人狼審問

モサモサ　ウォーオー

キュッ。キュッ。

おはようダニエル。
まあ、景気付けに一杯飲んで、気をとり直したまえ。

しかし……。
言われてみれば、確かに、この村で、
髭を生やしていないのは、今や、アーヴァインだけだ。

……何者かの陰謀か？
いや、まさかな。ハハハ。

床屋のパラドックス、か……。

キュッ。キュッ。

髭……あ、いや、客、客が来ないな……。

髭地獄、か……。

ヒゲッチョ　ヒゲッチョ　スンスンスーン
ながいの　フサフサ
みじかいの　ジョリジョリ
ヒゲッチョ　ヒゲッチョ　スンスンスーン

壮麗なる髭の宴、か……。

……。

……カムカム、客。

朝、起きると、客は誰も居なくなっていた……。

何故だッ！？
髭かッ！？
髭のせいなのかッ！？

何か、あったのか……？

……まあ、過ぎた事は仕方が無い。
とは言え……ただ待つだけではなく、集客を頑張った方が
いいのだろうか……。

しかし、こんなむさ苦しい村に来たがるような、変わった
客は、そうそう居なさそうな気もするが……。
敷居が高いと言うか、何と言うか、とにかく、人を選ぶ
要素が多いように思える……。

このままでは、髭地獄、または、髭パラダイス(略して髭パラ)は、
永遠の彼方へと走り去ってしまう。

……このまま無難に永遠の彼方へと送った方が
いい気もしているのは、君と僕の、二人だけの秘密だ。

……いやいや。
そう言わずに、髭集結できるよう、少しぐらい頑張ろう。
少しぐらい。

まずは、宣伝でもしてみるか。

……フゥー。
こんなところか。

慣れない事に頭を使ってしまったな。

……一応、こっちでも宣伝しておくか。

【あっちを向いても髭。】
【こっちを向いても髭。】
【……そんな、髭パラを求めし勇者達よ。】
【この村こそが、汝の求めし、約束の地ナリ！】

ああ、それから、表には、「髭キャラでのみ参加」
と書いているが、もう、この際なので、
髭に因縁のある設定を考えてもらえれば、
非髭キャラで参加してもらっても構わない、という事にする。
勝手に。

とは言え、髭キャラで参加してもらった方が、
より濃い空間が形成される事は間違いないだろう。
……良くも悪くも。

……こんなところか。
さて、客を待つか……。

(しかし、正直、どうにも集まりそうにない気もしている……)
(もう今の内から、廃村時のネタを考えておくか……)

キュッ、キュッ。

ダニエルが〜木をぉ切るぅぅぅ〜

ヒゲヒゲフォー〜

ヒゲヒゲフォォ〜〜

寒くなってきたわい。
暖炉にくべる薪を、今のうちに一冬超えられる分切り倒して作っておかんといかんのう。

やれやれ。
老体には少々堪えるわい。早く左団扇の隠居生活が送りたいものよのう。

カコーン


カッコーン

夜になったら、酒場のイカすオニイチャンと昔の話でもするかのう。

こりゃあ、今から楽しみじゃわい。

ふぉふぉふぉ

おお、ダニエル、いらっしゃい。

(銭湯か……女湯は……ある訳ないよな……)

昔の話、か……。

そうだな……。
初めて、私に髭が生えた時の事でも話そうか。

私は、元々は、隣村の人間だった。
そして、隣村では、男児が成長して、髭が生え始めると、
「青飯」を食って、祝う風習が、あった。
何でも、「伝説の青いヒゲ」やらと「ごはん」に、
敬意を払っている内に、二つがごっちゃになって、
結果として、そのような風習になったらしい。

しかし、私は、あの「青飯」が、どうにも苦手だったんだ。
それだけで破壊力があるものだったんだ、
ごはんが青いというのは……。
ちなみに、ごはんを青くするのは「ダイエットふりかけ」
とやらを使用している、という話だ。

ちなみに、隣村は、村から出ていく者と、栄養失調による
餓死者とで、遂に誰も居なくなってしまったと聞いている。

話を元に戻そう。

私は、自分に髭が生えたのを知るや否や、すぐに、
長年暮らしていた隣村を飛び出し、この髭村へと逃げてきた。
そして、成人するまでは「髭牧童 フレディ」として過ごし、
成人後は、この酒場のウェイターとして働き、そして、
遂に、先代のマスターから、この店を任されるまでになった、
という訳だ。

私も、あの頃は、若かった。
髭は生えていたが。

……それにしても、確かに、寒くなってきたな……。
もう冬が近い。

私も、銭湯で身体を暖め、洗ってくるとしよう。

さっき、大変な事に気付いた……。
どうやら、近くに、もう一つ、髭の村があるようだ。
しかも、向こうは、かなり前から企画があった様子。
コンセプトも、時期も、かぶってしまったようだ……。

