございませぬか。
[メイの鼻筋を指先で軽く撫でる。]
その御手本をメイ様からお見せになれば、司棋様も負けたと音を上げるやもしれませんよ?御試しになってはいかがです?
[メイににこりと微笑んだ。]
[藍の謎解き][袖は口元のみならず顔まで覆うか]
[嗚呼けれど][くすり][もらした笑みが聴こえる]
命か。
汝れの例えも悪くない――。
[袖から出た顔][いつもの微笑み]
[捨てるも拾うも裁量なれば]
あの者には裁量がなかったのであろう。
[メイの云いに、笑い殺して神妙に頷く]
左様左様。
お前さんを頼りにしているゆえ、喧嘩止める無粋を承知で申したのよ。
万次とひとつ酒でも持ってきておくれ。
笑うて酒呑み交わせば、それもまた大人の態度よのう。
[見送り、開耶が瓢箪出せば、薄く笑む]
なぁに、少々腹の足しにせぬばならなくての。
流すも良いが、今宵はその気がむかなんだ。
如何思われようとも構わぬが、なればお前さんも礫を投げるか?
良く吠える犬か。せいぜい見極めてからにせいよ?
所構わず引っ掻きにかかる猫は厄介だ。
[翡翠の頭を掴む手は更に強く、両腕振りかざそうとするメイを無理矢理に回れ右させ、出店の並ぶ道迄強引に連れ出そうと―――]
そうころころと良く表情を変えるものだ。確かに猫なのだな。
うむ。行くか…。
[くつくつ。なぜかおさまらぬ笑い声。
翡翠の頭と肩並べ出店をふらりふらりと。
店は少ないものの、酒を並べる店だけは明るく灯がともる]
[喚くメイに去る司棋]
…やれ、一体何なのだ。
[騒がしきにゆるり息吐き]
[左を揺らせばちゃぽり瓢箪が鳴る。
碧と翠、異なる双眸に瞬くか]
やれ、何ぞ面倒が有ったようだな。
[呟きひとつ。問いはせぬ]
愉しきを求めておるなら良きことか。
我には次の術は無い。
愉しき手立てならば他に聞くがよかろう。
[番傘飾る緋蜘蛛巣糸。
やれと溜息零しつつ]
[開耶に問うといれば、此方を仰ぐ赤鬼]
かっかっか。真に真。そうさのう。
あれも真なれど、過ぎ行く泡沫の夢じゃ。
祭りも鬼ごっこも派手に花散らすが良いさ。
お前さんは色も赤も派手を好みそうだのう?
[しゃなり歩む常盤の女。
差し出される杯にそこらの瓢箪ひとつ掴みとぷりと酒満たす]
宵も酔いも何時まであるか。
過ぎれば全て泡沫か。今は刹那に身を任せ飲み謳おうか。
[番傘影に隻眼灯るは碧の義眼。目を細め眺める]
子供喰らうアタシァ女郎蜘蛛かえ?
[赤鬼に小首傾げ] [揺れるは常葉か] [妖しの蛍火か]
鬼さん此方、手の鳴る方へってかえ?
アタシが鬼なら欲しい獲物は横からでも掻っ攫うさァ。
遠慮なんてェ詰まらないもンはとうに忘れちまったからネェ。
[琥珀の君] [呟くだけで] [問いは無く]
面白い事があったのさァ。
おや、開那の兄さんは次ぎの術無したァつれないネェ。
司棋の兄さん居らぬ今ならまた幻でも見せてお呉れかえ?
主、其処の瓢箪をふたぁつ。
ついでに…是に利くものは置いているか?
[片手の拳を手首で丸めくいくい、と猫の真似]
『珍しい物をお求めで。少量なら…ございますが』
なら其れを貰おう。代はこれでいいな。
[ちゃらんと銭を投げ置いて。瓢箪二つと紙に包まれた粉末を手に]
メイ。面白い物を手に入れたぞ。
其方にとっては酒より林檎飴より面白いやも知れぬ。
さて、宴も始まっておろう。
雑鬼に絡まれる前にさっさと去ぬとするか?
[紙包みは懐へ、瓢箪提げた片手。空いた手で翡翠頭の少女の手を引き引き、社への道を戻り始め―――]
[袖が顔覆う衣擦れの音。視線は白へと戻して、もれる声]
白ならなんと例える。
[笑む顔に、満足げな笑みを返し]
かっかっか、己ら物の怪裁量こそが寿命となるか。
ああ、有塵様。
修羅場はとうに終わりましたよ。
わたくし達の舞いは、如何でしたか?
御酒の肴になりましたか?
[途中から殺戮か乱交か区別がつかなくなった自身の行動など気にも留めず、有塵ににこりと微笑んだ。]
[薄い笑みに細まる琥珀]
やれ、何ぞ面倒ばかりになりそうだ。
祭りが妖の血ばかりでは主も喜ぶまい。
さて、真に狩る者なれば主に捧げねばならぬか。
なれば礫など生温かろう。
[すぃと藍から瞳背けるば、枝のひとつで影動く]
…やれ、起きたか薄墨。
刹那の内なれば暢気なことよ。
[有塵の声] [顔あげ] [番傘つぃと傾け] [覗けば舞う花弁]
[潤むは隻眼の碧] [揺れるは妖しの翠] [一つ瞬き] [ニィと笑み]
有塵の兄さんもお目覚めかえ?
[満ちる盃] [つと掲げて] [細まる藍覗き] [ニィと笑み]
[盃乾かし] [ちろり] [薔薇色の唇] [紅い舌が舐め] [瓢箪奪う]
酔いの佳い宵、折角だから返杯しておこうかィ。
刹那に遊び今を楽しまないとネェ。
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