[そこに見えるのは、メイとともに人狼退治の旅にでた一人の学生。だがこんな夜更けに、服はボロボロで、籠手と脚甲、それに手にした黒いアタッシュケースには乾いた血液が付着している。息は荒く、足取りも不安定だが、目に宿る力だけは歪まず、それが彼の意識がしっかりとしている証拠になっていた]
くそ……。
メイと逸れたか……。
[...は、呟いてから、自らの武器である拳を見た]
さすがに無理させ過ぎたか。少しは休まないと持たないかもな……。
[歩くたびに、体中の力が吸われていく感覚。それがじわじわと背筋を這いずる羽虫のように、足元から上半身へと侵食を開始する。
どこか遠くで、これが死なのかと達観している自分を感じながら、マンジローが働く店の前で倒れた]