人狼審問

- The Neighbour Wolves -

インデックス プロローグ 
(1975)鍵っ子の村(廃墟) : プロローグ
 村は数十年来の大事件に騒然としていた。
 夜な夜な人を襲うという人狼が、人間の振りをしてこの村にも潜んでいるという噂が流れ始めたからだ。

 そして今日、村にいた全ての人々が集会場に集められた……。
自警団長 アーヴァイン
 ふむ……まだ集まっていないようだな。 今のうちに、もう一度見回りに行ってくるとしよう。
双子 ウェンディがいたような気がしたが、気のせいだったようだ……(双子 ウェンディは村を出ました)
(2006/10/02 23:30:00)
お嬢様 ヘンリエッタがいたような気がしたが、気のせいだったようだ……(お嬢様 ヘンリエッタは村を出ました)
(2006/10/03 03:00:00)
雑貨屋 レベッカが参加しました。
雑貨屋 レベッカ
まったくぅ、やってられないわ。

何がキミみたいな優秀な人はなのよ。
体の良い厄介払いじゃない。

もぅ、くさくさするわね。

―― あたしはバッグの中の鍵を探り、扉にカチリと差し込んだ。
そこはいつもの暗く冷たいアパートの部屋……の筈だった。
しかし。

ん〜、電気のスイッチは……あれ、おっかしいなぁ。

―― いつもの場所にスイッチはない。
そして部屋もいつもより数倍広いような気がした。
なんだろう、この違和感は。

あたしは神経を研ぎ澄まし、暗闇の中に何かを見て取ろうとした。


と、炎のような真っ赤な巻髪の少女が闇の中に浮かび上がった。
いや、闇の中というのは正確ではない、部屋の中央とおぼしき箇所には丸テーブルが置かれ、燭台の上には蝋燭が橙色の光を辺りに投げかけていた。

少女はテーブルの上から鍵を一つつまみ上げると、「再び、あえるだろう」との言葉を残し、奥に見える 10の扉のうちの一つへと消えていった。

あたしがその様子を亡として見ていると、今度はもっと小さい金の髪を持つ少女が現れる。
そして同じように鍵を取り、今度は「終わりは始まり」との言葉を残し、猫を抱いて再び扉の奥へと消えていった。

これは一体……。

あたしは今の光景があまりに幻想的でそれが現実なのか判別できなかった。
いや、現実であるならば、此処は小さなボロアパートの一室の筈だ。
それなのに、こんなだだっ広くて更に奥に別の部屋まであるような場所が現実のものであるわけはない……そう、理性は断じる。
しかし、感覚では、これこそがあたしが棲む世界ではないか……そんな思いが断ち切れないのだった。


あたしは、光に引き寄せられる蛾のように、中央のテーブルへと歩を進めた。
(9)2006/10/03 04:16:20
雑貨屋 レベッカ
―― テーブルの上には10の鍵が乗っている。
そして、燭台の隣に白く毛並みの良い猫がのんびりと横たわっている。

あたしは、その猫……女の子みたい……を見て少しだけ撫で、次いで鍵を手に取ってみた。


鍵には、先ほど幻のように現れ、幻のように消えていった二人の少女が発した言葉と同じ言葉が刻み込まれた鍵がある。
残りの8本の鍵にも、それぞれ別の言葉が刻み込まれていた。

色とりどりの毛糸が鍵に結びつけられ、丁度首から提げることが出来るようになっている。

なんだか小学校の頃を思い出すわ。
両親が共働きで……鍵をこんな風にして持たせられていたっけ。 あの頃は、団地の鉄の扉を開けると、誰もいないシンとした空間が広がっていて。 人恋しかった。
だから、鞄を置いてすぐに遊びに出かけたりして……寂しい部屋が耐えられなかったのよね。

だけど、いまもあんまり変わってないかも。

そんなことを考えながら、指で鍵を幾つかもてあそんでみる。
(10)2006/10/03 04:28:23
雑貨屋 レベッカ
ふと、指先に違和感を感じ、あたしは一本の鍵を拾い上げた。

……これは?