人が集まるならいいんだが、もし、そうでないなら、
向こうの村に参加させてもらう事も考えた方がよさそうだ。
この村の期限は月曜22:30までなので、それまでは
人が集まるかどうか、様子を見ておこう。

うーむ……。
とりあえず、村間違いの無いよう、注意書きを残しておくか。

【D571再戦村は、この村ではなく、951村の方です。】
D571再戦村へお越しの方は、
../951/index.html
の方へ、どうぞ。

尚、この村も、一応、珍しい九人村として、
需要のある可能性が若干残っているので、
私は、月曜日までは粘るつもりだ。

だが、月曜日までに九人揃わず、
951村の方に、もし、まだ枠が残っていれば、
この村からも、951村の方に参加させてもらえればと
思っている。
とは言え、どうにも、中途半端な人数
(両村合わせて10人以上19人以下)しか集まらずに、
あぶれる人が出そうな気がしてならないので、
あぶれるのが嫌な方は、
951村の方へ参加された方が無難だと先に言っておく。

ダニエルは、話からすると、向こうの村の人のようだな。
もし、そうなら、そういう訳なので、遠慮せずに、
951村の方に行きなさい。
私も、あまりにも、こっちの村に人が集まらなければ、
お邪魔させてもらうかも知れないので、
その時はよろしく頼む。

ほっほっほ。
酒でも貰おうかね。

わしは再戦とは無縁の人間じゃ。
気遣い有難うよ。

ふむ、おぬしにはそんな過去があったのかね。

年輪を重ねると、色んな思い出が増えるよのう…

[ダニエルは酒を勝手に棚から取ると、ちびりとやっている]

そうだったか、ダニエル。
勝手に勘違いして、すまなかった。
ああ、酒は勝手に飲んでもらって、構わない。
髭仲間に、遠慮なんて、いらないぜ……。

いやいや、タイミングとは難しいものじゃ。
じゃが、わしは９人村が気に入ったのでお邪魔させてもらった。
まあ、こうしてお前さんと酒を肴に語れる時間がもてたのも、またタイミングじゃろう。

なるほど、そういうものかも知れないな。
よろしく頼む、ダニエル。

それにしても。
あちらの村も、この村も、一気に全員揃うぐらいに、
髭の魅惑が蔓延しないものだろうか……。
それはもう、ニョキニョキと。
そうなってくれると、嬉しいのだが。

ふぉっふぉ。

髭を語る仲間が多ければ多いほどよいのう。
鼻髭と顎鬚の魅力の違いとかを熱く語ってくれる者など、居てもよいと思うのだが。

因みにわしは、どちらも好きでな。それで両方生やしているのじゃよ。

なるほど……。

人に歴史あり。
鼻の下に髭あり。
口の下にも髭あり。

そろそろ、フサフサの髭が重宝される、寒さを迎える季節。
少しダニエルがうらやましいフレディであった。

おお、おお、夏は苦労したぞぃ。
木をカコーン、カコーンと切っておるとな、汗がこう、頬を滴って髭にたまる。
もう、仕事を終える頃には髭が汗まみれでびしょびしょでな。
夏風邪を引いてしまうかとおもったわい。

フレディの髭は、お洒落に整えてあってイカすぞぃ。
わしは、冬の寒さに備えて春から伸ばしっぱなしで失敗したぞぃ。

おお……それは何とも、汁もしたたるいい男の証……。

ほっほっほ。
流石に酒場のマスターに上り詰めた男じゃわい。

爺の扱いに長けておるのぅ。
まあ、夜は長い。わしの髭も長い。秋の夜長を楽しもうではないか。

ん……。
ありがとう、ダニエル。

そういうダニエルの髭にも、雫が付いているぞ。
ふきふき。

おお、おお、すまなんだ。
年をとると、トンと自分の事には無頓着になるものでなぁ。

思えば、この村にもついぞ髭の生えたものしかおらんようになってしまったのう。
髭を剃ったものは、何故か居なくなってしまいおった。
どこからか、髭好きの旅人でも来ぬかぎりの(笑)

ヘイお待ち！

ぬおっ！

こっ、これは…っ！

創作カクテル『八方髭』……。

ういっ、これは今夜は、ほろ酔いでよく眠れそうじゃよ…
フレディは、ほんに髭カクテルの才能があるのう。

髭を八方に生やしたとされる、伝説上の偉人に敬意を表して、
命名されたのがこのカクテル。
わかめや、育毛に効果のあるとされている薬草、漢方を多数、
材料として使っている……。

