人狼審問

［ …は、湖のほとりで乾いた喉を潤すと、ほっと表情を緩めた ]

生き返るようです。

まさに 『命の水』 ですね。

あのまま荒野で乾いて死んでいたかもしれないことを考えれば、
柄にもなく神に感謝してもいいとすら思っていたのですが…
やはり運命は、そう甘くはないようですね。

やっと辿り着いたこのオアシスの村で、人狼騒ぎとは…

［ …は秀麗な眉目をひそめ、自警団の動きを観察する ]

統率はとれているが、それは、団長の力量によるものの
ようですね…。
恐らく、団長の采配がなければ、ただの烏合の衆。

自分の身は、自分で守れなければ…生き延びられそうにない。

豹頭王のサーガを作る為に、かの王の足跡を辿ってきたものの、
目新しい逸話は聞けず、人狼騒ぎにまきこまれるとは…
私としたことが情けないことです。

まぁ、食人鬼（グール）でなかったことは、喜ばしいかも
しれませんね。

あれは、美しくない…。
美しくないものは、見るに耐えない…。

［ …は、小さな声で何かを呟きながら、竪琴を抱えて
宿屋へと足を向けた ］

[...は、家のドアの影からそっと外の様子を見ている。村に流れる空気がいつもと違うことに気づく。]

お隣のおじちゃんも、お向かいのおばちゃんも、
怖い顔をしてるの…。どうしたのかな？

[...は、キョロキョロと辺りを見回した。]

…ママにお外に出ちゃいけないって言われたの。
でも、ちょっと湖に遊びに行くくらいいいよね？
昨日だって遊びに行ったし、今日も暑いんだもん。
水遊びしてこよーっと。

ぴょこっ。

誰もいないのかな…。

パパさ。
ぶっちゃけ仕事したくないんだ…。

ふっ。

(スーツ姿。
フェルトのハットを手で目深に押さえ登場すると、
広場の中央へそのままムーンウォークで進む)

ポゥ！

(甲高い声で一つ叫ぶと、決めポーズと共に帽子を投げる)



…決まった。

いやぁ、静かですなぁ。

スーパースターとしては若干やりづらい面もあるところだね。



ん、誰がスーパースターかって？



そう、それは私。
イッツミー。

(頭に手をやり、先ほど帽子を投げた事に気付く)

もう暗いし様子を見るか…。
遠く歩いてきたのにあんまり儲けにならなそうだぜ。

しょんぼり。

どうして雰囲気はいいのに静かなの？
田舎だから？
だから？

いやんばかん。いけず。





…。



宿でも探そうかな。

ふぅ……わしゃぁもう眠いのう。

年を取ると、お天道様が沈んだ後は身体がだるくてしようがないわい。
よっこらせ。

[...は杖をつきながら、ゆっくりと湖のほとりのベンチから腰をあげ、村の中央へと向かった。]

ちーっす

……ん？
誰もいねぇのか？

[ …は、宿の部屋で目を覚ますと、ぼんやりと窓の外に見える
大きな月を眺めた ］

赤い月…ですね

［ …は、部屋の中に視線を移し、現在の時刻を確認した ］

まだ夜中…ですか。
疲れている筈なのに、こんな時刻に目を覚ますとは。

［ …は、ベットの脇に用意されていた水差しを手にとり、
乾いた喉を潤した ］

人狼の噂…それが真実ならば、今夜、誰かが襲われるかも
しれませんね。

月がこんなに赤い夜は…人の私でさえ心が揺らぐ…

［ …は、窓の外の月を見上げて、小さく何かを呟いた。
その言葉は短く、誰の耳にも届かないまま消えた ］

朝がきたら、水と食料を補給して、すぐにこの村を去る
ことにしましょう。

吟遊詩人らしく、無力でかよわい小鳥のようなふりをして、
沈みゆく船からは早々に逃げ出せばいい。

戦いは…もう…私には……。

デデッデッデデッ

デデッデッデデッ

パララ〜　パ〜ラ〜ラ〜ラ〜

デデッデッデデッ

シャーコラ!　今日もいい天気だなオイ！
こういう日は絶好の狩リノジカンだなオイ！

さぁて行って来るかな！ッシャーコラァァッ!

デーデン　デーデン

デデデンデン　デデデンデン　デデデンデン　デデデンデン…

カモン！パピー!　追い込みは任せたぜ！
出発だオルァ!

ウリィィィィィィィィッ!!

…。

こ、こ。


んごぉおおおおお。


(ベッドから足をはみ出させて眠る。)




もごもごもご。


…んごぉおおおおおお。


(幸福そう。)

ちぇ、逃げられた。…ご飯食べてこよう。

と見せかけてバックスタブだオルァ!

OH！

日が…日が高い。



日が高い！

干潟かい？



日が高い！

ひかえおろぉ！

そりゃ「頭が高い」でしょぉおおお！

ふっ…今日も絶好調だ。

これで大ウケ間違いなし。




…。



んごぉおおおおおおお。



(寝言だったようだ。)

シャーオラ！まずは一匹目だオルァ！
今日中に全員仕留めるぞオルァ!

何？関係者が見てる？契約違反？


…ンなモン知るかァァァァッ！

…エンターテイメントの気配！


お、俺を…俺をキレさせたら大したもんですよ。
あぁ、大したもんだ。

これでよしッ！
立てば銃撃　座れば爆殺！歩く姿はコマンドー!

狩リの続きに行くぞパピー！

ふっ。
素晴らしい。

あのテンション…見習いたいものだ。


HAHAHA！

(目深に帽子をかぶり、ポーズを一つ決めると、
ベッドの周囲に仕掛けられた罠を次々と突破する！)

グッドバイだ。

ベイビー。


(うつむき加減のまま再びポーズを決め、帽子を投げる。)



…。


んごぉおおおおおお。



(全て寝言だったようだ。)

よう、調子はどうだい。