燭台にかざし刻み込まれた文字を読み上げてみる。

「時と人の輪は巡る」

……妙に響いてくる。
乾いてひび割れたあたしの心に慈雨のように染み込んでくる言葉だ。

あたしはその鍵を手に取り、毛糸の輪を頭にくぐらせて首から提げた。
何だか昔に戻ったみたいな気分がした。
(11)2006/10/03 04:34:09
雑貨屋 レベッカ
ふふ、こうしておけば、なくすことはない……か。

奥の部屋のどれかがこの鍵に合う部屋なのね。
……猫ちゃんも一緒に行く?

と、眠っている猫に声を掛けるが、ゆっくりと呼吸に合わせた動きを感じるだけで、これと言った反応はなかった。

あら、残念。
だったらまた起きているときに……。
まずは部屋に行ってみましょうか。

あたしはそうっと足を進め、10の扉の内の一つの前へと立った。 どうしてだか分からないが、この扉に呼び寄せられた気がしたのだ。
きっとこの鍵がぴったりの筈。

あたしは何故だかわからないけど、そう確信していた。

扉へ鍵を差し込むと、カチリと噛み合う音がし、くるりと鍵を回すとガチャッっという音が聞こえてきた。
そのままノブを摘んで回すと、扉が手間へへと開くのだった。

あたしは、扉をくぐって奥の部屋へと進んだ。
(12)2006/10/03 04:45:18
雑貨屋 レベッカは、s/手間へへと/手前へと/
2006/10/03 04:46:03
雑貨屋 レベッカ
部屋の中には、ベッドが一つ。

そして、ワニのぬいぐるみがデンとその上に寝そべっていた。

あたしは、引き寄せられるようにベッドへと歩み寄りぬいぐるみを持ち上げてぎゅっと抱きしめた。
そして、そのままふらふらと、服がしわになるのも気にせずに、ベッドへ倒れ込み、そのまま意識は闇の中へと落ち込んでいくのだった。
(13)2006/10/03 04:49:58
雑貨屋 レベッカはメモを貼った。
2006/10/03 04:53:51
雑貨屋 レベッカ
ほの暗い部屋の中でうっすらと目を開ける。
久しぶりにゆっくりと眠れた気がする。
あたしはぎゅっと全身で抱きしめていたワニのぬいぐるみを離し、ベッドから抜け出した。

キミのおかげかな? ゆっくり眠れちゃった。
あなたの……名前、なんて言うんだろ? あたしが付けちゃっても良いのかな。

そう話しかけると、ぬいぐるみが黒く光る目をこちらに向けてこくりと頷いたように感じる。

そう……そしたら。

ん〜、そうね。 白いワニ、シロ、シロさん、クロコダイル、……シロクロ。
うん、シロクロ。 シロクロってどう?

ワニのぬいに向かってそれでいいかと確認すると、

「ありがとう、良い名前だね」

そう言って貰えた気がした。
(14)2006/10/03 13:05:03
雑貨屋 レベッカ
シロクロ、また後でね。

あたしは隅の洗面で顔を洗い、扉を開けて中央の広間へと向かった。

まだ……あたしの他には猫さんがいるだけ。
あの二人は本当に此処にいたのかな?
それとも、マッチ売りの少女が見たように……炎に照らし出されたただの幻?

時の流れすら定かでないこの空間ではそれを確かめるすべはかなった。


9つの鍵が並んでいるテーブル。
そこに10の椅子が並んでいる。

あたしは、その打ちの一つにそっと腰掛け、猫さんを起こさないようにゆっくりと抱き上げてそぅと抱きしめ、ゆっくりと撫でる。

暖かい。
(15)2006/10/03 13:13:59
雑貨屋 レベッカ
腕の中に息づいている、この他に誰もいない空間で唯一の自分以外のぬくもり。
それがこんなに心安らげるものだなんて。

アパートに帰ってそのまま服を脱ぎ散らかして、ベッドに倒れ込む毎日の中ではそんなこと感じる間もなかった。

感覚が麻痺していたんだな……って思う。

そして気付いたのだ……寂しいという感情に。
(16)2006/10/03 13:16:04
雑貨屋 レベッカ
誰か……誰か一緒にいてくれる人が……居たらいいのに。
猫ちゃんは居るけど、でも寂しいよ……。