ダニエル、また髭に雫(？)がくっついているな。
ふきふき。

ほぅほぅ、薬効成分もあって、お髭に優しいカクテルなのじゃな。

これは…この酒は、この店の名物「マスターのお勧め☆」にできるとおもうぞぃ。
うむうむ。わしもこのカクテルは気に入った。
ほんのりワカメ風味なのがよい。

おおっと。

今夜はそろそろお暇するかの。
また明日、遊びにくるでのぉ。

じゃあ、お休み。

おやすみ、ダニエル。
いい夢を。

私もそろそろ、休ませてもらうとしよう。

明日になったら、髭仲間が大量に増えてるといいな。
モリモリと。

おはよう、髭ダンディー。
今日もイイ髭だ。

参ったな……。
客が来ない。

矢張り、髭に問題があるのだろうか……。
いや、髭に限って、そんな事は無い筈だッ！
千髭万来カモンカモン！髭カモ〜ン！
モ〜ン……。

そうだな……村の宣伝文句でも考えてみるか……。

【ヒゲリンピック開催予定村】
がんばれヒゲッポン！

【今、栄光の髭メダルを、その手にッ！】


ううむ……よく分からんが、こんなものなのだろうか。
キャッチコピーというのは。

とりあえず、この宣伝文句を書いた紙を、店内に張っておこう。

……さて。
酒の仕入れに出掛けてくるか。
帰ってくる頃には、店が、ゴージャスかつデンジャラスな
髭ダンディー達が溢れる異界と化していると、
とても嬉しいのだが。


♪ ヒゲッ ヒゲッ ヒゲ〜
♪ ヒゲボ〜〜〜ル〜 (ヒゲボ〜〜〜ル〜)

むぅ、４年に一回のヒゲリンピックか…
どんな競技が繰り広げられるのかのう。

わしが参加できそうな競技と言えば
「髭体操」
　手足を使わずに、空気圧で髭を舞い躍らせ、その技能を競う競技
かの。たなびく髭が、髭フェチの心をガッツリ掴んで離さないのよ。うむ。

しかし、今日は良い天気だったの。
お陰で、薪割りが楽じゃッた。おてんとうさんも老人に優しくて助かるのう〜。

調子に乗って、大量に木を切り倒してしまったわい。
中には、木の間に空洞が出来てしまって、その中から蟻んこの大群が出てきおる木まである始末。
そんな木は、とても商売には出せんから、わしの冬の薪になるというわけじゃの。

しかも、このところ急に冷え込んできたお陰で、ふもとの村でも薪が売れに売れたわい。
わしゃ、懐がほくほくでのう。こうして今日も旨い酒が飲めると言うものじゃ。

老体に鞭打って、木こりを続けている甲斐があるというものだのう。ふぉっふぉっふぉ。

さて、髭のよしみで一杯もらうとするかの。

[ダニエルは、棚に並んでいる適当な酒を手に取り、お湯で割って飲み始めた]

寒い日は、身体が温まるのう。

ふぅ、少し温まったところで、銭湯にでも行って来る事にするかのう。

今日は天気が良くて汗をかいてしまったしの。

ただいま。

ふむ……髭体操か。
熱き男達の、髭が、今、たなびく。

さて……帰ってきたものの、期待していた、
ゴージャスかつデンジャラスな髭ダンディー達は、
ダニエルとフレディとダニエルと私だった。


ゴージャスかつデンジャラスな髭ダンディー達
(今のところ、ダニエルと私だ！)の髭の間へと
飛び込みたいという客は、非髭者であっても、
髭で大歓迎ッ！
勿論、珍しい九人村を楽しみたいという方も歓迎中だ。

しかし……状況は、非常に厳しいようだ……。

とりあえず、私も銭湯に行って、身体を洗ってくるとしよう。


ちなみに、今、この村に参加すると、可愛いマスコット人形
(キッ○ロとモ○ゾー似だが、ヒゲ付き)が、貰える。
フサフサだ。

ううむ……。

ヒゲリンピックが無事に開催され、
ダニエルの見事な髭体操が、各国の審査員に審査され、
そして、10.00を出される瞬間、それを
観戦できればと、そう思っていたのだが……。

まだまだ、この国では、髭人口が足りないというのだろうか……。

……まあ、気ばっても仕方が無いな。
のんびり行こう。

あせらず、優雅に、髭ダンディー。

それでは、私はそろそろ休ませてもらおう。

おやすみ、全国百万人の髭ファンの皆様。
髭は、あなたと共に。

グッドナイ！

うむむむ……。


ああ髭よ
　　お前は一体
　　　　どこに行く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　フレディ 心の一句

これは、もう、廃村は避けられないな……。

まだ、廃村までには、少し、時間はあるが……。

結局、九人は揃わなかったか……。
ダニエル、今まで、髭酒場に来てくれて、ありがとう。

私は、まだ髭を諦めずに、隣の髭村に引っ越すつもりだ。

「髭村の歴史」
　　　　　　　　　　　　　　　　フレディ著

●髭元前4年　ヒゲス・キリスト誕生。
●髭暦199X年　世界は髭の炎に包まれた。
●髭暦2005年10月19日　髭村、建立。
●髭暦2005年10月24日　さらば、髭よ。

髭銀河の歴史が、また1ページ……。