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アタシも楽しかったヨゥ。
けれどアタシァ狩って尚も楽しいさァ。
情に絆されりゃ鬼に喰われちまうヨゥ。
人恋しいなら人間の輪に居たら如何かえ?
此処じゃアタシ達ァ異端さァ。
己の本性、狼と教えられました。
人と在ってもそれを食い 妖しと在ってもそれを食いましょう。
昨日今日、己は人よと教えられたとて、とても戻れますまいに。
あぁ、やはりつむりが痛い…
司棋の兄さんは人をも喰らうンだネェ。
やれ、食い意地の張った子だヨゥ。
戻る戻らぬは自由さァ。
司棋の兄さんが何を望み何を楽しいとするかだけだヨゥ。
温もり求めた相手を屠るなれば、其れは性(さが)さァ。
まだ痛むかえ?
[また頭を撫ぜ]
[そぅと髪を梳き] [頭を撫ぜ]
暫くこうしてようかィ。
[目蓋を下ろし] [物言わぬ様子] [頭撫ぜつ見詰め]
生れ落ちた時から狩る者の証だか、アタシの髪ァこンな色だろゥ?
知らぬ人間には異形と怖れられ酷い目にも合ったが、ある時異形に襲われた一人の人間助けたら、英雄扱いさァ。
[頭撫ぜる子は聴いているのかいないのか] [言葉は続く]
けれどアタシァ一度異形に負けて情けをかけられてネェ。
そっからまた人間共は掌返して冷たくなったさァ。
心なンざァ移ろい易いもの、アタシァ人間の中で暮らすより異形を狩って、鬼ごっこしてる方が楽しいヨゥ。
---回想---
赤ん坊、一人山奥泣いている
両目蒼い色を持ち
忌み子と厭われ捨てられた
山の狼それ見つけ
大事に大事に育てたそうな
その狼、山に住む妖狼故、人語も操り知恵もあり
赤子に人たる知識を教えたそうな。
一つ、赤子へは己の本性狼なると偽る以外。
術を得、知恵を得、力を得。
しかし一人では生きてはいけぬ、
妖狼は、司棋の蒼い目片方抜き取って
それを「夜斗」へと作り変え。
***
本(もと)より刹那を遊ぶ者
けれど負けて覚えた事もある
己に呪いかけて誰にも触れさせぬと誓いを立てた
心が移ろうものなれば
この身もこの心も誰にも遣らぬ
***
ある日狼伝えるのは
「己は人よ。しかし本性狼なるを忘るるべからず。
我ら、生きる為人、も食うが業は妖狩ること」
しかし「人」とは何かも知らぬ故、大して気にもとめないか。
此度、初に耳する祭りの楽、興に駆られて迷い込み。
異形と人の区別もつかず、ただただ己と同じ現身らと酒酌み交わし、けらりと笑い。
知らぬうち、人の情なるもの知ったのか
己が食っていた人の温かさ、知ったのか
***
鬼さん此方 手の鳴る方へ
誘い誘われ蜘蛛の巣張って
絡め取る異形は呪いかかったこの身に染まり
魂の欠片達は黒き蝶と成る
喰ろうて喰ろうて未だ未だ足りぬ
未だ足りぬ
飽く事の無い鬼ごっこ
***
[今また目醒めて、瓢に口付ける。]
[果たしてどれ程酒を身体に収めたか、]
[けれども身体は冷えたまま、]
[朱に染むことも最早稀。]
寒いな……。
もうこれでは足りぬか。
[それでも眸はどこか夢醒め遣らぬまま。]
[酒精を取り入れるだけでは間に合わない。]
[老いたる樹は、ここ数年衰えを隠せず、春になっても蕾少なく花小さく、盛りにあっても寂しい有様だった。]
[それを、在る限りの花芽を膨らませ、往時の勢い取り戻させたは。]
[尋常の精気では養えず、本来冬まで保つ筈の生命を全て注ぎ込んで、それでもなお春の終わりまでは足りぬ。]
[酒をしこたま喰らいても、出て行く精気が膨大なのだ。]
司棋の兄さんも楽しいが見つかると好いネェ。
[ただただ] [あやす様に] [慈しむ様に] [そぅと髪を梳き]
そうだ、開耶……。
[ふと散った同属の形見の扇預かったことを思い出す。]
やれるうちにやっておくか……。
[ふらり、蹌踉めきながらも立ち上がり、覚柄ぬ足取りで桜の生いたる林へと。]
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