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[顔だけはとっさに庇ったものの、髪に、服に降り掛かった胡椒に軽く咳をする。
なるべく息をしないようにして、粉末を払った。
十分に振り払われるまで、口は開けない。
口を開けるようになった頃には、既に教官は部屋を出ていた]
あたしも、部屋で着替えて来るわ。
胡椒、髪にもかかっちゃったみたいだし。
[カレーを食べるナサニエルの脇を抜け、寮の自室へ]
ふふ。
それじゃ、ヴィクトリアの方をお願いしてもいいですか?
[そう言ってヴィクトリアを放す。
放されたヴィクトリアはソフィーの足元まで行き、擦り寄る。]
何だよ。
塩辛い粒が髪についてるくらいのこと、お前の性格のキツさに比べりゃ全然どってことねぇのに。
[そんな軽口を叩きながらも、脇をすり抜けて行ったキャロルにも手を振った]
ああ、一張羅でも何でも着て来いキャロル。
けどソフィ先を待たしちゃ悪ぃ。
サクッと着替えて来な。
[自室。ベッドの上に置いてあるネリーの箱は、置いた時のままの形。メールを待ちながら、またひたすら解いていたパズル。…おそらく、最後の…残りの一手を間違わなければ開くだろう。]
[それをぎゅっと抱きしめ、ベッドの下から出したリュックサックのポケットに入れる。
いつでも使えるように綺麗にしていた、大きめのリュックサック。その中身が、スケッチブックや絵の具等の画材道具と、額に入れられた数枚の作品で一杯になる。]
…うん。
[自分は…おそらく、いやほぼ確実に外に出ることになるだろう。
だから、これは持っていかない。…小さな部屋の奥の、大きな絵を見た。
もしシェルターに高名な画家の絵が保存されるなら…この絵も混ぜて貰えるだろうか。]
[シャワーを浴び、服を着替え、自室のベッドに腰掛ける。
窓の向うに見える景色に、姑くぼんやりと視線を彷徨わせた。
シェルターに入るつもりはない。
このまま、収容所の外を目指し、出ていくのが自分の望むこと]
希望の子、ね。
[視線を落とし、口を歪ませて笑った。
それは、シェルターに入る為に集められた子供達の呼び名。
けれど、キャロルの希望はもう、ここにはない]
[――嘗て、自らの手で生命を生み出した事が在る。
然し其れは何れも不完全なもので、本物には遠く及ばない。
理論は当っている筈なのに、何が足りないのか。解らなかった]
……態々、奇妙な場所を選ぶ。
[そして、何故自分は未だ此処に在るのだろう。
檻から解き放たれた今、何処にでも行けるだろうに。
外の世界を知らないからだろうか、其れとも、]
中/
そう言えば反応したかったなぁ。
コーネさんの絵とはすれ違いになったんだよね。
あの日ぱっと食堂に行けば見られたなー
中/
そうそう。
今回の吊り襲撃、『シェルター行き希望』にかけようかと
思っているのですが。どうでしょう?
OKならメモ貼りします。
(3人とも外に出たいと言い出したらまあ適当な所に(ぉ))
さて…
[再びコインをポケットにしまって、食器を片付ける。
終わると食堂を出て、窓の外に目をやりながら廊下を歩く]
この景色を見るのも、もしかしたらもう最後になるのかもな。
代わり映えしねぇ、つまらん景色だと思ってたけど…
[改めて眺めれば毎日見た緑葉も目に鮮やかだった。
ゆっくりゆっくりと、生物工学実験室へと向かっている]
[まだ少し香る胡椒をとるべくシャワーを浴び終えると、窓と扉を全開にする。
最後に、遺す絵にニスを塗るのだ。]
もし…もし終わりが終わりでも…
[後悔しないように]
[…しばらくして彼が部屋から出てきた。体に不格好な大きさのリュックサックを背負った彼の様子は、ピクニックが楽しみな子供のようだった。]
[個人端末から、自分に必要であると思うデータをいくつか携帯にダウンロードし、端末を閉じた。
窓を開けると、育てていたエアプランツを放り投げる。
誰もいない部屋に放置するよりはきっと、外にいた方が長生きできる。たとえ、数年後に消えてしまうとしても。
放り投げた空の、そのまた向うにいる終端の王を思う。
シェルターに入れば、確かにそれからは逃れられるかも知れない。
けれど、それは自分で掴みたいと願う希望ではない。
知識を、種を、残したいと思うのなら、残したいものがかってに残せばいいのだ。
希望は自分でもぎ取れと、あの教官は言った]
意外と、先生らしいことも言うのね。
[少しだけ微笑んで、窓を閉めた。
ポケットには携帯と口紅]
投票を委任します。
吟遊詩人 コーネリアスは、美術商 ヒューバート に投票を委任しました。
投票を委任します。
冒険家 ナサニエルは、美術商 ヒューバート に投票を委任しました。
[廊下に出ると、まるで遠足に行く子供のようなコーネリアスの姿を認め、眉をしかめる]
あんた、どこ行くつもり?
[思わずそう、声をかけていた]
何入ってんだ、それ?
おーもそう。
[重そうに揺れるコーネリアスのリュックを押して持ち上げながら、遠足前の子供のような顔につられて笑った]
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