あたしは椅子の上に足を引き上げ、猫ちゃんを全身で包み込むと、ゆっくりと目を閉じた。
(17)2006/10/03 13:20:42
雑貨屋 レベッカ
ん……。
寝てたんだ……あたし。

―― 椅子の上で膝を抱え込み、小さくなったままうとうととしていたらしい。
猫ちゃんはいつの間にかするりと抜け出して隣の椅子の上で丸くなっていた。


あたしが寝てる間、猫ちゃん起きてたんだ。
こぉら、キミの事だよ。

人差し指でかるくつつくと、猫ちゃんは少しだけ顔をゆがめ、迷惑そうに見える顔をした。

ふふ、何て名前なの? 毛並みがつやつやしてて綺麗だよね。
今度は、起きているときに会えたらいいな。


あたしは蝋燭の光に幻想的に照らされながら、丸まっている猫を飽きもせずに見つめるのだった。
(20)2006/10/04 00:12:34
お嬢様 ヘンリエッタがいたような気がしたが、気のせいだったようだ……(お嬢様 ヘンリエッタは村を出ました)
(2006/10/04 02:50:00)
雑貨屋 レベッカはメモを貼った。
2006/10/04 07:13:44
雑貨屋 レベッカはメモを貼った。
2006/10/04 07:21:28
雑貨屋 レベッカはメモを貼った。
2006/10/04 07:31:44
雑貨屋 レベッカ
がくりとした落下感にあたしは目を覚ました。

また……うとうとしてたんだ。

頬杖が外れて顎が重力に引かれたのだった。
なんだか幸せな夢を見ていた気がする。
あれは……そう、パパとママとでピクニックに行ったときの事。
お弁当を一緒に作って……サンドイッチだったな。 あたしもバターを塗ったり、ハムやキュウリを挟んだりって。 そして、お出かけ。田圃には蓮華の花。 白と紫と緑の入り交じった絨毯。 畦道を渡り、向かいに辿り着き少し歩くと階段状に整備された遊歩道。
あたしははしゃいで一人だけ先に駆けていって、パパとママが追いついてくるのを待っていたっけ。

木の葉が揺れる音、木々の向こうに覗いている青空、少ししめってヒンヤリとした空気、登り切った先の展望台の眺望。 辺りには同じような家族連れが居て……それから。 なにか……何かあったような気がするんだけどな。

そして、場面は変わる。

あたしは、自分の姿を遠くから見ていた。
(24)2006/10/04 08:58:00
雑貨屋 レベッカ
丸テーブル、椅子、燭台、橙の光に照らされ、椅子の上頬杖を突いて眠るあたし。 大きく伸びをして少し歩いては丸くなる猫。

黒い四角い裂け目が空間に現れる。 扉? 見えない扉。
最初に見た巻髪の少女がそこをくぐって再び室内へと現れる。
眠っているあたしを見つめてそっとテーブルから鍵を取り、言葉をつぶやいた、今いる場所からは聞こえない筈のそれは何故かはっきりと、こう聞こえた。

「終わる場所で始まるだろう」

……あれ? あたし……記憶が混乱している?
それとも最初に見たと思ったのがごっちゃになっていたのだろうか。 たしかに、あれは亡として曖昧だった……だけど、今見ているのは輪郭もはっきりと見て取れる。
愛らしい顔の中に不安を押し隠している彼女に与えられた言葉。

少女は鍵を手に取った後、広間を歩き回り、やがて一つのソファの上で眠りこんだのだった。

あたしは、勢いよく立ち上がる。
椅子が倒れ、派手な音を立てると、猫がびくっと身を竦めた。

今のは本当にあったの?
なら……
(25)2006/10/04 09:00:12
雑貨屋 レベッカ
それならば、あのソファにはあの子がいる筈……、一人っきりで寒さを感じているあの子が。

あたしは、部屋の片隅のソファへと向かう。
……毛布。
ソファには毛布が掛かっていた。

本当……だったの?
これでもう寂しくなくなるの?

