『……ま、そうだろうなァ。』
[ハーヴェイの言葉に対し、ギルバートもまた軽く笑みを浮かべる。]
『人狼にとっちゃ、そんなことは日常茶飯事ってヤツだ。昨日仲良くしてくれたニンゲンが、今日は俺達に刃物を突き付けて身構える……。俺達の遭遇していた光景なんざ、だいたいそんなモンさ。
ある場所に居られなくなったら別の場所に移る。俺達は一生、流浪の民。信じられるのは仲間だけ……だから、また別の場所で、俺達のことを知らないヤツらに紛れて、息を潜めて暮らすだけだ。』
[ギルバートは、リックの頭の上にポンと手を乗せた。]
『ま、コイツら兄妹に、幼い頃からそんなツライ思いさせずに済んだのが幸運だったかな。』