ゆっくりと近づいていく、だが、そこには平たい毛布がただあるだけだった。 毛布に手を当ててみるとまだ暖かい。 何者かの温みが残っている。
まるっきりの夢……ってわけでもなかったのかな。
だけど、彼女はどこに。 また幻のように消えてしまったのだろうか。

期待していた分だけ、落胆は大きかった。
胸のつっかえが黒く育つ。 やがてそれはあたしを蝕み心を元のように凍らせるだろう。

寂しくなんて……ないもの。

自身をそう欺く。
あたしはソファに座り、自分以外の温みを感じさせる毛布を握りしめて、目を閉じた。
(26)2006/10/04 09:29:02
冒険家 ナサニエルが参加しました。
冒険家 ナサニエル
終わったはずの世界。
すでに消えているはずの世界に俺はいた。
俺の名はナサニエル。
俺はこの世界で数々の冒険をした。
何度も死にそうな目にあった。
いや、本当にそれだけで済んだだろうか?
血にまみれて息絶えたことはなかったか…
異形のものとなり、人の血肉をむさぼったことはなかったか…
いや、あれは夢だ。
そうただの夢なんだ…
(27)2006/10/04 14:03:58
冒険家 ナサニエルは、誰もいない部屋で、夢と現の間を彷徨っている。
2006/10/04 14:05:50
見習いメイド ネリーがいたような気がしたが、気のせいだったようだ……(見習いメイド ネリーは村を出ました)
(2006/10/05 02:30:00)
雑貨屋 レベッカは、気配の変化を感じ目をゆっくりと開け、ほの暗い部屋を見つめる。
2006/10/05 09:46:24
雑貨屋 レベッカ
あおい、ぼやっとした物が漂っているのが見える。 なんだろう? まだ、形になっていない何か。

あたしは毛布をかかえたまま中央のテーブルに近寄り、鍵を改めてみた。
誰か人が来たら此処から自分の鍵を持って行っている筈。

ひの、ふの、……ここのつ。

残りの鍵は9本……
うち一本には、

「終わる場所で始まるだろう」

もう一本には……不鮮明になってきて良く読めないが再会を約束する言葉が、
あたしの胸元の鍵には

「時と人の輪は巡る」

残り7本は何か言葉が刻み込まれている事は分かるが、それが何かまでははっきりしなかった。
(28)2006/10/05 09:54:59
雑貨屋 レベッカ
あの「あおい」気配は自分の鍵を取っていないからあのように漂っているのだろうか。
あたしは部屋の端に沿ってゆらと漂っている気配を手招きし、言う。


このテーブルに置いてある鍵……その中にきっと貴方の心に響く物が一本ある筈よ。
それを抜き取って大事に持っていて。
こんな風に

あたしは、自分の首からネックレスのように提げた鍵を持ち上げて示すと、鍵を掌に包み込んで続けた、

貴方の心に抜け落ちた欠片(ピース)があれば、その鍵が少しでもそれを埋める手助けをしてくれると思うから……。

と。
(29)2006/10/05 09:59:56
雑貨屋 レベッカは、世界が揺らぐのを感じ、周囲を改める。
2006/10/05 10:03:02
雑貨屋 レベッカ
―― 中央の丸テーブル、消えない燭台、10の鍵、それぞれに浮かび上がる言葉、10の扉、10の椅子。

それから……それから?
あたしは白い仔猫の姿が失われているのに気が付いた。

あの子……何処に行ったのかしら?

そう言えば、彼女は鍵を持っていなかった。 だから……だから消えちゃったの?
何処に? ここでない別の世界に? それとも……消滅!?

……ううん、そんなこと無いよね。
きっと元の世界に戻っただけよ。


あたしは沸き上がる不安をそう納得させると椅子に座り、毛布にくるまって、「あおい」気配の到着を待つのだった。
(30)2006/10/05 10:04:22
雑貨屋 レベッカはメモを貼った。
2006/10/05 10:15:33
冒険家 ナサニエル
[…はふと目覚めると、部屋の一角が不思議な光に包まれているのを見た。]
あれは、なんだ?
(31)2006/10/05 12:29:02
冒険家 ナサニエルは、…はポケットに入っていた飴を投げ込んでみた。
2006/10/05 12:29:28
冒険家 ナサニエルは、雑貨屋 レベッカに話の続きを促した。
2006/10/05 12:29:37
冒険家 ナサニエルはメモを貼った。
2006/10/05 12:32:58
冒険家 ナサニエルは、どうしたらいいか迷っている。
2006/10/05 12:34:16
雑貨屋 レベッカはメモを貼った。
2006/10/05 14:38:34
雑貨屋 レベッカ
「あおい」気配の揺らぎが小さくなり、こちらを見つめている。
はっきりとそうだとは言えないが、そのように感じられた。

躊躇ってるの?

……怖がることはないわ。 だから来て欲しい。

貴方が何者でもこの際構わない。
最悪、血に飢えた殺人鬼だとしても、一人っきりよりはずっと良いもの。
あたしを凍えから解放して欲しいの。

だからお願い。


……一人になるよりも殺される方がまし……か。
声にして初めて自分が自信以外の温みを渇望しているかを自覚した。
(32)2006/10/05 14:58:58
雑貨屋 レベッカ
子供の頃から手に入れたくて……でも、どうしても手に入れることが出来なくて。 だからこそ一層思いが募って、けど、あたしはそれを自覚しないままでいた。
自覚がなかったから、見えないところで歪みが出ていたんだ。

この場で望みは叶えられるのだろうか……うん、そう、叶えられる場所だって予感があるからあたしは何度幻を掴んでも此処に止まってるんだわ。


あたしは、くるまっていた毛布を折りたたんで膝に掛けると、改めて「あおい」気配を手招いた。
(33)2006/10/05 15:02:02
冒険家 ナサニエル
[…は長い間逡巡していたが、ふと誰かに呼ばれているような気がした。]

このまま、ここにいてもしょうがないか…

[…は光の中に足を踏み入れた。]
(34)2006/10/05 15:32:51
冒険家 ナサニエル
気がついてみると、そこは広い部屋だった。
俺は鍵が置いてあるテーブルをみると、何かに引き寄せられるように近づいていった。
無意識のうちに鍵のひとつを取る。

運命?…

鍵にはそう書かれていた。
いや、運命という文字の後にも何か書かれている。
かすれてしまって読めないが、「運命には逆らえない」と書いてあるのか、いや「運命に立ち向かえ」と書いてある気もする。
見直すたびに、書かれた文字は違って見える。
変わらない文字は「運命」の2文字のみ。
(35)2006/10/05 15:45:46
冒険家 ナサニエル
俺はその鍵を持っていることにした。
ふと振り返ると、俺が来た方向に扉がある。
いや、この部屋には、他にもいくつもの扉があった。
試しに来た方向の扉に鍵を差し込んでみると、ぴったりと合った。

扉を開けてみると、そこは俺がいたあの部屋だった。
殺風景な何もない部屋。
ただひとつ変わったのは、そこに扉ができたこと。
他の部屋のことも気になったが、俺はひとまず休むことにした。
慌てることはない、扉はいつか開くだろう。
(36)2006/10/05 16:03:07
冒険家 ナサニエルはメモを貼った。
2006/10/05 16:08:55
冒険家 ナサニエル
1人でいるのに寂しさを覚えた俺は、真ん中の部屋にいってみた。
そこには女性が1人いて、椅子に座って眠っていた。
俺が最初にこの部屋に来た時からいたような気もするが、記憶は定かではない。
俺はコーヒーを飲みながら、その女性が目覚めるのを待ってみることにした。
(37)2006/10/06 14:00:09
冒険家 ナサニエル
結構時間がたった気もするが、コーヒーを一杯飲む程度の時間しか立っていないような気もする。
彼女を起こそうかとも思ったが、いい夢を見ていたら悪いので止めておいた。
風邪をひかないように、ひざに掛けてあった毛布を広げて掛けてあげることにした。
そして、俺は1人の部屋に戻っていった。
(38)2006/10/06 16:38:20
雑貨屋 レベッカはメモを貼った。
2006/10/07 01:24:04
雑貨屋 レベッカ
あら……また?
何処までが現実だったのだろうか、「あおい」気配を手招いて……それが鍵を手にしたとたん、指先から実体化して青年の姿を取った……ような気がしたがどうにもはっきりしない。

でも……、
視線を動かすとコーヒーがガラスのポットに入っていた。 そして、膝に畳んで置いていた筈の毛布が肩から掛けられている。
あたしは期待を込めてテーブルの上に目を凝らす。
等間隔に並べてあった鍵に一本抜け落ちた箇所がある。
数を数えてみると、8本。

一本減ってる。
ならば……ええそうよ、きっとあの「あおい」気配がここを訪れたのだわ。

そして鍵を取り、対応する部屋へと去っていったに違いない。
その時あたしは何をしていたのだろうか。
思い出そうとしたが……もやもやとしてどうにも定かではなかった。

とまれ、他に誰かが居ることは間違いないようね。

あたしはそのことを確信し、少しだけ安堵した。
(39)2006/10/07 01:29:06
雑貨屋 レベッカ
未使用のコーヒーカップにポットから濃褐色の液体をそっと注ぐ。
まだ暖かい。

真空断熱されているとはいえ、外部との接触点から熱は失われていく。
この暖かさからすると5時間位前だろうか。
などと適当に適当に推測してみる。

カップの中に広がる褐色の澄んだ液体から立ち上る香気を楽しんだ後、そっと口に含む。上質の苦みが舌の上に広がり、香りが鼻を抜ける。

すご……

そこらの喫茶店ではお目にかかれない位の味と香りだった。
あたしは存分にそれを楽しんだのち、心を決めた。

多分……こんなの入れることが出来る人なら。
(40)2006/10/07 02:18:39
雑貨屋 レベッカ
あたしは、10の扉を一通り見回した。
まずはあたしの部屋……あれ?

なにか違和感がある。
扉の一部が薄く光を発しているように見える。

近づいてみると、いつの間にかネームプレートが掛かっていた。
レベッカ・ミストレイク……ゴシックでそう刻み込まれている。
これが光を受けて光っていたのね。 一体何時の間に?

最初に部屋に入る時にはなかった筈。
とすると、そこで一晩過ごした後……ってことかしら?

いずれにしても、これでどの部屋が使われているか判るという訳か。
あたしは、一旦部屋に戻り毛布を畳んでベッドの上に置くと、シロクロを抱き上げて部屋を出た。
なぜだか連れて行った方が良いような気がしたのだ。

部屋から出て、どこか他にプレートの出ている扉はないかと見回すと、テーブルを挟んで真向かいの部屋に薄蒼く光るプレートが掛かった部屋を見つけた。
(41)2006/10/07 02:34:51
雑貨屋 レベッカ
あたしは広間を縦断し、その部屋の前へ立つ。

刻み込まれた文字はなんと書いているのか読めなかった……異国の文字?
もしかして会っても言葉が通じないかもしれない……そう思ったが、おぼろげな記憶では彼の発した「運命」という言葉は聞き取れたと思う。

この鍵……のおかげなのかしら?

何となく大丈夫そうだと感じ、左の手でシロクロを抱きしめ、残りの手で扉をノックする。

こんばんは……、あたしは……レベッカ、レベッカ・ミストレイクって言います。
コーヒーごちそうさまでした。 とっても美味しかった。
あの……もし、お休みでなかったらお話ししませんか?

ノックの音とあたしの声は、扉の向こうへと吸い込まれていく。

……どうだろう、声は届いたのだろうか?
あたしは扉の前から避け、扉が開くのを待った。
(42)2006/10/07 02:45:23
冒険家 ナサニエル
ぼんやりとしていると、扉をノックする音が聞こえる。
俺はどのくらいぼんやりとしていたのだろうか?
眠ってしまった気もするし、たいして時間がたっていない気もする。
最近時間の流れがよくわからなくなってきている。
ノックした相手をあまり待たせても悪いと思って、俺は扉を開けた。
(43)2006/10/07 13:48:10
冒険家 ナサニエルはメモを貼った。
2006/10/07 13:53:17
雑貨屋 レベッカ
しばらく待っているとカチャリと音を立て細い隙間が空き、ゆっくりとそれが広がる。
夢うつつの中で見たのと同じ顔がそこにあった。

あたしはシロクロを胸に抱え、中から出てきた青年の顔をじっと見つめる。
鋭い目……だけど、どこかに何かを置き忘れてしまったかのような寂しさを奥に仕舞っているかのようで、そう、まるで森の奥の忘れ去られた湖のような深く蒼い色をしている。
肌はほどよく日に焼けていて、よく見ると細かな皺が見えるが、加齢のせいと言うわけではないようだ。 一日の大半を日差しの強い野外で活動していたのだろうか。

視線を少し下に移すと、シャツの下には厚そうな胸板が、上着から覗いてる腕にはみっしりと筋肉が張り付いており、彼が常日頃躰を酷使していることが見て取れた。
何か言おうと思ったが、目の前の彼の存在感に圧倒され、ただシロクロを強く抱きしめるしかできなかった。

何か、何か言わなきゃ。

焦る程に頭は白くなり、口内は乾く。

あの……あたし、レベッカ・ミストレイクって言います。 貴方のお名前を伺ってもいいですか?

あたしはそれだけ延べるのが精一杯だった。
(44)2006/10/07 15:23:23
雑貨屋 レベッカはメモを貼った。
2006/10/07 15:30:50
冒険家 ナサニエル
扉を開けると、白いワニのぬいぐるみを抱いた女性がそこにいた。
そのとり合わせは少しアンバランスな気がしたが、現状には似つかわしくも思える。
その女性が挨拶してきたので、俺も自分の名前を名乗ることにした。

はじめまして、俺はナサニエル。
フルネームはナサニエル・コートホープだ。
ここには俺たちしかいないようだね。
立ち話もなんだから、席についてコーヒーでも飲みながら話をしようか。

俺はそういうとコーヒーを入れることにした。
(45)2006/10/07 15:34:23
冒険家 ナサニエルはメモを貼った。
2006/10/07 16:00:14
雑貨屋 レベッカ
あたしは青年……、ナサニエルさんの招き入れるまま、彼の部屋へと入った。
扉を閉じ、周囲を見回してみる。

部屋の隅に硬そうな長椅子状のベッドが一つ、シーツは小さく畳まれ、枕と一緒に隅に避けてある、それと小さなテーブルに洗面台。 天井にはパイプがうねうねとはい回っている。
壁と床はコンクリートで窓にはガラスではなく格子がはまっており、そこからは陽光が薄く差し込んでいた。 まるで監獄のようだ……とチラと思う。

あたしはそこで少し違和感を感じる。

えっ……外?

あたしの部屋にも広間にも無かった窓、それがここにはある、そこからの光。 そして窓の隣には扉が……。

それを見たとたん心がざわつく。
広間とその回りの部屋だけが世界の全てでは無かったのか? それとも、この外には広大な世界が広がっていて、あたしはその片隅で右往左往しているだけなのか。
あるいは、部屋とセットになった作られた世界なのか……。
そのことがとても気になったが、それを押さえ、彼の薦めるままコーヒーカップを手にして、ナサニエルさんの隣に掛けた。
(46)2006/10/07 16:31:27
雑貨屋 レベッカ
シロクロを膝の上に寝かせ、両の手でカップを包み込むようにして持って一口流し込む。 先ほど広間のテーブルに置いてあったのと同じ味。
入れ立ての分一層増しの美味しさだった。

……あれ? そう言えば、どうしてブラックなんだろう?
あたしお砂糖やミルク入れるより……入れたのも好きだけどね、好きなの。 でも大抵男の人ってお砂糖やミルク入れるかって聞いてくるよね。
おもしろいな、って興味を引かれる。


ねぇ、ナサニエルさん。 さっき広間のテーブルにあったポット。
あれも貴方でしょ? 美味しかったわ。

それだけ伝え、またカップに口を付け、彼の様子を窺った。
(47)2006/10/07 16:38:46
雑貨屋 レベッカはメモを貼った。
2006/10/07 16:42:20
冒険家 ナサニエル
1人は寂しいと感じたものの、こうして彼女と会ってみると、改めて何を話していいかわからなかった。
何かいうことを探して彼女の顔を見ているうちに、既視感がやってきた。
守りきれなかった女、いや欲望のままに襲い掛かってしまった相手、それともその逆?…
くらくらする感覚を頭を振って追い出した。
彼女は俺の部屋にある扉が気になっているようだ。

その扉が気になるのかい?
僕にもどこに続いている扉だかわからないんだけれどね。

話の取っ掛かりにでもしようと思って、俺はそういった。
(48)2006/10/07 16:46:49
冒険家 ナサニエルはメモを貼った。
2006/10/07 16:50:09
雑貨屋 レベッカ
彼は、人一人分くらい離れた所に座り、あたしの顔をぼうっとして見ていた。
上の空であたしの言葉に、「ああ」とだけ応えまたしばしの沈黙。
あたしは会話の接ぎ穂もなく、また……扉と窓に視線を走らせた。

コトリと音を立てカップをテーブルに置いたのが合図として、彼は頭をふるふると振りあたしに語りかけてきた。

扉が気になるのか……と。

あたしは、

ええ、扉があるって事は「外」があるって事よね。 正直言ってここに「外」なんて無いと思っていたから吃驚したわ。
あたしの部屋には窓無かったもの。

一目見た時は神経の尖った野生生物のような印象を受けたが、こうして話してみると、意外と気さくなのかな。
そう思い、薄くほほえんで返す。

何処に繋がっているかわからないって事は嵌め殺されているわけね。
あの明かり取りの窓から何か外見えるかしら?

あたしが見た時はただ光しかなかった。 でも、彼の部屋だから。 彼なら世界に姿を与えることが出来るのではないか。 そう期待して訊いてみる。
(49)2006/10/07 17:10:24
雑貨屋 レベッカはメモを貼った。
2006/10/07 17:14:17
冒険家 ナサニエル
俺は彼女に指摘されて、外のことをあまり意識しないようにしていたことに気がついた。

外の風景なんて気にしたことはなかったよ。
興味があるんなら見てみるかい?

彼女に答えながら声が少しかすれるのを感じた。
俺は無意識のうちに窓から目をそらしていた。
(50)2006/10/07 17:34:14
冒険家 ナサニエルはメモを貼った。
2006/10/07 17:40:42
雑貨屋 レベッカ
ううん、さっき部屋に入った時にちょっと見た時は何にも見えなかったし……。
なんだか恐い気がするからやめておく。

あたしは、あまり訊いちゃいけない事だったのかもと後悔し、その話はそこで切り上げることにした。

また沈黙が流れる。 それに耐えかねるようにあたしは口を開いた。

あの……さ、ナサニエルさんはどうやってここに来たの?
あたしは……

強引に言葉を紡いでみる。
あたしは、新しい辞令が下ったこと、それが出世とは名ばかりの物だったこと、元のポジションにはつきあっている彼氏が後釜であること、バーで独り飲んで酔っぱらって家に帰ったらいつの間にかここにいたことなどをぽつりぽつりと話した。
彼は所々によく分からない単語が在ったようで都度聞き返してきたが、軽く頷きながらあたしの話しを聞いてくれてた。 話しているうちにその時の嫌な気分を思い出し、表情が沈むのを感じていた。

それで……あなたは?

手をシロクロに添え、瞳を見つめ、訊ねる。
(51)2006/10/07 18:21:09
雑貨屋 レベッカはメモを貼った。
2006/10/07 18:23:50
冒険家 ナサニエル
どうやってここに来たのかといわれると、よくわからない。
薄ぼんやりと覚えているのは、ここと似たような世界を彷徨い続けていたことだけだ。
悪いんだが詳しいことはよく覚えていないし、あまり話したくもない。

冒険の成功譚などを話せば盛り上がったかもしれないが、血まみれの記憶が浮かび上がって止まないので、あまり話す気になれなかった。

せっかくきてくれたのに、面白い話ひとつ出来なくてすまないな。

(52)2006/10/07 18:54:32
冒険家 ナサニエルはメモを貼った。
2006/10/07 19:08:17
雑貨屋 レベッカ
いいのよ……いやだったら無理には訊かないから。

あたしはそう答え、カップを手にベッドから立ち上がる。

コーヒーありがと。 カップ洗っておく。

片膝を立て顔を背けている彼をそのままにし、粗末な洗面台でカップを流し、布巾をかける。 何処に直したらの声に彼が指さしたテーブルの上にカップを逆さにして置くと、

扉をくぐり広間へと出、また……コーヒー入れて貰って良いかな。
と、声を掛けた。

ナサニエルさんがこくりと頷いたのを確認し、シロクロを抱いてるのと反対の手で扉を閉じる。

その間際に見た窓からはは同じ調子で光が差し込んでいる。

さっきから大分時間が経った筈なのに、やっぱり変。

そんな事を思いつつ、あたしは自分の部屋へと戻った。
(53)2006/10/07 19:29:45
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